2021年06月

6月の総括なのに、来月のことを書くのもどうかという気もするが、7月は毎年好例のブログ強化月間である。去年は何日か書かない日があったなと思って確認してみたら、3日書いていない日があった。授業が始まったのが6月で、夏休みが8月入ってからだったから、まあしょうがない。

何を書いたかすっかり忘れていたが、去年の7月の総括で、僕はこんなことを書いていた。
2020年7月の総括
大事なことは、日本の行政は無能であると理解することだと思う。無能な行政と僕たちはどう対峙するか。今後コロナ禍がどうなるかはわからないが、少なくともこれを契機に世界が大きく変わることだけは間違いない。そんな中でまともな対応ができるわけがない。僕たちは、それぞれ個々に対策を考えるほかないだろう。
この時は、政府の行きあたりばったりなやり方に怒りを覚えて書いたのだが、いくら無能でも一年も経てば少しはまともになるだろうと思っていた。

ところが、最近は無能ぶりを証明することばかりである。一年たっていっそうダメになった感じがする。僕たちはますます「個々に対策を考える」ほかなくなっている。

日本のワクチン接種スタートが遅れたのはご存知の通りである。オリンピックを控えているのに、なぜこんなことになったのか。ワクチン接種が十分でないなら、オリンピックは満足にできないのが常識だが、中止にも延期にも無観客にすらしない。

政府に考えがあってやっているのではないだろう。本来ならワクチン接種を早々にすまし、感染者数を十分減らした上でオリンピックを開催したかったはずだ。それができなければ、オリンピック自体を中止か延期、最低でも無観客にするべきだがそれもしない。これはしないのではなく出来ないと考えるほかない。ようするに、ワクチン接種を進めることも、オリンピックを中止・延期することもできないほど無能なのである。

こういう事態になってくると、政局がどうのとか選挙がどうのとか、はては陰謀論まで、いろいろな言説が出てくる。僕はそれらはだいたい間違っていて、ほとんどは「無能だから」で説明が付くと思っているし、そう考えたほうがすっきり説明できる。

去年の7月の総括にはこんなことも書いてある。

今日(2020年7月31日)、東京都の感染者数はついに463人にのぼった。全国でも増える傾向にある。
今日(2021年6月30日)の東京都の感染者数は714人である。タイムマシンに乗って、去年の今ごろの自分に話したらどう思うだろうか。
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『醒睡笑』巻一まで完了した。

内閣文庫本『醒睡笑』:やたナビTEXT

今まで中古・中世の作品のテキストを作ってきたが、『醒睡笑』は初の近世。といっても、ごく初期の成立で中身の戦国・安土桃山時代の話である。バリバリの近世文学よりは中世的なんじゃなかろうかと思ったが、思った以上に近世だった。慣れない言葉が多く―といってもむしろ現代語に近いのだが―読みにくい。

さらにいうと、『醒睡笑』という名前のわりにイマイチ笑えない話が多い。

まず作品名がよくない。本来は「醒睡抄」とするところを、ちょっとひねって「笑」にしたのだろう。これが笑いのハードルを上げている。「○○爆笑寄席」みたいなのが「いうほど爆笑でもないな」というのと同じである。素直に「醒睡抄」にしておけば、「眠気醒しにはなかなか面白いじゃん」となったかもしれない。

それはともかく、中世の笑い話と比べて、ネタが洗練されているのがイマイチ笑えない最大の原因だと思う。

笑いは意外性から起こる。意外性を引き起こす要素は二種類しかない。ボケと言葉遊びである。ボケは予想しない言動で、たとえば帽子と間違えて(あるいはわざと)パンツをかぶるというようなものだ。言葉遊びとは、駄洒落やナゾナゾの類いである。もちろん、これらが複合することもある。

中世の笑いはボケに起因するものが多い。帽子と間違えてパンツをかぶれば、誰がどう見ても面白い。ボケの笑いには普遍性があるから、時代が違っても外国人でも笑えるのである。

『醒睡笑』の笑いは言葉遊びによるものが多い。その言葉を知っていないと笑えないのだ。相手はあまり僕が慣れていない17世紀の言葉で、当時の流行語も多いらしい。注釈を読んだり、う〜んと考えてやっと分かるか分からないかなのだが、そもそも考えた時点で意外性がふっとんで、感心はするが笑えないのだ。

また、落語の祖というだけあって、最後にオチがくる話が多いのもイマイチ笑えない理由の一つである。最初に、「笑いは意外性から起こる」と書いたが、オチが最後に来ると最初から分かっているのはそれだけで意外性を損なってしまう。

では、オチが最後に来ると分かっているのに、なぜ落語は笑えるか。そこが話術というものなのだろう。

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