一月ほど前『土佐日記』が終わり、『一言芳談抄』も残すところあと少し。ということで、『伊勢物語』を始めることにした。

嵯峨本『伊勢物語』:やたナビTEXT


実は僕がやらなくても『伊勢物語』の電子テキストはネット上にたくさんある。その点では、やたナビTEXTに収録するテキストとしては優先順位が低いのだが、同じ平安時代の歌物語である『大和物語』・『平中物語』がすでに入っているので、『伊勢物語』は入れたいと思っていた。

となると、まず底本を決めなければいけない。ところが『伊勢物語』の伝本はやたらと多い。一般的には天福本系の学習院大学蔵本が注釈書の底本とされるが、これはネット上では見られない。

同系統に宮内庁書陵部本があるのだが、同じ宮内庁書陵部蔵の『伊勢物語』の写本は山ほどあって、なんとなくこれかなというのはあるものの、イマイチ確証がもてない。論文などを探れば特定できるのだろうが、正直面倒くさい。こういうの何とかならないものだろうか。

そこで、嵯峨本を底本にすることにした。嵯峨本は江戸時代初期の古活字本だが、本文は天福本系で、後に流布する版本の祖でもある。後の絵入り版本に影響を与えたと思われる挿絵も入っている。国文学研究資料館の日本古典籍データセットで提供されている画像を用いれば、各ページに挿絵を入れることもできる。

というわけで、作ってみた。

第1段 昔男初冠して平城の京春日の里にしるよしして狩りに往にけり・・・:伊勢物語


なかなかいい感じだと思うけど、どうだろう。