今月の話題は、日大アメフト部のアレである。学生よりも監督・コーチ・大学職員のボンクラぶりがやたらと目についたが、僕にとって一番印象的だったのが、監督・コーチの記者会見の場で、司会が放った言葉である。
記者会見で「日大のブランド」失墜か 「受験やめる」「やめさせた」ネットで相次ぐ:しらべぇ
ある記者が「あなたの発言で日大のブランドが落ちるかもしれないんですよ」と発言。しかし、司会者は「いいえ、落ちません!」と激高。当然ながら会場は騒然となった。

「ブランド」は今の日本を読み解くキーワードだと考えている。

おそらく日本人ほどのブランド好きはいないだろう。日本でブランドを確立するのは容易なことではないが、一旦確立されると、少々のことではその価値は毀損されない。これが僕が日本人はブランド好きであると考える所以である。

だから、「いいえ、落ちません!」と言った司会の言葉は決して間違っていない。実際、日大ブランドもペナルティを受けて、一時的には受験生も減るかもしれないが、そんなのせいぜい1・2年で戻ってしまうだろう。早稲田のスーフリ事件で、早稲田のブランドがどの程度落ちたかを考えれば、すぐに分かる。

本来、ブランドは価値を維持する努力を怠れば、すぐに落ちるものだ。事件そのものもそうだが、ウソをついたり、ミスの処理が悪かったりすれば、ブランドの価値は地に落ちて、そのブランド名はマイナスに働く。ところが日本ではそうではない。最初のブランド価値が高ければ高いほど、すぐに復活する。それが分かっているから、「いいえ、落ちません!」なのだが、もちろんこれは日大だけの話ではない。

ブランドの価値とは、わかりやすく言えば信用である。日本では、何らかの不祥事で信用を失っても、もともとのブランド価値が高ければ、すぐに信用をとりもどすのである。

ニュースを見ていると、今の政府も官僚も、ブランド価値の維持に努めているとはとても思えない。あれでもいまのところ通用しているのは、多くの日本人にとって国家があらゆるブランドのトップにあるからである。しかし、国家がブランドのトップにあると考えていない人にとっては、今の政府にまかせてはおけないと思うのは当然である。

こうした中、高度プロフェッショナル制度なる法案が可決されそうな勢いである。ブランド価値のない政府が作る法律を、これまたブランド価値のない企業が運用する。そりゃ竹中平蔵がいくら擁護したって、信じられるはずがない。