東京国立博物館で開催されている「伊勢神宮と神々の美術」と「趙之謙とその時代」に行ってきた。

「伊勢神宮と神々の美術」は式年遷宮の記念展である。具体的には、写本、絵画、古神宝、現代の神宝、神像などである。当然、神宮文庫や神宮司庁・斎宮歴史博物館など伊勢神宮近辺の所蔵物が中心だが、それ以外のものもある。神道関連でこれだけ集まるのは珍しい。

最善本といわれる真福寺『古事記』などの古写本が見られたのは良かったが、神宝がおもしろかった。

神宝とは、神々が使う調度品のことで、武具・馬具・楽器・文具・日用品などがある。もちろん、神様が使うものだから、やや装飾過剰だと思うが、古典にでてくる<物体>を立体的に見られる。特に織機のミニチュアはよくできていて、本当に織物が織れそうだ。それにしても、他のものは原寸なのに、なぜ織機はミニチュアなのだろう。

個人的には、神像が好きだ。神像の例は少ないので、以前に見たものが多かったが、これだけまとめて見られたのがうれしい。

仏像と比べると、はるかにシンプルに表現されているのだが、だからといって抽象的ではない。あくまでリアリズムである。

仏像がどんなに優しい姿をしていようと必ず威厳を感じるのに対し、神像はちょっと怖い顔をしていても、そのへんのオッサンのように親近感を感じてしまう。秦の兵馬俑に通じるものを感じる。

神像専門の彫刻家がいたとは思えないので、たぶん仏像も彫る仏師が彫ったのだろうが、なぜこれほど違うのか不思議だ。

さて「伊勢神宮と神々の美術」を見て、さて帰りましょうと出口に向かったら、ゲリラ豪雨。とても外に出られる状態じゃない。やむなく常設でも見に行こうかと思って、本館への廊下の方へ行くと「特集陳列 趙之謙とその時代 ─趙之謙生誕180年記念展─」なるものが。えー、聞いてないっすよ。

趙之謙は清末を代表する文人の一人である。一見野暮ったいんだけど、実はすごく洗練されているのが趙之謙の魅力だ。

特集陳列なので、数はそれほど多くないが、絵画・書・篆刻ともに、かなりの傑作ぞろい(たいがい、どこかの本に載っているもの。そういえば、中国で趙之謙のいいのってみたことないな)で見ごたえがある。篆刻は印影だけでなく、印そのものも見られる。

この展覧会、台東区立書道博物館と同時開催なので、後日こちらも行こうと思う。こちらでは、臨書の原本との比較ができるらしい。

「伊勢神宮と神々の美術」は9月6日(日)まで。
行かなかったけど、同じ会場の「染付−藍が彩るアジアの器」も9月6日(日)まで。
「趙之謙とその時代(東博・書道博物館とも)」は9月27日(日)まで。