2019年04月

今月の初め、ニュージランドに行っている最中に新元号が発表され、明日から平成が終わり令和になる。万葉集を由来とするという元号について、思うところがないではないが、それを語るほどの知識も材料も持ち合わせていないので、語るのはやめておく。

昭和から平成になったとき、僕は先日行った(湯島聖堂の孔子祭に行った:2019年04月28日参照)湯島聖堂にいた。元号が決まった時、先輩方が書庫から漢籍を持ってきて、「ここだ、ここだ」とか「なんだ偽書じゃねぇか、微妙だな」とか言っていたのを思い出す。その後、過激派に時限発火装置を仕掛けられたのは以前書いた(過激派に時限発火装置を仕掛けられた話:2016年09月01日)。

そういう場所だから、考案者が誰かということも話題になった。表向きは「有識者が決めた」ということになっていたのだが、この有識者、今回同様漢籍と無関係な人ばかりで、本当の考案者が別にいるのは誰の目にも明らかだった。僕たちの中では、斯文会(湯島聖堂の運営団体)の誰かだろうと噂されていたが、そのころ真相は分からずじまいだった。

最近になって、最終案に残った「平成」が山本達郎氏、「正化」が宇野精一氏、「修文」が目加田誠氏と判明した。宇野氏は当時斯文会の理事長だったから、斯文会の誰かに依頼が来るという噂は本当だったのである。もっとも、平成の対抗馬が正化・修文というのも、頭文字が昭和と同じSになってしまうから、どうにも出来レース感がある。たぶん、まだ隠されている事実があるのだろう。

今回びっくりしたのは、考案者が誰かということが、やたらと話題になっていたことだ。本人が認めたわけではないが、もう考案者は中西進氏という感じで報道されている。あれは秘密ではなかったのか。今回の改元は天皇崩御とセットではないから、そのぐらい盛り上げてもいいと言われればそうかもしれないが、どうも腑に落ちないものがある。

一方で、落選した案を提出した石川忠久氏も、依頼が来たことを認めて、早くからマスコミのインタビューに答えていた。忠久先生らしいなとは思ったが、あまりにもあっさり認めているので、ちょっとびっくりした。

それにしても、忠久先生は現斯文会理事長である。やはりあの噂は本当だったのだ。二連敗だけど。
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海外旅行をしていて、交通機関ほど戸惑うものはない。国によって、料金の支払い方が違うからである。もちろん今はネットで下調べができるが、それでも実際に行ってみると、なかなか厄介である。

オークランドは鉄道があまり発達していないようだ。地下鉄は今掘っている最中で存在しない。普通の鉄道はあるのだが、それほど多くない。だが、旅行者にとってはこれほど安心感のある乗り物はない。というわけで、乗ってみた。

オークランドにはAT HOP cardなるプリペイドカードがある。もちろん電車だけでなく、バスや船も乗れる。
athopcard
ホテルの近くにBritomartという駅がある。ここでカードを購入。改札は日本のとそれほど変わらない。手前のまるい部分にカードをかざせばゲートが開くのも同じ。
Britomart駅改札
電車はこんな感じで、なかなか小奇麗。
電車
電車はガラガラだから写真撮り放題。
車内
外国の電車ではあまり見かけない吊革がぶらさがっていた。牛がいっぱいいるせいか、本当に革で出来ている。
吊革
車内には自転車を置く場所もある。この写真ではよくわからないが、自転車を固定するストラップが付いている。
自転車置き場
反対側は車いす用。見た感じ同じだが、こちらにはストラップがない。
車椅子用
車内表示。飲み物は蓋をしろ、ハンバーガー・酒・タバコは禁止。分かりやすい。
禁止
ここで変な表示を見付けた。タダで乗っていいのはカマキリだけだという。自動改札があるのに妙なこと言うなと思っていたが、駅に降りたら意味が分かった。
タダで乗っていいのはカマキリだけ
電車を降りると、どこにも改札がなく、そのまま外に出られてしまった。カマキリの表示を思い出し、もう一度ホームに戻ってよく観察すると、なんだかヘンな柱があるのを発見。
改札
これがこの駅の改札である。一応目立つような色が塗ってあるが、初めて来ると見落としそうだ。僕の場合、自動改札のある駅から乗ったからいいが、この形式の駅から乗ったら、まちがいなくTAG ONするのを忘れるだろう。そもそも、「TAG ON/TAG OFF」っていうのは英語圏では一般的な言葉なのだろうか。

AT HOPカードは便利なのだが、電車はあまり発達していないし、バスはイマイチ敷居が高い。そういうわけで、細かい移動にはこれを使っている人が多かった。
LIME
LIMEという電動キックボードである。中国で流行ったシェア自転車のようなものだろう。GoogleMapで行く先を調べると、電車で何分、自動車で何分とある他に、LIMEで何分というのもでてくる。

中国のシェア自転車同様、スマホアプリで所在とバッテリーの状態の確認、解錠、支払いができ、どこでも乗り捨てできるらしい。外国で乗り物を運転するのはちょっと恐いが、日本と同じ左側通行なので、それほど難しくないと思う。詳しくは、公式サイトをどうぞ。
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連休二日目、天気がいいので湯島聖堂の孔子祭に行った。いわゆる釈奠である。会場は湯島聖堂の大成殿。
大成殿
湯島聖堂といえば日本を代表する孔子廟だが、釈奠は儒式ではなく、裏の神田明神の神官が執り行う。雅楽が流れる中、「お〜〜〜」という警蹕とともに厨子を開け、お供えを捧げる。この形式は江戸時代から続くものらしい。
孔子祭
昔、僕はここに二年ほど住んでいた。孔子祭の前になると供物の用意をしなければならない。供物のリストをもらって、それを御徒町の吉池というスーパーへ買い出しに行くのだが、コンプリートするのが難しいので苦労した覚えがある。
供物
リンゴなどが乗っている容器を「豆(トウ)」という。「豆」という字とよく似た形をしているが、形が似ているから「豆」というのではなく、本来「豆」という字はこの容器を意味していた。

数ある供物の中でも、一番大事なのが生贄である。本来は生きた羊などをお供えすべきものだが、湯島聖堂では鯉になっている。2つめの写真にある7つの黒い箱に入っているはずだが、なぜか生気が感じられない。昔は大暴れする鯉を捕まえて箱につめ、やっとおとなしくなったと思ったら、儀式の最中に突然暴れだしたりしたものだが・・・。

終わってから箱の中を見ると・・・。
生贄の鯉
暴れないのも道理、なんとぺちゃんこの写真になっていた。職員に聞くと、震災の時に生きた鯉が入手難になって、そのまま写真になってしまったという。なるほど無益な殺生はよくない。しかし、写真というのもいかがなものかと思うので、そのうち立体的なのを寄付してあげようと思った。

神官による儀式の後は、祭主や来賓の拝礼が続き、早稲田大学の土田健次郎氏による講経(こうけい)があった。講経とは簡単な講義で、今回は「孔子の師は誰か」というテーマである。孔子の師匠(の一人)が老子というのは、『今昔物語集』10-9にも出てくるので、なかなか興味深かった。

しかし、来月は改元である。本来ならそこにも触れてほしいところだが、「令和」は『万葉集』が出典のためか、まったく触れられなかった。宇野茂彦氏による主催者挨拶でも出なかったので、寂しいかぎりである。

大成殿での儀式の後には講演会があるのだが、一時間立ちっぱなしで、はなはだ疲れたので遠慮した。せっかくここまで来たので、神田明神にもお参りしてきたのだが・・・。
神田明神
僕の知ってる神田明神じゃなくなってボーゼンとした。
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僕がニュージーランドについて知っていることは、オーストラリアに隣接する南半球の島国で、国旗がオーストラリアそっくりであること。まあ(行ったことないけど)オーストラリアみたいなもんだろう。あとは、人口より羊が多いこと、ラグビーが盛んだということぐらいである。

この中で、当たったのはラグビーが盛んだということぐらいである。テレビをつけたら、複数のチャンネルでラグビーの試合をやっていた。ラグビーにもいろいろあるらしく、あるチャンネルでは僕のよく知っているラグビーだったが、別のチャンネルではちょっと違うラグビーだった。

全く予想を裏切られたのは、人口よりも多いという羊が全くいなかったことである。もちろん、オークランドの町中にいるとは初めから思っていない。ところが、郊外にも田舎にもいないのだ。牛はやたらといるものの、一頭たりとも羊を見ることはなかった。車窓から撮ったんでブレブレで申し訳ないが、こんな感じである。
牧場の牛
いろんな牛がいて面白いが、これではニュージーランド感がない。参加したツアーのガイドさんによると、ニュージーランドは南北二つの島からなり、羊が多いのは南島で、オークランドのある北島は牛の方が多いのだそうだ。

しかし、ニュージーランドくんだりまで来て、羊を見ないのもいかがなものか。妻が調べた所、オークランド市郊外のコーンウォールパーク(Cornwall Park)という公園にいるらしい。というわけで、電車とバスを乗り継いで行ってみた。

こちらが入り口。やたらと広い公園なのだが、この入り口から入ると羊のいるエリアに近いんだそうだが・・・。
コーンウォールパーク入り口
それらしき草原はあるが・・・。羊さんはいない。
羊のいない草原
羊はいないが、白黒のカラスならいる。パンダガラスと命名。
パンダカラス
とりあえずワン・ツリー・ヒル(One Tree Hill)を目指して歩いていくと・・・。でかい牛が草食ってた。羊はいない。
牛
牛2
4月9日の記事ですでに紹介したが、目的地のワンツリーヒルがこちら。
OneTreeHill
なかなか眺めがいい。
ワン・ツリー・ヒルからの眺め

雄大な景色だから、どこかにいるだろうと思ったが・・・どこにもいない。
いない
諦めて丘を降りたとき・・・発見!
羊が二匹
でも、想像していた感じと違う。もっと広い草原にうじゃうじゃといるはずだが・・・と思ってまわりを見渡してみると・・・。
羊いっぱい
木陰に固まっている。

ニュージーランドは日本と季節が逆になる。3月の終わりだと、秋口とはいえまだまだ半袖で大丈夫なぐらいだ。奴さん自前のウールに包まれているから、日当たりのいい草原などにはおらず、木陰にいるのである。たまたま腹が減った奴だけが草のあるところに出ていたらしい。

これに気が付いて、大きな木の下を探してみたら・・・。
木陰で休む羊さん
うじゃうじゃいた!でも、羊さんのイメージとはちょっと違うんだけどな。聞くところによると、これらの牛や羊は完全な放し飼いで、牧舎のようなものは存在しないらしい。たぶん、夜もこの木陰で寝るんだろう。

オマケ、羊を追うわたくし。近づくと、ゆっくり逃げるのが面白い。
羊追い人
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というわけでニュージーランドへ行ってきたのだが、バスから見た景色がいつもの海外旅行と違うのに気づいた。

だいたいどこの国へ行っても、空港から中心部へ向かう車窓の景色だけで、「外国へ来たぜ!」という感じがするものだ。だが、今回はなんだか房総あたりの田舎道を走っている感じがする。この外国感の無さはなんだろう。

ニュージーランドは日本と同じ左側通行である。しかも、その道路を走っている車が、すすけた日本車ばかりである。途中参加したツアーのガイドさんによると、ニュージーランドは国内に自動車工場がなくすべて輸入で、無改造でそのまま持ってくればいいので、日本の中古車が多いのだそうだ。

道そのものも、やたらと土地が余っているのに、なぜか狭い。地形も起伏に富んでいて日本に似ている。羊が多いと聞いていたが、実は北部は牛の方が多く、岩手あたりで見た景色と大差ない。
NZの道路
こんな感じなので、日本人がレンタカーで走るのもそれほど難しくはなさそうだが、一点だけ気をつけなければならないことがある。なんと、郊外のほとんどの道路が制限速度100キロなのだ。上の写真の場所はもとより、それよりもずっと狭い道でも制限速度は100キロ。高速道路もあるのだが、こちらも制限速度は100キロなので、なんのための違いなのかよく分からない。

だから自転車ツーリングはオススメできない。いい感じの風景と気候、適度な起伏で、キャンプ場も多いから、一見自転車ツーリング向きなのだが、狭い道をとんでもないスピードで車が走っている。ここを自転車で走ったら生きた心地がしないに相違ない。実際、自転車ツーリングは全く見かけなかった。

オークランド市街地では、ヨットが停泊していたり、英国風のパブがあったりするので、それなりに外国感があるのだが、日本と同じ地震国のせいか建物は低く、比較的新しいビルディングが目につくので、他の国に比べるとやっぱり外国感に乏しい。
オークランド
上の写真でそびえているのはスカイタワーといい、南半球で一番高い塔だそうだが、328mで東京タワーとほぼ同じ高さ。比較すると他のビルディングの高さがそれほど高くないことも分かるだろう。

そんなわけで、僕のニュージーランド第一印象(オークランド近辺に限られる)は、「日本(の地方都市)とあんまり変わらんな」というものだったのだが、妻には「それはおかしい」と否定されてしまった。

いや、もちろん外国だから違うところはたくさんある。そもそも歩いている人が違うし、言語が違う。それはそうなのだが、この外国感の無さは、日本人にとっては住みやすいんじゃないかなと思う。
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春休みはニュージーランドのオークランドへ行ってきた。初のオセアニア、そして、久しぶりの中国以外の海外旅行である。遥々ニュージーランドくんだりまで行って何をしてきたか。いろいろあったが、総じて言えば闘志いだきて丘に立った。南半球なので秋風だけど。

3月29日 船で対岸のデボンポートまで行って、ビクトリア山(Mt.Victoria)という丘に立った。
初日なので闘志みなぎっている。海の向こうに見えるのがオークランドの町。
ビクトリア山で闘志いだきて丘に立つ
3月30日 ツアーに参加して、タイルアという所のパク山(Mt.Paku)という丘に立った。
ツアーに参加したといっても、参加者は僕と妻の二人だけ。これがパク山(Mt.Paku)。丘というより山ですな。
パク山
山のてっぺんからの眺めは最高だが、惜しむらくは丘に立った写真がない。ガイドさんがいたので、いい年してこっ恥ずかしくて闘志いだけなかった。
パク山からの眺め

3月31日 オークランド市のコーンウォール公園内のワン・ツリー・ヒル(OneTree Hill)という丘に立った。
OneTreeHill
OneTreeHillで闘志いだきて丘に立つ
4月1日 ツアーに参加した。ロトルア湖のほとりの名前は忘れたけど丘に立った。
すげえ大雨で、闘志がいだけなかったので、丘に立つ写真がない。
ロトルア湖の辺りの丘
4月2日 オークランド市のオークランドドメインという丘に立った。
オークランドドメインにはオークランド博物館が建っている。
オークランド博物館
博物館内に軍服があったので着てみた。博物館は丘の上にあるので、室内だけど丘に立っている。そして、軍服だからある意味一番闘志いだいている。
オークランド博物館で闘志いだきて立つ
というわけで、しばらくニュージランドネタが続くはず。
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