中学から高校に進学した時、すでに教室にクーラーが入っていた。

昔のクーラーは、今のように細かい制御はできないから、これがやたらと効く。ちょうど風が当たる席になったとき、あまりに寒いので柔道着を着て授業を受けたほどである。

ところが大学に進学したら、5階の大教室以外、クーラーが入っていなかった。これには驚いたが、1・2年はまわりに何もない手賀沼のほとりだったから、クーラーがなくてもさほど苦にならなかった。

問題は3年からである。3年になると、東京のど真ん中、靖国神社にほど近い千代田校舎(当時の名前)に移る。さすがにここには入っているだろうと思ったら、ここも5階の大教室以外クーラーが入っていなかった。

大都会のコンクリートジャングルである。千葉の田舎と違いやたらと暑い。窓を開けなければ、授業なんかやってられないのだが、窓の外は往来の激しい内堀通り。

というと、車の騒音だと思われるかもしれないが、それは慣れているのであまり気にならなかった。問題は右翼である。ウヨクではない。右翼だ。

なにしろ靖国神社が近いので、右翼の街宣車がしょっちゅう通った。これがバカでかい音で軍歌をかけながらゆっくり走る。うるさいことこの上ない。軍歌ならまだいいが、何やら演説を始めると、講義が全く聞こえなくなる。

某教授「これから訳すので、ここはそのままノートに書いてください。えー、魯の殿様は・・・(左伝の授業だった)」

某右翼「日教組フンサーーーーーーーーーイ!!北方領土ヘンカーーーーーーン!!」

某教授「・・・・と言いました。」

某教授の訳はどんどん進んでしまう。とりあえずノートには「魯の殿様は、『日教組粉砕、北方領土返還』と言いました」と書いた。

あとで友人数名に聞いたが、結局、魯の殿様が何と言ったのか、誰にも分からなかった。