やたナビTEXTとは(その3・自由にコピー・配布・改変ができる)のつづき

信頼のおける底本を使用すること。

底本とは、本文を作る際にもととなる本のことです。やたナビTEXTでは、信頼のおける底本を選定し、タイトルで○○本『××』のように底本の名前を明記するようにしています。

では、信頼のおける底本とは何でしょうか。

古典文学は作者自筆のもの(自筆本)はほとんど存在しません。自筆本を誰かが書写し、それをまた誰かが書写しと、書写を繰り返したものです。人間が書き写すのですから、間違って写されたり作者以外の人物によって意図的に改変されたりします。

ですから、信頼のおける底本というのは、作者自筆本に近いものということになります。これはそれぞれの作品の伝本研究をたどる必要がありますが、やたナビTEXTではできるだけ戦後に刊行された注釈書等の底本にされているものを利用するようにしています。これにより、現在刊行されている注釈書等に当たることが容易になります。

別の考え方として、多くの人に読まれた本が信頼性が高いとみることもできます。このような本を流布本(るふぼん)といいます。やたナビTEXTでは、作者自筆本に近いと考えられる本の影印やテキスト画像が得られない場合と、流布本が後世に与えた影響があまりに強い作品(『伊勢物語』・『徒然草』など)は、流布本を底本にしています。

流布本と大きく内容の違う本を異本といいます。現在やたナビTEXTでは異本はとり扱っていません。それはとりあえず多種多様な作品の本文を提供したいと考えているからです。しかし、いずれは異本も電子テキスト化したいと思っています。