やたナビTEXTとは(その1)のつづき。

誰でも登録なしの無料で読めること

かつて、文学作品を読むにはお金を出して本を買わなければなりませんでした。それしか方法がなかったから、読めるかどうか分からないものでもお金を出して買ったのです。

しかし、インターネットの発達により時代は変わりました。今や文学作品はネットでとりあえず無料で読めるもので、気にいったらお金を出して買う時代になりました。

欧米には早くからProject Gutenbergがあります。中国なら中國哲學書電子化計劃が代表的です。日本の近代文学には青空文庫があります。このように著作権のないまたは切れた作品を提供するサイトはほかにもたくさんあります。

今では著作権の切れた作品だけではなくなりました。期間限定などの条件付きも多いですが、新作の小説や漫画も合法的に無料で読めるサイトがたくさんあります。

では、日本の古典文学はどうでしょうか。新編日本古典文学全集(小学館)はジャパンナレッジで読むことができますが会員登録は必要で有料です。国文学研究資料館が研究機関向けに公開していた日本古典文学大系データベースはすでに公開停止になっていて読めなくなりました。読めるものといえば、ネット上に散在する個人が作成したものばかりです。状況はあきらかに後退しています。

古典は古い言葉で書かかれているというだけで読書のハードルが上がります。日本の古典にちょっと興味を持った人が作品を読もうとしたら、「では5000円出して本を買ってください」ではよほど奇特な人を除いて、「じゃあやめときます。ほかにいくらでも読むものがあるんで」となるのは当然です。外国にいて本の入手が困難な人もいます。

いくら「古典は人生の役に立つから読むべきだ」とか声高に言ったところで、試し読みすらできない状況では無意味です。教育やら何やらよりも、まずはネット上で無料で読めるテキストを増やすことが古典文学を普及させるもっとも大事なことだと思います。

古典文学作品を誰でも無料で読めるようにすること。私はこれを「古典文学の解放」と呼んでいます。これがやたナビTEXTのもっとも大きな目標です。