このブログはやたがらすナビの付録のブログである。やはり、少しは文学の香りがしないといけない。

大阪で文学といえば、オダサクこと織田作之助。そして、織田作之助といえば『夫婦善哉』。
織田作之助『夫婦善哉』:青空文庫
夫婦善哉
千日前の愛進館で京山小円の浪花節を聴いたが、一人では面白いとも思えず、出ると、この二三日飯も咽喉へ通らなかったこととて急に空腹を感じ、楽天地横の自由軒で玉子入りのライスカレーを食べた。「自由軒(ここ)のラ、ラ、ライスカレーはご飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい」とかつて柳吉が言った言葉を想い出しながら、カレーのあとのコーヒーを飲んでいると、いきなり甘い気持が胸に湧わいた。
自由軒はこんな感じ。隣にケバブ屋があるのが、なんともシュール。
自由軒
入ってみた。今の大阪は〈作られた感〉がすごいが、ここは違う。ちゃんと昭和している。

他のお客さんもいたので、店内の写真は撮れなかったが、座席の配列がちょっと変わっている。店の真ん中に、テーブルが一列に並んでいて、そこに向かい合わせになって座るのだ。フィーリングカップル5対5のテーブルが狭くなった感じといえば、(若い人には分からないけど)分かるだろうか。普通の4人席も空いていたのに、妻と二人で入ったら、フィーリングカップル席に向かい合わせに座らされた。

「ここのラ、ラ、ライスカレーはご飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって・・・」というカレー、現物は撮っていないが(僕は食い物の写真を撮るのが苦手である)、サンプルは撮ってある。たしかに、よくまむしてある。ちなみに「まむす」は韓国語でいえばビビン、中国語ではバンバンである。

卵は大盛りだと2つになる。そこへお好みでソースを掛けて、さらにビビンする。子供の頃、父がよくカレーにソースを掛けていたのを思い出す。味?食えば分かる。
織田作之助好み名物カレー
ハヤシ・・・もといハイシライスもあるでよ。やはり生卵が乗っているらしい。
ハイシライス
最近はレトルトのものも出ているので、店で食べられなくても、駅の土産物屋で買える。
自由軒レトルトカレー
実はamazonでも買える。

若女将らしい。
若?女将
柳吉は「どや、なんぞ、う、う、うまいもん食いに行こか」と蝶子を誘った。法善寺境内の「めおとぜんざい」へ行った。道頓堀からの通路と千日前からの通路の角に当っているところに古びた阿多福人形が据えられ、その前に「めおとぜんざい」と書いた赤い大提灯がぶら下っているのを見ると、しみじみと夫婦で行く店らしかった。
こちらが、夫婦善哉。今は巨大資本が経営しているらしい。
夫婦善哉(汁粉屋)
モッサモサの水掛け不動。
水掛け不動
法善寺横丁入り口。こちらの額は、藤山寛美によるもの。
法善寺横丁
こっちは、今年の1月に亡くなった三代目春団治。
JPG
さて、こんなところかと思っていたら、たまたま買ったフリカケを売っていた店もでてきた。あとから気がついたので、店の写真はない。
山椒昆布を煮る香いで、思い切り上等の昆布を五分四角ぐらいの大きさに細切りして山椒の実と一緒に鍋なべにいれ、亀甲万の濃口こいくち醤油をふんだんに使って、松炭のとろ火でとろとろ二昼夜煮つめると、戎橋の「おぐらや」で売っている山椒昆布と同じ位のうまさになると柳吉は言い、退屈しのぎに昨日きのうからそれに掛り出していたのだ。
をぐら屋