先日、次のようなTweetが出回り、ちょっと話題になった。



「最近、海外からの旅行者から不満が出ています。それは中国語とハングルが多いかららしいです」ってマジ?日本人の不満じゃないの?:Togetter

何も判断材料がない場合、白猫氏のTweetだけでその信憑性をどう判断するか。ちょっと考えてみよう。

まず、「海外からの旅行者」は誰か。「中国語とハングルが多い」ことを不満に思っているのだから、中国語や韓国語を使う国以外から来た外国人ということになる。おおむね欧米人と考えてよいだろう。

旅行者だから、日本語はできないと仮定してよい。そういう人の目に、日本語・英語・中国語・韓国語の四ヶ国語で書かれた案内はどう映るだろうか。

漢字やハングルを読める人が不満を持つとは考えられないので、不満を持ったという欧米人は、漢字もハングルも読めない人ということになる。

では、そういう人にとって、日本語・英語・中国語・韓国語の四ヶ国語表示はどのように目に映るだろうか。これは、自分が読めない文字のことを考えればいい。僕の場合、アラビア文字やタイ文字は読めない。日本語・アラビア語・ペルシア語・タイ語が並んでいたら、日本語以外は単なる模様にしか見えないだろう。

同様に、漢字やハングルが読めない欧米人にとっては、英語やフランス語などのラテン文字以外は模様に過ぎない。文字として読めない模様に不満を言う人がいるわけがない。

まして、ハングルはともかく、同じ漢字を使う日本語と中国語は、漢字を知らない欧米人に見分けをつけることはできないだろう。これは、僕にとって、アラビア語とペルシア語が見分けが付かないのと同じである。なぜ、この外国人旅行者は中国語が多いことに気づいたのだろう。

つまり、「最近、海外からの旅行者から不満が出ています」というのはデタラメか、仮にあったとしても、取るに足りない、極めて希少な意見であることは間違いない。根も葉もないウソか(僕はこの可能性が高いと思っている)、針小棒大なフカシかである。

白猫氏のTweetには「ここは日本なのですから日本語と英語だけで充分なのです。」と書いてある。ようするに、白猫氏にとって言いたいのはこれだけ、日本から中国語と韓国語の表示を消したいということだけだ。彼は、これを言いたいために、実在しない外国人旅行者に不満を言わせているのである。これは極めて不誠実な態度だ。

ここでは、あえて他の材料を用いずに、白猫氏の短いツイートだけを元に、〈常識〉で考えることでその信憑性を考えてみた。

ついでに、僕が海外へ行った経験で「他の材料」を付け足すと、案内表示を見る限り、多言語表示は世界的な趨勢になっている。とりわけ中国語は多言語表示のほとんどに入っている。中国から遠いアメリカやヨーロッパの国々でも中国語の表示はよく見られるのだから、日本に来て中国語表記が多いと不満を言う旅行者がいるわけがない。

そして、もっとも大事なことは、自分の主張を補強するためにウソをつく人間を信用してはいけないということである。

「日本語と英語だけでいい」と主張するのは自由だ。しかし、それを裏付けるために、非実在旅行者の口を借りるような人間の言うことは、これ以外でも信用してはいけない。