『打聞集』の電子テキストを公開しました。例によって、翻刻部分はパブリックドメイン(CC0)で、校訂本文部分はクリエイティブ・コモンズライセンス 表示 - 継承(CC BY-SA 4.0)で公開します。

打聞集:やたナビTEXT

『打聞集』は大正時代に山口光円により、金剛輪寺で発見された仏教説話集です。現在は京都国立博物館の所蔵ですが、昭和2年に古典保存会により複製が作られ、国立国会図書館デジタルコレクションに入っています。やたナビTEXTはこれを底本に作成しました。

打聞集:国立国会図書館デジタルコレクション

内容的には、『今昔物語集』・『宇治拾遺物語』・『古本説話集』・『日本霊異記』に見られる説話ですが、同文性はそれほど高くありません。ほとんどがそれらの説話よりも簡略化されていますが、単純な簡略化ともいえず、なかにはちょっと凝った構成になっていたり、簡略にもほどがある程度に短いものもあります。

最後に付いている巻末文書も重要です。巻末文書には、『大鏡』と『大和物語』の本文が含まれます。いずれも短いものですが、古態を示しているといわれます。

つかみ所のない、ナゾの仏教説話集ですが、それぞれの説話集の関係を考える上では、欠かせない資料となっています。