昨日のKDDIの通信障害は交換機の故障による輻輳(ふくそう)が原因だという。

au通信障害、原因は通信設備の故障による輻輳 通信規制で対処中:ITmediaNEWS
一部のVoLTE交換機の故障により、トラフィックが一部に集中(輻輳)した結果として、通信がつながりにくい状況が起きているという。同社は輻輳の軽減のため、各ユーザーの通信を規制するといった対応を取っているとしている。ただし、復旧自体のめどはいまだ立っていない。
交換機というのは電話をかけた相手に繋ぐ装置のことだから、一部のこれが故障して、故障していない交換機に集中した結果、繋がりにくくなったということだろう。「輻輳」という言葉はあまり聞き慣れない言葉だが、個人的には東日本大震災のとき知った言葉である。あのときも電話が集中して繋がりにくくなった。

気になるのは「輻輳」という言葉である。どちらも常用漢字に入っていないどころか、これ以外に見た覚えがない。読みは声符(音符)で推測できるとおりだが、本来の意味はさっぱりわからない。というわけで調べてみた。

辞書などに書かれていたことをまとめると、「輻」は車輪から車軸に伸びるもので、自転車のホイールでいえばスポークのこと。「輳」は「一点に集まる」という意味で「凑(湊)」の異体字。「凑(湊)」の方が古く、本来は川が集まる場所という意味に由来するらしい。したがって「輻凑」や「輻湊」とも書く。

そこから、スポークがハブの一点に集中するように、人や物が一ヶ所に集中することを「輻輳」というようになった。用例も古くからあり、例えば『管子』任法に見られる。ここでは、聖君を中心にスポークがハブに集中するように群臣が集まって仕えるという意味だろう。
聖君亦明其法而固守之,群臣脩通輻湊以事其主,百姓輯睦聽令道法以從其事。
そう考えると、「トラフィックが一部に集中」には適切に思えるが、気になるのは中国語でそのような意味として使われているのかである。

いくつか辞書を当たってみたがそのような意味は書いていない。baiduなどで検索してもそのような使い方は見られない。今回の障害も報道されているが、「輻輳」という言葉を使っているものはない。どうも「トラフィックが一部に集中」する意味としては中国語では使わないらしい。

ただし、医学用語の輻輳反射(近くを見ると寄り目になること)としては使われていて、これは日本でも使われるので、もともとは医学用語が通信用語に転用されたものだろう。しかし、目玉は2つしかないのでイマイチ輻輳感がない。「トラフィックが一部に集中」意味に使い始めた人は、かなり教養のある人だったのだろう。

それにしても、まだ通じてないよ。休日で暑い中復旧作業をしている人は大変だと思うけど、大丈夫かねコレ。