米不足である。今日、近所のスーパーで買い物したが、たしかに米売り場に米はなく、インスタントラーメンが売っていた。売っていたとしても値段がかなり上っているらしい。

今回の米不足は理由がよく分からない。昨年は豊作だったが米の品質が悪く歩留まりがわるかったとか、インバウンドで消費が増えたとか、減反政策がどうのとか、いろいろ聞こえてくるが、なるほどと思える理由がない。複合的な理由なのだろうが、主たる原因が見つからない。

米不足となれば政府備蓄米の放出が期待されるのだが、坂本哲志農林水産大臣は「コメの需給や価格に影響を与えるおそれがあり、慎重に考えるべき」といった。これがまたワケが分からない。

実際に放出するとなると米の価格が異常に下る可能性があるから慎重になるのは分かる。しかし、このコメントではどうあっても政府備蓄米を放出しないということになる。そうなれば、ますます価格は上がり入手は困難になるだろう。

金融のことを考えてみればいい。もし為替相場が急騰・急落したときに、日銀が「為替は市場に任せます。どんなに円安(円高)でも介入はしません」と言ったらどうだろう。円安(円高)に歯止めがかからなくなる。まずは口先介入で市場に警告して、それでも効果がなければ介入するのがセオリーである。

米も同じことである。「現在は様子を見るが、これ以上続くようなら容赦なく備蓄米を放出します」ぐらいのことは言うべきだ。特に今回のように原因不明なときは、実際に米が無いのではなくどこかで滞っている可能性が高い。もしそうであれば、放出するふりをするだけで、市場に米がもどってくるはずだ。逆にいえばこれで戻らなければ、別の原因を考えることができる。

しばらくすると新米が出回る。収穫量もよかったらしいから近いうちに米不足は解消されるだろう。対処できないのは政府が無能なのだから仕方がないが、原因が特定できないのでは、また来年の夏米不足になるのではないかと不安になってくる。そして、その不安自体が来年の米不足を引き起こす原因になるだろう。