辛亥革命によって、三百年近く続いた満州族による王朝、清は崩壊したものの、中国最後の皇帝である愛新覚羅溥儀は、しばらくは紫禁城に住み、いずれ別荘の頤和園へと移る予定だった。

ところが、1931年9月18日の柳条湖事件を発端に満州全土を掌握した日本は、1932年3月9日、清朝の再興をはかる溥儀を皇帝として祭り上げ、傀儡国家満州国を築いた。傀儡国家のため、中国では頭に「偽」を付け「偽満州国」という。首都は長春に置かれ、新京と改名された。もともと地方都市にすぎなかった長春は、突然首都になり日本の手で開発が進んだ。

長春が偽満州国の首都たるゆえんが、皇居である。現在は偽満皇宮博物院として公開されている。最寄り駅はこちら。偽皇宮駅。すごい名前だ。
偽皇宮駅
入り口の門扉には巨大な満州国の国章が付いている。実は駅からここまでが長い長い。
偽満皇宮博物院門扉
門をくぐると一番最初に見えるのが、緝熙楼。通称宮殿と言われ、皇帝溥儀、正妻の婉容、側室の譚玉齢はここで生活していた。
緝熙楼
側室譚玉齢の寝室。
譚玉齢臥室
正室の婉容は、ここでアヘンを吸って廃人同然になっていた。満州国崩壊と同時に逃亡先死去したという。
婉容の喫煙室
皇帝専用散髪室。
溥儀専用散髪屋
皇帝専用トイレ。
溥儀専用トイレ
この建物の隣には、東御花園という広大な庭がある。こんな感じで遊歩道に玉石が敷き詰めてあるのだが、雨が降っていてこれがまたよく滑ること滑ること。
東御花園
ここには、建国神廟なる天照大神を祀った神社があった。現在は礎石だけが残っている。
建国神廟礎石
神社には天照大神用の防空壕もある。ピンボケですみません。
天照大神用防空壕
わざわざ神様のための防空壕を作るぐらいだから、よほど大事にしていたのかと思いきや、満州国が崩壊して溥儀が逃亡したとき、この神社は関東軍の手によって放火されたという。天照大神といえば皇祖神だが、そんなものなのだ。

皇帝専用のプールも作られた。しかし、皇帝は人前で体を見せてはいけないので、溥儀自身はプールに入ったことがないそうだ。
皇帝専用プール
さて、ここの(僕が決めた)一番の目玉は、「御用防空壕」である。空襲に備えた皇帝用防空壕で、築山の地下にある。
御用防空壕入口
湿った階段を降りていくと、やたらと頑丈な扉が見える。どういう仕組みになっているのかさっぱり分からないけど、金庫の扉よりも頑丈そうに見えるので、そうとうな衝撃に耐えられそうだ。
御用防空壕の扉
これはポンプ室だろうか。
御用防空壕ポンプ室
ポンプ室以外はいくつかの部屋になっていて、中で繋がっている。
御用防空壕の部屋


【2018/10/09 追記】
当初、この記事で溥儀の寝室として紹介したのは、緝熙楼ではなく同徳殿の寝室だったため削除しました。

偽満皇宮博物院へ行った(その2)につづく。