今月下旬、シリアの武装勢力に拘束されていた安田純平氏が解放され帰国した。一部でまたぞろ醜悪な自己責任論を振り回している人が出てきた。

記憶している限り、この自己責任論とやらは、2004年のイラク人質事件からである。僕はあれを自己責任の悪用だと思ったが(自己責任の悪用:2009年07月30日参照)、今回も全く同じである。

何度でも繰り返すが、ジャーナリストだろうとボランティアであろうとバックパッカーであろうと、みな自己責任で海外に行っている。そうでないのは旅行会社主催のツアー客ぐらいで、これは事故があれば旅行会社に責任がある。ツアーで海外旅行に行くと、クソ不味いメシしか出てこないことがあるが、妙な屋台飯を食われて腹でもこわされたら、旅行会社の責任になってしまうからだ。

しかし、自己責任で行っているから、国家が助けなくていいということにはならない。パスポートを持って外国へ行く以上、何らかの遭難をした場合、日本国はそれを助ける義務がある。それはパスポートの表紙の裏、つまり一番最初に外務大臣からの要請として書いてある。
外務大臣の要請
日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。 日本国外務大臣

こう書かれている以上、問われるのは外務大臣を始めとする関係諸官がちゃんと「必要な保護扶助を与え」たかどうかだけだ。3年も拘束され、その間の状況が全く伝わってこなかったのだから、それこそおおいに問われるべきだろう。

「まずは謝れ」だの「国に迷惑をかけた」などと言っている人もいるが、それは、急病で救急車を呼んで、「まずは救急隊員に謝れ」だの「消防署に迷惑をかけた」だのと言うことと同じことである。バカバカしいにもほどがある。