ノーベル文学賞をカズオ・イシグロさんが取ったそうだが、そんなこととは全く無関係に、やたナビTEXTの次の作品は、源光行『蒙求和歌』にした。底本は国立国会図書館本。

国立国会図書館本『蒙求和歌』:やたナビTEXT

『蒙求和歌(もうぎゅうわか)』は、鎌倉時代初期に源光行によって作られた、『蒙求』翻案作品である。『蒙求』は唐代の李瀚によって作られた、四字一句の韻文596句からなる、子供向けの教科書的な作品。四文字の韻文だけでは何が何だか分からないので、後に注という形でその句が意味するエピソードが記された。

千字文』や『三字経』の類だと思ってもらえばいいが、本家中国ではそれらに押されて早くに廃れてしまった。日本では、平安時代以降根強い人気があり、近世まで初学者の教科書として使われ、多くの日本文学作品に影響を与えた。

『蒙求和歌』は、一つの説話が『蒙求』の四字句と和文による説話、そしてタイトル通り和歌からなっている。翻訳説話と和歌というと、『唐物語』を想起するが、『唐物語』があくまで歌物語として書かれているのに対し、『蒙求和歌』はあくまで四字句を題材に作者源光行が詠んだもので、各説話の終わりに付けられている。

この手の翻訳作品は、なぜか冷遇されていて、『蒙求和歌』も活字になったものがはなはだ少ない。近年、『『蒙求和歌』校注』(章剣・溪水社)というのが出たようだが、恥ずかしながらまだ未見である。


底本の国会図書館本は、字が細かいこと以外、それほど読みにくくないし、他にも簡単に参照できる本もあるのだが、なにしろ参考とすべき前例がないので、いろいろと判断の難しいところがある。

例えばすでに第1第5話まで作ったのだが、ここでふと第5でいいのかと疑問がわいた。なにしろ『蒙求和歌』である。しかも部立てまである。これは和歌が主体ではないか・・・と。とはいえ、第x首というのも何かヘンな気がする。

まあ、とりあえずこのまま続けていって、問題があれば修正していくことになるだろう。