鳩山邦夫大臣が全裸番長こと草なぎ剛氏のことを「最低の人間だ。絶対に許さない」と言って逆に叩かれた。ついには返り討ちにあって「あれはいいすぎた」と陳謝する始末。

あれは本当に怒ったのではなく、怒り芸である。あまりに芸が下手だから、返り討ちにあってしまうのであって、ちゃんと怒ったと思われればあんなふうにはならなかったろう。

鳩山氏の怒り芸は、いまいち「キレた感」がない。どことなくパフォーマンスに見えるのだ。そういえば、「かんぽの宿」の時も、「東京中央郵便局再開発」のときもそうだった。

本当にキレたように見せるなら「こいつ、実は草なぎとデキてて、警官に裸を見られた嫉妬で怒っているのでは」と思わせるぐらいでないとダメだ。ここまでくれば、ジャニーズファンのオバハンも何もいえなくなるはずだ。

そこで、怒り芸に関しては一家言ある僕が、僭越ながら正しい怒り芸を伝授しよう。

1.怒り芸の基本コンセプト
大事なことは「何をしでかすか分からないほど怒っている(ブチキレている)」という雰囲気を作ること。その上で、主張すべきことを主張する。これがキモ。

2.視線に注意しよう
鳩山氏の怒り芸で一番いけないのは、怒っているのにカメラを意識しているということである。キレている人間はカメラなど意識しない。これは個人を相手にするときも同じ。相手の目をじっと見てはいけない。
なるべく下を見るようにし、ときどき目線を上げて相手を見る。これで、自分はキレかかってるけど、なんとか抑えようとしているという仕草になる。ブルブル振るえたり、頭をかきむしったりするのも効果的だ。

3.声にはめりはりをつけよう。
怒るというと、大声を出すイメージがあるが、大きな声で怒鳴り続けるのはタブーである。
もちろん、大きな声も出す必要もあるが、それ以上に聞こえないぐらいの声でブツブツつぶやかなくてはならない。
ブツブツいって、突然怒鳴る。このメリハリがないと、単なる大声の人になってしまう。

4.意味不明のことをおりまぜよう。
言いたいことだけを主張すると、キレたとは思われない。大きな声で主張したあと、ぶつぶつと意味不明のことをいう。意味もなく笑ったり、ないたりするのも効果的だ。そこはかとない狂気を演ずること。これが大事。
鳩山大臣も時々笑っているが、あれは狂気というより嘲笑の笑いである。あれでは見ている人に反感を買ってしまう。

さて、以上を踏まえたうえで、鳩山大臣の言葉を正しい言い方に直してみよう。

【誤】
めちゃくちゃな怒りを感じますね。最低の人間としか思えない

【正】
めちゃくちゃな怒りを感じますね。クサナギ…なんでこんなことしちゃったんだ…オレは…オレは……クサナギをこんなに…フフフ…ああ……友よ…アルカイダよ…最低だよ…最っ低の人間としか思えないよーーーーっ!(号泣)

同じ言葉を使っていても、ぜんぜん伝わり方が違うのが分かるだろう。ここまですれば誰も何も言えまい。言い過ぎたなんて陳謝する必要はなかったはずだ。

それはともかく、この人、なんでこんな芸風になっちゃったんだろう。そっちの方が気になるよ。