懐かし文具(ガリ版):2012年04月06日
懐かし文具(ボールペン原紙 付、ファックス):2012年04月07日

こうなってくると、もう文具ではないが、いよいよ学校印刷界の真打、リソグラフの登場である。これを初めて見たのは大学に入ってからだ。そして今でも使っている。

デジタル印刷機 リソグラフ製品情報:RISO

リソグラフとは、原稿から原紙を切り、印刷機にセットして印刷するという一連の作業を、すべて一台の機械で連続して行えるようにした機械である。一見コピー機に見えるが、孔版印刷という形式はガリ版のころから何も変わっていない。前にも述べたように、プリントゴッコでおなじみの理想科学工業が開発した。

進化としてはそれだけだが、リソグラフの登場は革命的だった。

まず、恐ろしく速い。今のリソグラフは、刷り上がるまでの時間が表示されるのだが、僕は1分という表示以外見たことがない。たぶん、200枚ぐらいまでは1分で刷り上がるのだろう。原稿を読み取るまでの時間を考慮して、原稿をセットしてから3分もあれば100枚程度なら十分刷り上がる。

だから、よほど大部でなければ印刷の時間をほとんど考慮する必要がなくなった。原稿さえ用意しておけば、10分の休み時間でも十分にプリントを刷ることができるのである。

もう一つ革命的だったのが、まったく手を汚さなくて済むということだ。輪転機にかけるにしても、ローラーで印刷するにしても、どうしてもインクの付いた原紙を触らなければならない。うまくやれば手を汚さなくてもできるのだが、あらぬところにインクが付いていたり、古い原紙を捨てるときに思わぬ動きをしたりして、手を汚すことは珍しくない。たとえ汚れなくても、原紙を扱うのはどうしても注意深くなり、それがストレスになる。

ところが、リソグラフはそれがない。あたかもコピーをするようにスマートにできる。原紙を裏表逆に取り付けるというようなミスもなくなる。

リソグラフが学校に登場するのとほぼ同じ時期に、ワープロが一般的に使われるようになった。これにより原稿を手で書く必要がなくなり、ついに字の巧拙まで関係なくなったのである。現在では、PCから直接データを送って印刷することもできる。

こうして学校の印刷は、ガリ版時代とは比較にならないぐらい、手間と時間がかからなくなったわけだが、便利になったらなったで新たな罠が待ち構えていた。

非科学的だが、どういうわけだか急いでいるときに限って、壊れたり、紙詰まりを起こしたりするのである。詰まっている場所が取り出しにくいところだったりすると、時間はかかるし、手は汚れるしで最悪だ。

そうなってもいいように前の日までに準備しておけばいいのだが、すぐに印刷できると思っているので、ついぎりぎりになってしまう。もっとも、前もって印刷しているときは、不思議とトラブルがない。

一番納得いかないのが「使用済みマスターがたまっています」である。マスターはガリ版でいう原紙のことで、リソグラフでは新しく版を作るたびにマスターが自動的に廃棄箱に入るようになっている。それがいっぱいになったらゴミバコに捨てなければならない。

もちろん捨てるのが嫌だというのではない。この表示はなぜか製版した後に出る。これが問題だ。

急いでいるこちらとしては、すでに製版はできているのだから、とりあえず印刷して、その間にマスター捨てをしたい。ところが捨てるまで完全にストップしてしまうのである。

僕たちはどうも機械から信用されていないようである。