『成尋阿闍梨母集』の電子テキストを公開しました。例によって、翻刻部分はパブリックドメイン(CC0)で、校訂本文部分はクリエイティブ・コモンズライセンス 表示 - 継承(CC BY-SA 4.0)で公開します。

宮内庁書陵部本『成尋阿闍梨母集』:やたナビTEXT

底本は宮内庁書陵部本で、影印は書陵部所蔵目録・画像公開システムを使用しました。これは、現在、大阪青山歴史文学博物館に所蔵されている、定家本を丁寧に書写したものとされています。伝本はこの2つしかありません。

非常に美しく書かれていて読みやすく、文章も一部意味不明の語が含まれる以外はそれほど読みにくくないので、スイスイと翻刻が進みました。今一部で流行しているらしい翻刻の練習にもオススメです・・・・が、終盤に行くにしたがい、アレ?なんだか読みにくくなったような・・・。

この本、最初は10行で書かれています。これが書き出し。字そのものも美しく、字間にも行間にも余裕があって、仮名書道作品みたいです。
4左
ところが途中(書陵部所蔵目録・画像公開システムの48コマ左)から11行になります。まあ、一行増えただけなので、やっている最中は気づきませんでしたが・・・。
48左
終盤に差し掛かって(61コマ左)、「アレ?読みにくい。なんかヘンだぞ」
数えてみたら12行になっていましたが・・・
61左
ついに、14行に(62コマ左)。字もずいぶん小さくなりました。最初の余裕はどうした!
62左
このあとは、しばらく13行と14行が混在するのですが、最後の丁(69コマ左。オーラス70コマ右は2行で終わり。)で、何事もなかったかのように、しれっと11行に戻ります。
69左
大阪青山の紹介ページを見ると、最初の一丁の写真があって、書陵部本と全く同じ字詰めになっているので、定家本の段階からこうだったのでしょう。

行数が変わることはたまにありますが、こんなに変わるのは見たことがありません。あの定家が、「うわ、やべぇ。紙が足んねぇ。」とか言っているのを想像すると、思わず笑ってしまいます。