山本夏彦氏の本の最後には著者紹介とともに著書一覧があって、このレオポール・ショヴォ作・山本夏彦訳『年を歴た鰐の話』(櫻井書店・昭和16年)が一番最初に書いてある。

この『年を歴た鰐の話』は、生前、復刊の許可がでなかった。山本氏の著書一覧がこの本で始まる理由は、氏のエッセイにいくらでも書いてあるので興味があったら読んでほしい。この本、一度読みたいと思っていたのだが、平成十五年に文芸春秋社から復刊されたことにより読むことができた。

これがおもしろいなんてもんじゃない。寓意があるようでない(山本氏によると、純粋なナンセンスで寓意などない)シュールな内容と、ショヴォ自身による、上手とも下手ともいえないみょうちくりんな絵がなんとも言えずいい。

『年を歴た鰐の話』を読んでから他の作品も読んでみたかったのだが、最近、中学校の図書室で発見。探していた本というのはどこから出てくるか分からないものである。さっそく借りてきた。

レオポルド ショヴォー著・出口裕弘訳『いっすんぼうしの話』(福音館書店・1986年12月)である。このシリーズ、ほかにもたくさんある。なお、このリンクにあるのは文庫版だが、僕が借りてきたのは大判の絵本である。こちらは絶版のようだ。

表題の「いっすんぼうしの話」は、普通の人から生まれた小さな少年が、おとっつあんの木靴に乗ってアヒルと一緒に海を冒険し、巨人(少年から見た巨人、つまり普通の人)の王に食べられそうになった小さな王女を助け結婚する話・・・とあらすじを書くと普通だが、読んでみれば分かるけどぜんぜん普通じゃない。

この本には山本氏の『年を歴た鰐の話』に所収される「なめくぢ犬と天文学者(福音館版では「『なめくじ』の話」)」が入っている。こっちの感想は次回に。