鎌倉時代の説話集『世継物語(小世継)』の電子テキストを公開します。

世継物語(小世継):やたナビTEXT

『大鏡』や『栄花物語』の別称として『世継物語』というのがありますが、今回公開する電子テキストは、鎌倉時代の説話集で、『小世継』とも言われるものです。また、異本に『宇治大納言物語』とするものもあります。

『世継物語』には古写本がなく、江戸時代に刊行された版本によって伝わっています。この電子テキストでは、河内屋八兵衛・同彦兵衛という刊記のあるものを底本に翻刻し、校本を作成しました。

テキストの扱いは、先日公開した『古本説話集』同様、翻刻部分はパブリックドメイン(著作権ナシ)として、校訂本文部分はクリエイティブ・コモンズライセンス 表示 - 継承で公開します。

マイナーな説話集なので、内容について少々解説しておきましょう。

『世継物語』は、平安時代の王朝世界を描く説話が多いのが特徴です。世界観としては、『古本説話集』上巻にちょっと似ていて、実際『古本説話集』の説話もいくつか含まれています。中世の説話集として、変わっているのは、『大和物語』『栄花物語』『枕草子』など、平安朝の作品を出典とする説話が収録されていることでしょう。

よく知られている説話では、芥川龍之介『好色』、谷崎純一郎『少将滋幹の母』の元ネタになった、平中(平貞文)の説話があります。

第54話 本院侍従の君を兵衛佐貞文あざな平中御子の孫にて・・・:世継物語-やたナビTEXT(『好色』)
第55話 国綱の大納言と申す人おはしけり・・・:世継物語-やたナビTEXT(『好色』『少将滋幹の母』)

芥川は『今昔物語集』のみをもとにしているようですが、谷崎は『今昔物語集』に加えて、『世継物語』も参照しています。比べてみるのも面白いと思います。