『伊勢物語』の電子テキストを公開しました。


嵯峨本『伊勢物語』:やたナビTEXT

底本は国文学研究資料館所蔵の嵯峨本です。いつもどおり、翻刻部分はパブリックドメインで、校訂本文部分はクリエイティブ・コモンズライセンス 表示 - 継承(CC BY-SA 4.0)で公開します。

『伊勢物語』の電子テキストはあちこちにあるので、今回はあえて嵯峨本を底本にしました。嵯峨本伊勢物語がどんなものかは、次のリンクをご覧ください。

嵯峨本『伊勢物語』:印刷博物館

今回は挿絵も見られるようにし、一段で複数ある場合はページを分けました。さらに挿絵だけ概観できる挿絵ギャラリーを付録でつけました。


嵯峨本伊勢物語挿絵ギャラリー

サムネイル画像をタップ(クリック)するとスライドショーが見られ、サムネイル下のリンクをタップ(クリック)すると、詳細が見られ、そこから『伊勢物語』本文に飛ぶことができます。なお、画像は人文学オープンデータ共同利用センターのものを縮小して使用しています。

伊勢物語:人文学オープンデータ共同利用センター

『伊勢物語』がどんな作品かなんてことは、僕が語るまでもないと思いますので、ちょっと思い出話を。

僕が大学に入って初めて演習形式の授業に参加したのが『伊勢物語』でした。演習というのは担当する章段の本文・注釈・通釈(現代語訳)をプリントにして発表する授業のことです。初めて影印本に触れたのもこのときです。文学研究のイロハのイを『伊勢物語』で学んだということになります。

今回あらためてを読んでみて、なぜこれが最初の教材に選ばれたのかがよく分かりました。章段一つ一つは簡潔で、内容もシンプルです。しかし、深く読むと問題点がたくさんあり、簡単には読めない。いまだに解釈の分かれる部分がたくさんあり、「古典はどう読むべき」ということを理解するにはこれほど適したものはないでしょう。古典というものは多かれ少なかれそういうものですが、特に『伊勢物語』の場合は、現代語訳を読んでも5%も理解したことにはならないと思います。

さて、演習の思い出にはまだ続きがあります。教員免許更新講習の古典担当の先生の一人が、この演習の先生だったのです。しかも同じ『伊勢物語』です。90分の講習でどこまで話すのだろうと思ってたら、第一段から新幹線なみの速さで東下りを下り終えてました。演習のときの半年分ぐらいを90分でやった感じです。

喋っている先生はケロっとしてましたが、聞いている方はみんなクタクタです。僕としては懐かしかったのですが、古典専門どころか国語科でない人すらいるのに、○○先生相変わらずえげつないなーと思いました。

大学一年の演習で読んでからあ37年、教員免許更新講習から10年。制度を導入した張本人の安倍晋三氏は鬼籍に入り、鳴り物入りで導入された教員免許更新制は廃止になりました。月日の経つ速さと世の中の移り変わりには驚くばかりです。