インラインスケートの練習で、夜な夜な近所の公園に行っている。夜の公園はいろいろな人がいて面白い。ジョガー、カップル、犬の散歩、よっぱらい、ラジコンで遊んでいる人、一人でなにやら考え事をしている人、宴会している人・・・日替わりで、入れ代わり立ち代わり、いろんな人が来る。

そんな中、いつ行っても必ずいるのが「スモンビ(Smombie)」である。

スモンビとは「スマートフォンゾンビ(Smartphone zombie)」ともいい、日本語でいう「歩きスマホ」である。欧米ではよく使われる言葉らしく、各国語のWikipediaに立項されている。

Smartphone zombie(英語版)
Smombie(ドイツ語版)
Smombie(フランス語版)
Smombie(スペイン語版)

それにしても、ゾンビとはよく言ったものだ。スマホを見ながら歩くと、自然と歩く速度が遅くなる。前を見ずフラフラと歩く様子は、まるで魂がないようだ。これが夜の公園となると、さらにゾンビ度が増す。

公園内の道を滑っていると、前方の暗闇から、青白い顔がぬらーりとやってくる。これが夜のスモンビである。スマホに照らされて、顔が青白く光って見える。まるで怪談を語る稲川淳二だ。
(下の写真は再現です)
スモンビ(再現)
このゾンビ、老若男女さまざまである。ただし、一番怖そうな老女のゾンビだけは見たことがない。公園内には複数のゾンビがいるが、おのおの一人で行動し、集団で襲ってくることはない。

ゾンビだからスピードは遅いのだが、これを避けるのがなかなか難しい。やってくるスモンビの右か左があいているので、スピードを落としてあいている方へ避ける。ところが、どういうわけだか、わざわざこちらに向かってくる。さすがはゾンビというだけのことはある。そういう習性なのだろう。

だから最近はゾンビを見つけ次第、Uターンして逃げるようにしている。もし発見が遅れて、どうしてもすれ違わなければならない時は、僕の方から完全にストップしてしまう。これでも向かってくるやつがいるので恐ろしい。

スモンビには待ち伏せしている者もいる。これがまた怖い。

僕がいつも行く公園には、一箇所だけ喫煙所がある。
喫煙所
最初のころ、スケートを履いたまま、ここにいかに格好良く入るかが、僕のテーマだった。広い道から、スピードを十分落として左にターン、喫煙所に入る。吸殻入れの前でピタッと止まり、やおらポケットからタバコを出して点火。

この一連の動作を、スムーズかつ涼しい顔をしてできたら合格である。喫煙所の中の地面は少し傾斜しているうえに、ゴツゴツしているので、これが初心者にはなかなか難しい。よろけてパーティションや吸殻入れに手を伸ばしたら失格である。

この喫煙所、高確率でスモンビがいる。どういうわけだか、決まって隅っこのほうでしゃがんでいる。外からはパーティソンに隠れて見えない。入ると青白い顔の人が足元でしゃがんでいて、びっくりしてコケそうになる。

ゾンビのくせにタバコを吸うのかと思ったら、かならずしも吸っていない。毎回同じ人ではなく、しばらくするといなくなって、また別のゾンビが来る。タバコの臭いがゾンビを引き付けるのか、はたまた、ここを当番で守っているのか、とにかく心臓に悪い。