2020年03月

新型コロナウィルスのせいで、3月入るやいなや学校が終わってしまい、外出することもできないから(ほぼ)毎日ヒマである。おかげで、古今著聞集の電子テキスト作成やら、昔撮った写真のデジタル化やら、部屋の掃除やらいろいろ捗っている。このブログもいつにもまして記事が多い。

しかし、読み返してみると、パソコンを掃除しただの、壊れただの、修理しただの、スピーカーを買い替えただの、3月の終わりに雪が降っただの、一番大事な新型コロナウィルスのことが一つもない。テレビではコロナ一色だから触れたくなかったのだ。

今年の3月は、びっくりしたことの連続だった。学校の方は、新型コロナウィルス対策で始業時間を遅らせるという話が出た次の日に、例の安倍首相の休校要請がでて休みになった。世界中の株価はリーマンショック以上のスピードで下落していって、コロナとは無関係に原油価格(現在1バレル21.16ドル)まで暴落した。そして、オリンピックが一年延期になった。

2月までは対岸の火事みたいだったアメリカ・ヨーロッパも日増しに感染者・死亡者が増え、とくにイタリアでは、中国を追い越してしまった。今は世界中で絶賛ロックダウン中である。その間、チャールズ皇太子・ボリス・ジョンソン英首相・プロ野球選手など有名人の感染が伝えられ、そして昨日ついに、志村けん氏がコロナウィルスによる肺炎で亡くなった。

記憶にある限りざっと書いてみたが、それにしても、予想だにしなかったことが起こる。逆に予想通りだったのが、本邦の政治家のポンコツぶりである。

会見したとおもったら内容がナイヨーで、まともに記者の質問に答えない安倍首相。経済対策と称して和牛券だのお魚券だの、ここぞとばかりに利益誘導するピンボケ議員。夜、30分も遅れて緊急会見を開いたと思ったら、やっぱり内容がナイヨーの小池都知事。

それにもまして、政府の言うことが信用できないのが問題である。森友・加計・桜を見る会、それぞれで、今の政府の隠蔽体質が暴露されてしまった。コロナでも何か隠しているんじゃないかと思うのは当然である。

内容がナイヨーな上に、信用できない。これほど不安なことはない。人間にとって、良いことでも悪いことでも、見通しが立たないことが一番怖いのである。
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都内に住んで30年以上になるけど、3月の終わりに雪が降ったのは初めてじゃないだろうか。それもちらほらじゃなく、屋根が白くなる程度である。昨日まではかなり暖かかったのに。
雪
寒いし、不要不急の外出は避けることが望ましいらしいので、僕は外には行かなかったが、Twitterでは満開の桜に雪が降り積もっている写真が流れてきた。

イルカ(もしくはかぐや姫)の「なごり雪」を思い出すけど、あれは就職だかなんだかで東京から田舎へ帰る歌である。3月29日じゃちょっと遅すぎかもしれない。
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PCのスピーカーが壊れたので、次は何にしようか考えた。昨日の記事でも書いたように、今まで使っていたALTECは、かつてPAスピーカーを代表するブランドだった。その後、PAスピーカーは奇妙な形のBose(ボーズ)が出てきて、いたるところBoseだらけになった。

ボーズとは変な名前だと思ったら、創業者のアマー・G・ボーズ氏はインド系だそうだ。どうやらチャンドラ・ボースとかビハーリー・ボースと同じ名字?らしい。最近は知らないが、昔は中国では「博士」と漢字をあてていた。発音が似ているし、創業者のボーズ氏は本当に博士だからうまいこと当てるなと思ったけど、ボーズ博士という場合、「博士博士」になるんだろうか。

それはともかく、いくらPCスピーカーとはいえ、Boseならさすがにお高いんでしょうと思ったが、調べてみるとCompanion2というPCスピーカーは1万円ちょいで買えるらしい。というわけで、衝動的にamazonでポチ。
CompanionR 2 Series III multimedia speaker system:BOSE

箱を開けたら、発泡スチロールのパッキンではなく、こんなシュリンクパックみたいなのに入っている。開け方がよく分からんが力技で開けた。
パッケージ
中身はこんな感じ。やっぱBoseは黒くないとね。細かいことだが、ヘッドホンジャックが前に付いているのがいい。これまでは右スピーカーの右側面に付いていたので、ヘッドホンを使うのに隣に置いてあるプリンターが干渉して使いにくかったのだ。
BoseCompanion2Series III
大きさを比べてみた。前のALTECよりはるかに小さいが、これでもPCスピーカーとしては大きい方だろう。スピーカーそのものは見えないが、フルレンジが一個。これもいかにもBOSEという感じがする。
サイズ比較
横から見たところ。少し上を向いている。
横から見たところ
後ろはALTECと同じくバスレフ穴が開いている。聞くところによると、低音がひびきすぎると思う人は、この穴に何か詰めればいいらしい。
ウラ面
ACアダプタ。世界中のコンセントが付いている。これで今後どこへ引っ越ししても安心。
ACアダプタ
それはいいんだけど、なぜか説明書のACアダプタと形が違う。まあ、こういうところがアメリカーンなんだろう。
説明書のACアダプタ
この手のスピーカーは左スピーカーを右スピーカーに、右スピーカーをPCに接続するのでケーブルを間違えやすい。Companion 2の場合、スピーカー同士を接続するのが普通のミニプラグではなく、独自のプラグになっている。意外と接続を間違えやすいので、これはいい工夫。
コネクタ
さて、肝心の音だが、予想以上によかった。なにしろオーディオマニアではないのでうまく表現できないのだが、これまで使っていたものよりもずっといい。

噂通り低音がバンバン出る。これがBOSEサウンドというものらしい。ANKERのブルートゥーススピーカーのときも(AnkerのBluetoothスピーカーを試してみた:2018年05月27日参照。)大きさの割に低音が出ると思ったが、これを聞くと比較にならない。

ただ、これが嫌いな人がいるというのも分かる。曲によっては、バスドラやベースが耳につく感じがする。これまで聞いていたものと比べると不自然にすら思えるが、今までのものが低音が出ていなかっただけのようにも思える。いずれにしても、BGM的な聞き方には向いていないのかもしれない。

総じて言うと、これまで使っていたALTECのスピーカーの代替としては十分満足。スピーカーは大きければ大きいほどいいと思っているオッサン世代には驚異的だ。単純に有線で繋ぐことしかできないが(Bluetoothなどには対応していない)、この値段でこの音ならストロングバイ。
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ここのところ、パソコンのトラブルと戦う記事ばかり書いていたが、ここ最近のトラブルの発端はPCスピーカーだった。

前にもちょっと書いたが、僕のパソコンは1997年(正確にいうと1996年の12月)に買ったものである。と言っても、壊れたり、時代遅れになったパーツは交換しているので、当時のものはスピーカーと本体ケースだけである。そのスピーカーがついに壊れたのだ。

以前からちょっと調子が悪かったのだが、右側から完全に音が出なくなった。断線と思われるので、一応本体を開けてみたが、目視ではよくわからない。なにしろ買って23年も経つ。そろそろ買い替えちまえという結論に至った。

このPCを買った時にびっくりしたのがこのスピーカーである。なんとアルテック・ランシング(ALTEC LANSING)製である。

僕はオーディオマニアではないが、アルテックのスピーカーは知っていた。昔はPA用のスピーカーとして、コンサートなんかでアルテックのバカでかい灰色のスピーカーを見ることが多かったのだ。毎日のように通った神保町の喫茶店ミロンガのスピーカーもアルテックだったと記憶している。

そんなわけで、アルテックには巨大でめちゃくちゃお高いスピーカーというイメージがあった。ところがそれがパソコンのオマケに付いている。それもそんなに高くないパソコンである。

さて、これがそのPCスピーカー。Gateway2000というのはパソコンメーカーの名前である。よく見ると、パンチメタルの向こうにスピーカーユニットが見えているので2wayであることが分かると思う。
ACS41(正面)
斜め上から見たところ。さすがアルテックだけあってか、PCスピーカーとしてはでかい。はっきりいって邪魔。あと、汚くてごめんなさい。
ACS41(斜め上)
後ろにはバスレフ穴と接続端子がある。表には書いていなかったが、背面にはちゃんと「ALTEC LANSING TECNOLOGIES.INC」と書かれている。ACS41という型番もある。
ACS21背面
とはいえ、これはアルテックのロゴではない。実はロゴはこんなところ(ACアダプタの裏)に書いてある。こっちは逆に東莞塘廈立徳電子廠製にALTECのロゴが付いているだけだけど。
ALTEC電源
肝心の音だが、当然のように良かった。ALTECうんぬんは別にしても、これだけ大きくて2Wayなのだから良くて当たり前だ。オーディオマニアではないので、なにがどういいと評論はできないが、オマケに付いてくるPCのスピーカーとしては最高だったんじゃないかと思う。

こうなってくると、次に何を買うかが悩ましい。これと同等か、これ以上のものでないと満足できないだろう。かといってPCスピーカーごときに大枚をはたく気にもならない。いくら音がよくても、でかいのはイヤだ。

さて、何を買ったか。それはまた明日・・・と書いてから、気がついた。ちょっと前の記事に書いてあるし、この記事の写真にも写っている。まあいいや。

なにはともあれ、23年間ご苦労様でした。

BOSECompanion2を試してみた:2020年03月22日につづく。
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2012年に書いた池袋「純喫茶蔵王」の思い出という記事がある。かつて池袋西口にあったコーヒー一杯でトースト食い放題、24時間営業、モニターでは映画やMTVという夢のような喫茶店の話だ。「池袋 蔵王」あたりのキーワードで検索すると僕のブログ記事が一番上に来るので、コメント欄は長きに渡って蔵王同窓会みたいになっている。

そのコメント欄で、最近大沢Tさんという方から、Youtubeに蔵王の動画があるということを教えてもらった。

ディープキッチュという番組で、Wikipediaによると(ディープキッチュ:Wikipedia)関西テレビで1992年の土曜日深夜に放送されていたバラエティ番組だそうだ。関西の番組なので、存在自体知らなかった。深夜番組で放映期間も短かったので、当時関西に住んでいた人でも知らない人は多いだろう。


ここに出てくる蔵王は、改装して店内が明るくなり、ちょっと怪しさが抜けたころである。怪しい時代の写真もちょっとだけでてくる。店長も登場するが、もちろん僕は知らない。コメント欄で何度も出てきた金魚鉢パフェも、これで初めて見た。なにしろ僕はコーヒーかアイスコーヒ以外注文したことがないのだ。

当時、2時間の制限がついていたことを知らなかった。1992年といえば僕は24歳。大学院生になって池袋から遠いところに引っ越したので、蔵王にはあまり行かなくなっていた。2時間ルールは知らなかったが、たぶん行っても2時間以上もいなかったのだろう。

それにしてもこの番組、ゆるいにもほどがある。あのころの深夜番組は、今から比べるとみんなゆるかったが、ここまでゆるいのは見たことがない。

東京進出以前のよゐこ(よいこ表記になっている)も必見。このころはこんなシュールコントをやっていたのを思い出した。
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パソコン直した(その2):2020年03月12日のつづき。

さて、SSDを組み付けてケースを閉じ電源を入れてみたところ、無事に認識されていることがわかった。次はソフトウェアである。当たり前だが、まずOSをインストールしなければならない。

メインPCのOSはUbuntuである。Windows7がサポート終了になったので、この機会にデスクトップLinuxでも入れようと思っている人もいるかもしれないので、少し詳しく書く。と言っても、それほど難しくはない。

まず、Ubuntuのサイトからisoファイルをダウンロードして、DVDに焼く。このとき気を付けるのはLTSが付いているバージョンをダウンロードすること。現時点では18.04.4 LTSとなっている。18.04は2018年4月という意味で、二年おきにLTSがでるので今年の4月に20.04LTSがでることになっている。だから、本当はもう一ヶ月持ってほしかったんだけど・・・。

UbuntuからDesktop版の18.04.4 LTSをクリックすればダウンロードできる。寄付のお願いみたいなのが出るけど、とりあえず無視していい。
ubuntuダウンロード
ダウンロードしたisoファイルをDVDに焼く。
Rufusなどを使って、ブータブルUSBメモリを作ってもよい。

次に、作ったDVDをドライブに入れ再起動する。通常はUbuntuが起動するはずだが、Windowsが起動してしまう場合はBIOSの設定を変更しなければならない。BIOSの変更は、電源投入直後の画面で出てくる。僕のPCの場合はDeleteキーでBIOSの変更、F12で起動ドライブの一時的な変更ができる。このへんはWindowsの再インストールと同じである。

DVDからの起動にはちょっと時間がかかるが、しばらくすると、次のような画面が出る。
ubuntu起動直後
最初は英語なので、左側の枠から日本語を選択すると、すぐに日本語になる。ここで、左の「Ubuntuを試す」をクリックするとそのままUbuntuが使える。文字通りお試しのようなものだが、ネットの閲覧などはこのままでも十分できし、内蔵ディスクにもアクセスできる。Windowsが壊れてたときも、これでファイルをサルベージできるので便利だ。

今回は新しいSSDにUbuntuをインストールするので、右の「Ubuntu」をインストールをクリック。キーボードレイアウトの画面がでる。普通はそのまま「続ける」を押せば大丈夫。
キーボードレイアウト
次は「アップデートと他のソフトウェア」なる画面。これもそのままでいい。
アップデートと他のソフトウェア
次はインストール画面。今回はまっさらのSSDに入れるので一番上でいい。すでにWindowsが入っている場合はちょっと違う画面が出るはず。その場合、Windowsと共存させる場合はデュアルブートにするか、Windowsを削除してUbuntuだけにするか選択できる。LVMがどうのはよく分からんが気にしなくていいらしい。
インストールの種類
最後にユーザー名とパスワード、コンピューターの名前を登録をする。あとでどうにでもできるので好きにすればいいのだが、僕の場合、コンピューター名はサーバーが如来、デスクトップが菩薩、ノートパソコンが天部になっている。
ユーザー登録
インストール中はこんな画面が出る。終了するまで待つだけ。
インストール中
アップデートのため何度か再起動を促されると思うが、最終的にこの画面がでればOSのインストールは完了。

言い忘れたが、僕のPCの場合、インストールの最中は常に有線LANでネットに繋がっている。無線LANの場合は途中で設定する画面が出たように思うが、ノートPCにインストールしたのは随分前なのでよく覚えていない。
起動
あとは、アプリのインストールと設定を以前に戻すだけ。アプリのインストールはUbuntuソフトウエアなどからできる。
ubuntuソフトウエア
UbuntuソフトウエアというのはスマホでいうGoogle PlayとかApp Storeみたいなもので、主要なアプリはこれでインストールできるのだが、すべてのアプリやプラグインがインストールできるわけではない。このへん、以前よりも使いにくくなっていると思う。

こんな感じで、あとは設定などをもとに戻して終了。データはNASやクラウドに保存しているし、アプリはWebアプリを使うことが多くなったので、昔に比べれば随分楽になったが、それでもいろいろ面倒くさい。壊れたのがコロナ休み中でよかった。
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メインで使っているPCが突然壊れた(パソコン壊れた:2020年03月08日参照)。原因はSSDと思われるので、amazonで注文したのだが、コロナウィルス騒ぎのせいかなかなか来ない。3月7日に注文して着いたのは10日である。

今回もどのメーカーのSSD何を買うか迷ったが、SDカードでおなじみSanDiskにした。
SSD

1月にノートパソコンをSSD化したとき(ThinkpadEdge E535のHDDをSSDに換装した:2020年01月24日参照)にはSAMSUNGにしたのだが、値段を見たらそのときよりちょっと高くなっていた。悔しいのでそれより安いSanDiskにした次第。値段は250GBで5488円。SSDも安くなったものだ。

そもそも、ハードディスク(以下HDD)に比べればSSDはどれも劇的に早い。こだわりがないのであれば、SAMSUNG・Crucial・SanDisk・WestanDigitalあたりの有名メーカー(SAMSUNG以外は聞いたことがないかもしれないけど)にしておけば大丈夫だろう。

次はこれを組み付けなければならない。PCのケースは1997年に買ったGateway2000のもので、やたらとネジが多く、開けるだけでも面倒くさい。先日CPUクーラーを掃除した(パソコン掃除した(その1):2020年03月02日参照)のに、まさかひと月に二回も開けることになるとは思わなかったよ。
シャドウベイ
写真中央部にあるのが3.5インチシャドウベイで、ここにハードディスクやSSDを取り付ける。写真は換装する前の状態で、古い3.5インチHDDが二枚と故障したSSDが一枚入っている。二枚のHDDは古いPCとNASからデータを移すために入れたもの。現在は使っていないので、この機会に完全にとりはずし本体のストレージは購入したSSDのみにする。

SSDはノートPCに入る2.5インチしかないので、3.5インチサイズにするスペーサーに取り付ける。このスペーサーに2.5インチSSDが二枚取り付けられる。
スペーサー
これをシャドウベイのケージに組み付けて、再びケースに組み付ける。あとは配線するだけ。こう書くと簡単だが、ネジを外して締めての連続だから面倒くさい。
ケージ
PCケースが古いのでやたらと手間がかかるが、今のものだったら工具なしで十分ぐらいで終わってしまうだろう。ケースは数千円で売っているので買い換えればいいのだが、せっかく23年間も使ったので、使える限り長く使いたいのだ。

パソコン直した(その2・Ubuntuのインストール)に続く。
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3月3日にパソコンの中を開けて掃除したのだが、その後スピーカーの右チャンネルの音が出なくなった。スピーカーなので掃除とは関係ない。このスピーカーはなにしろ23年間使っているから流石に寿命だろう。今日、amazonで注文したBOSEのスピーカーが届き、その音の良さにびっくりしていたら、今度はPCの挙動がおかしくなった。

再起動したら今度はうんともすんとも言わなくなった。一瞬、先日の掃除を疑ったが、BIOSはちゃんと起動するので、CPUまわりは関係なさそうだ。このPCにはDVDドライブ1つ、SSD1つ、HDD2つが入っているのだが、BIOSではなぜかSSDの表示だけが字化けしている。その後、数回再起動したら、ついにSSDの認識をしなくなった。

仕方がないので、今度はUbuntuをDVDから起動した。起動に時間がかかるが普通に使える。これでマザーボード・CPU・メモリには問題ないことが確定した。やはりUbuntu上からも起動ディスクは見えない。これはもうSSDの故障と判断するしかない。それにしても、HDDなどは壊れる前に異音がしたり不良セクタがでたりするものだが、まさかこんなにいきなり壊れるとは思わなかった。

このPCは6年前に作ったもので、SSDもそのときに買ったものだ。6年で壊れるのはちょっと短い気もしなくもないが、まだ値段が高かったので容量が125GBしかない。聞くところによると、SSDは容量の少ないものほど寿命が短いらしい。いずれにしても、壊れても不思議はない。

というわけで、あわててamazonでSSDを注文したのだが、来るのは三日後の火曜日だという。普通なら2日とかからないから、やはり新型コロナウィルスのせいで混んでいるのかもしれない。

幸い、DVDから起動しても、起動時間はかかるものの、いったん起動してしまえば普通に使える。ちなみに、現在このブログもDVDから起動して書いている。最近はブラウザでGoogleやMicrosoftなどのWebアプリを使うことが多いが、ブラウザでできることはなんの問題もないので、その点ではありがたい。

ただし、やたナビTEXT『古今著聞集』の入力はできない。テキストを入力するだけだからできないわけではないが、DVD起動では快適に入力する環境をインストールできないからである。
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校訂というのは、「書物の文字、語句などの誤りをなおすこと。特に、古書の本文をいろいろの伝本と比べ合わせて誤りを訂正すること(精選版 日本国語大辞典:
コトバンク
)」だが、日本の古典の場合、どの程度直すかが非常に難しい。少ないと読みにくくなるし、やりすぎると校訂を通り過ぎて改竄になってしまう。

やたナビTEXTでは、読みやすさと検索の便を考えて、大胆に校訂している。その代わり、底本の翻刻もあるので、校訂前のテキストがすぐに確認できるようになっている。

校訂のさじ加減は校訂者の方針によるのだが、基本は底本に忠実でなければならないのは言うまでもない。しかし、『古今著聞集』のテキストを作っていて、「これはどう考えてもダメだろう」という例を見付けた。

問題の箇所は、『古今著聞集』184である。
匡房卿若かりける時、蔵人にて内裏によろぼひ歩きけるを・・・
この説話は、若き大江匡房が女房たちにからかわれて「和琴を弾いてください」と言われたが、みごとな和歌を詠んで反撃したという話である。全く同じ説話がいくつかあり、とりわけ『十訓抄』3-2は細部までほぼ同じで、ここから『古今著聞集』に取り入れられたものであることは間違いない。

匡房卿はいうまでもなく大江匡房である。ところが、この説話の源流と考えられる『後拾遺和歌集』雑二938番では大江匡衡になっている。
女のもとにまかりたりけるに、あづまごとをさしいで侍りければ 大江匡衡
『古本説話集』4『今昔物語集』24-52も同様に匡衡となっている。本来、匡衡だったものが『十訓抄』で匡房になり、それが『古今著聞集』に取り入れられたのだろう。

新潮日本古典集成『古今著聞集』では本文を、
匡衡わかかりける時、蔵人として・・・
と改訂した上で、頭注に、
(前略)底本「匡房」。『後拾遺集』等により改訂。
としている。

これが底本だけが匡房で、他の諸本が匡衡になっているのならまだ分かる。集成『古今著聞集』の場合、「『後拾遺集』等」の他の作品で校訂してしまっている。これは校訂ではなく改竄といっていいだろう。

話としては匡衡の方が正しい。だが、間違いも含めて作品である。安易に間違いを直してはいけない。ここは本文を匡房のままにして、注釈で匡衡に触れるべきである。
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世は新型コロナウィルスでもちきりである。科学の進んだ現代でも、正体がイマイチ分からない流行病は、人々にこれほどの恐怖を与える。細菌やウィルスの存在が知られていなかった時代がどうだったかは想像に難くない。その証拠に、説話集には疫病の話がよく出てくる。

昔の日本人は、疫病の正体を行疫神とか疫病神などという神様の仕業と考えた。神様である以上、人格を持っている。行疫神による何らかの意思で流行ると思っていたのである。

『今昔物語集』巻27第11話「或膳部見善雄伴大納言霊語」では、行疫神の正体が伴善男、つまり応天門の変で配流された伴大納言だったということになっている。こう書くと、伴善男が祟っているように思われるかもしれないが、そうではない。

ある時、咳の病が流行した。今で言えば流行性感冒である。ある人の家で料理人をしている男(膳部)が、夜になって帰ろうとすると、門の前に赤い服を来た高貴な男が立っている。その男はこんなことを言った。
我れは此れ、古へ此の国に有りし大納言、伴の善雄と云し人也。伊豆の国に配流されて、早く死にき。其れが行疫流行神と成て有る也。
自分は「行疫流行神」となった伴善男というのだ。だから人々に祟って感冒を流行らせていると思いきや・・・。
我れは、心より外に、公の御為に犯を成して、重き罪を蒙れりきと云へども、公に仕へて有し間、我が国の恩多かりき。此れに依て、今年、天下に疾疫発て、国の人皆病死ぬべかりつるを、我れ咳病に申行つる也。然れば、世に咳病隙無き也。我れ、其の事を云ひ聞かせむとて、此に立たりつる也。汝ぢ、怖るべからず
重い罪を犯して流されたが、それまでに受けた国の恩は多かった。だから、今年は本来もっとヤバい病気が流行るはずだったが、私が感冒ですむようにしたので、咳の病ですんでいるのだ・・・と。

行疫神は疫病を流行らせるだけでなく、病の種類を選べるらしい。それにしても、ちょっと不思議なのは行疫神の話を聞いたのが名も無き膳部だったことだ。これは『今昔物語集』の本文にも書いてある。
但し、世に人多かれども、何ぞ此の膳部にしも、此の事を告げむ。其れも様こそは有らめ。此なむ語り伝へたるとや。
あるいは膳部に何らかの意味があるのかもしれないが、それよりも身分の低い膳部の言うことさえ記録されてしまう方に注目したい。

普通ならそのへんのオッサンのヨタ話で片付けられてしまいそうなものだが、それほど昔の人々は疫病を恐れていたという証拠である。
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