無料で読める漫画サイトスキマ池沢さとし『サーキットの狼』を読んだ。

『サーキットの狼』はリアルなレース漫画のはしりで、70年代のスーパーカーブームの火付け役でもある。僕もそのまっただ中で小学生をしていたし、実家の文房具屋ではプラモデルや消しゴム、BOXYボールペンでおおいに稼がせてもらった。

そんな思い入れのある作品を45年ぶりぐらいに読んだのだが・・・

アレ?こんなに面白くなかったっけ?

ちょっとびっくりした。

レース漫画なのだから当たり前なのだが、レースばっかりしているのである。主人公がロータスヨーロッパに乗る風吹裕矢で、ライバルがポルシェ911の早瀬佐近、早瀬の妹ミキが風吹の彼女・・・とそのあたりは覚えていた。だから、人間関係だけでも何か起きそうな感じがするが、そのへんはあっさり描かれていて、基本レースに終始している。

連載していた少年ジャンプの標語は「友情・努力・勝利」だが、「努力」に当たるところが全く無い。ただし「友情・勝利」成分はものすごく濃い。バトル物にありがちな特訓みたいなのはなく、問題をかかえても本番のレースの中で解決していく。

読んでいるうちに、これはまとめて読むものではなく、連載で読むものだと気がついた。毎週どんなレースになるか、誰とどんなバトルをするか、それを期待して読めば面白そうだ。それを一度に読もうとしたので、飽きてしまったのだ。

もし『サーキットの狼』を一度でも読んだことがあるのなら、名場面を思い出してほしい。まず、主人公風吹裕矢の乗っていたのは白いロータスヨーロッパだった。弱点はスタビライザーで「スタビライザーをうったか!」というのを覚えている人も多いと思う。
スタビライザーを打ったか
強烈なゴールシーンを覚えている人も多いだろう。
ゴール
優勝は真ん中の風吹裕矢でご覧の通り逆さま、二位は右の沖田だが実は中で死んでいる、三位の早瀬佐近は故障で停止寸前、こんな強烈なゴールはなかなかない。

これらの名場面はすべて最初のレースである公道レースでの場面である。そもそも、『サーキットの狼』というタイトルだが、まだサーキットを走っていない。このあと、ツーリングカーレースでやっとサーキットを走るようになり、最後はF1までいくのだが、僕はほぼ覚えていなかった。どうも子供時代の僕は「レースばっかり」に飽きていたようだ。

なんだかクサしているようなことを書いているが、すでにレースマンガの基本要素が入っているのはすごい。しかも、当時はモータースポーツはまだマイナーで、読者層は自動車の運転ができない子供である。あちこちに説明のコマがあるなど、作者の工夫と熱意には驚かされる。
ウンチク
この作品がなければ、『頭文字D』(それ以外が出てこなくてすみません)なんかはなかっただろう。レースマンガの『蘭亭序』である。