2021年01月

今月、二度目の緊急事態宣言が発令された。学校も分散登校になったが、対応はまちまちのようだ。学校もそうだが、街の様子を見ても、最初の緊急事態宣言の時と比べるとかなりヌルい感じがする。

緊急事態宣言を発令して、菅内閣の支持率はダダ下がりだ。発令が遅すぎたのが理由とされるが、それだけではないと思う。

菅義偉内閣になって四ヶ月経ったが、国民に対するメッセージの出しかたが恐しく下手クソな印象だ。例えば緊急事態宣言にしても、国民が「そろそろ出るんじゃないか」と思っていた時には「緊急事態宣言は考えていない」風のことを言う。そして、いよいよヤバくなってくると出す。だから後手後手の印象が強い。

たぶん、「緊急事態宣言は考えていない」といえば安心すると思っているのだろう。これはセンスが悪い。実際には出さないつもりでも、「これ以上感染者が増えれば、緊急事態宣言もやむをえない」ぐらいのことを言っておくべきだった。そうすれば、誰だって緊急事態宣言なんか出してほしくないから、国民の間に緊張感が生まれる。そういう駆け引きというか、対話というか、そういうものが菅総理は恐しくヘタクソだ。

国民との対話をしない姿勢は、彼が安倍内閣の官房長官をしていたときからそうだったが、あれはあえて悪役を演じているのだと思っていた。しかし、この四ヶ月を見て、なんだあれは素だったのかと思った。

実をいうと、僕は菅氏にはちょっと期待していた。もちろん政策などではない。そんなものは今の自民党に何も期待していない。

もっとドロドロとしたもの、例えば安倍前首相とそのシンパの粛清とか、ライバルの粛清とかである。権力を握ったとたんにえげつないことを始めるんじゃないかと思って、ちょっと期待していたのだ。

粛清とか物騒な話だが、カリスマ性のない菅氏の政権は、それぐらいやらないと持たないだろう。そして、それぐらいのことはやる人だと思って楽しみにしていた。だが、せいぜいやったのは、自分と利害のない学術会議の会員の粛清ぐらい。なんだかわけがわからないから、国民の支持は得られない。

菅総理は本当に残念な人だった。
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古今著聞集』の最後の篇「魚虫禽獣第二十」はその名のとおり動物の説話が集めてある。ありとあらゆる生き物がでてくるが、猫の話でちょっと面白いのがあったのでご紹介。

『古今著聞集』686
宰相中将なる人の乳母が飼っていた猫は、縄を引きちぎってしまうほど力が強かった。十歳に余るとき、夜背中から光を発した。
これはまあ不思議といえば不思議。光っていたのは静電気じゃないかという疑惑はあるが・・・
この乳母は日ごろから、「おまえが死ぬときに、私に死にざまを見せるな」と言っていたら、十七歳になったときどこかへ行ってしまった。
「猫は死に際を見せない」というのはよく言われる話だ。一説によると、猫は病気の苦痛と、他の動物に襲われるの苦痛の区別が付かず、とりあえず苦痛から遁れるために安全な場所を捜すのだという。

「鎌倉時代はそんなことは言われてなかったのかな」と思って次の説話を読んだら、もっと面白いことが書いてあった。

『古今著聞集』687
ある貴所に、「しろね」といふ猫を飼はせ給ひける。その猫、鼠・雀などを捕りけれども、あへて食はざりけり。人の前にて放ちける、不思議なる猫なり。
いや、たしかに不思議だけど、これは不思議な猫ではなくて、猫の不思議である。猫が鼠・雀を捕ってきて、ドヤ顔で飼い主に見せびらかすというのは、猫を放し飼いにしている人なら誰でも経験することだ。

橘成季は猫のことをよく知らなかったらしい。たぶん、「うちのしろねちゃんは不思議な猫で・・・」とかいう、飼い主の猫バカ自慢を真に受けてしまったのだろう。
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