今月の21日、安倍首相が衆議院を解散した。消費税率引き上げの1年半延期と、アベノミクスの是非について国民に信を問うということらしいが、安倍内閣支持者も、そうでない人もイマイチ腑に落ちない。
僕は安倍首相が大嫌いだが、アベノミクスそのものには反対ではない。円安、株高でデフレ脱却しなければ景気は回復しないと思っている。しかし、それは景気回復の必要条件であって、十分条件ではない。それよりも大事なことは、国民の不安を取り除くことである。
人はネガティブな判断材料があるよりも、これからどうなるか分からないのを不安に思う。芥川龍之介の自殺原因になった「僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」である。将来を不安に思えば、株価が上がって、いくら金を手にしても使わないのである。
例えば、何か病気を持っていて、「明日死ぬかもしれないし、50年以上生きられるかもしれない」と医者から告げられたとする。「明日死ぬかもしれないし、50年以上生きられるかもしれない」のは、実は病気を持っていなくても、大した違いがないのだが、病気を持っていれば大変な不安である。なにしろ、ちょっと病状が悪化するたびに「明日死ぬかも知れない」恐怖に襲われるのだ。もし、お金があれば、いつ来るかわからない死に対して、それを温存しようとするだろう。
逆に「あと一年で死にます」と言われれば、その一年で何が出来るか考えられる。お金があれば、それで好きなことをしたいだけするか、できるかぎり精一杯の治療をするか、いずれにしても一年でお金を使い切ってしまうだろう。たとえネガティブな材料でも、はっきりしてもらった方がまだましなのである。
地震・原発・テロ・戦争・失業・・・今の日本には「ぼんやりとした不安」ばかりである。いずれも、いつ起るか、何が起るか、どうなるか分からない。
例えば、安倍首相が「原発の再稼働はしない」と言うだけで、原発の不安は払拭される。本意は再稼働したいのだろうが、それなら景気が回復して、国民の関心が薄れた頃すればいいのである。その程度のこともできないから、ますます不安になる。
やれ、中国の軍事費が増大しているとか、尖閣諸島にどうのこうのとか、日中関係が悪化だとか、ついには戦争の不安まで煽る。常識で考えれば、今の中国が日本に戦争を仕掛けるわけはないのだが、よく分からない人は煽られて不安に思う。いっそのこと戦争になればいいと、やけに好戦的な人まで出てくるのは、「ネガティブな材料でも、はっきりしてもらった方がまだまし」だからである。
つまり、安倍首相は、国民の不安を払拭する努力を全くしていないばかりでなく、かえってそれを煽っているのである。おそらく、不安を煽ったほうが政権に都合がいいと考えているのだろう。だが、それはアベノミクスとは全く逆の方向を向いている。このような陰険なやり方をしている限り、景気は回復しないだろう。
僕は安倍首相が大嫌いだが、アベノミクスそのものには反対ではない。円安、株高でデフレ脱却しなければ景気は回復しないと思っている。しかし、それは景気回復の必要条件であって、十分条件ではない。それよりも大事なことは、国民の不安を取り除くことである。
人はネガティブな判断材料があるよりも、これからどうなるか分からないのを不安に思う。芥川龍之介の自殺原因になった「僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」である。将来を不安に思えば、株価が上がって、いくら金を手にしても使わないのである。
例えば、何か病気を持っていて、「明日死ぬかもしれないし、50年以上生きられるかもしれない」と医者から告げられたとする。「明日死ぬかもしれないし、50年以上生きられるかもしれない」のは、実は病気を持っていなくても、大した違いがないのだが、病気を持っていれば大変な不安である。なにしろ、ちょっと病状が悪化するたびに「明日死ぬかも知れない」恐怖に襲われるのだ。もし、お金があれば、いつ来るかわからない死に対して、それを温存しようとするだろう。
逆に「あと一年で死にます」と言われれば、その一年で何が出来るか考えられる。お金があれば、それで好きなことをしたいだけするか、できるかぎり精一杯の治療をするか、いずれにしても一年でお金を使い切ってしまうだろう。たとえネガティブな材料でも、はっきりしてもらった方がまだましなのである。
地震・原発・テロ・戦争・失業・・・今の日本には「ぼんやりとした不安」ばかりである。いずれも、いつ起るか、何が起るか、どうなるか分からない。
例えば、安倍首相が「原発の再稼働はしない」と言うだけで、原発の不安は払拭される。本意は再稼働したいのだろうが、それなら景気が回復して、国民の関心が薄れた頃すればいいのである。その程度のこともできないから、ますます不安になる。
やれ、中国の軍事費が増大しているとか、尖閣諸島にどうのこうのとか、日中関係が悪化だとか、ついには戦争の不安まで煽る。常識で考えれば、今の中国が日本に戦争を仕掛けるわけはないのだが、よく分からない人は煽られて不安に思う。いっそのこと戦争になればいいと、やけに好戦的な人まで出てくるのは、「ネガティブな材料でも、はっきりしてもらった方がまだまし」だからである。
つまり、安倍首相は、国民の不安を払拭する努力を全くしていないばかりでなく、かえってそれを煽っているのである。おそらく、不安を煽ったほうが政権に都合がいいと考えているのだろう。だが、それはアベノミクスとは全く逆の方向を向いている。このような陰険なやり方をしている限り、景気は回復しないだろう。