僕の仕事部屋はエレベーターの隣にある。だからエレベーターの前で誰かが会話していると、よほど小さな声でない限り全て聞こえてくる。

以前、同じ階に、ちょっと変わった人たちが住んでいた。おじさんとおばさんの(たぶん)二人暮らしなのだが、おじさんの方はいわゆるオネエ言葉だった。ファッションもいわゆる女装ではないが、だいぶ変わっている。それに対して、おばさんの方は、見た感じ普通の人だった。

二人の関係は分からないが、よほど仲がいいらしく、いつもエレベーターの前で会話をしていた。それが、部屋にいるとよく聞こえてきた。

たいがい、おばさんの方が聞き役で、おじさんの方が、なにやら愚痴を言ったり、泣き出したり、なかなか感情豊かで、悪趣味だとは思いながらも、窓一枚隔てた部屋から、息をひそめて聞き耳を立てていた。もうずいぶん前のことで、具体的には覚えていないが、一つだけよく覚えている言葉がある。

「きれいね〜。わたし、ここから見る夕日が一番好きなの。」

すっかり忘れかけていたが、今日はそこからの夕焼けがきれいだったので、思い出した次第。

夕焼け
明日も暑くなりそうだ・・・。