こんなの専門でもない僕が書くべきことじゃないし、こんな泡沫ブログで書いてもしょうがないのは分かっているが、高市首相による台湾有事発言やそれに対する日本人の反応を見ていて、当たり前のことでも書かなければならないと思った。中国と台湾と日本の関係について、日本人はあまりに知らなすぎる。

そもそも中国と台湾という言葉が誤解を与えている。どちらも、地域の名称であると同時に国家の通称としても使われるからである。しかも地域としては台湾は中国に内包されるからややこしい。

現在、中国本土を支配しているのは国名としては中華人民共和国である。一方、台湾省と福建省の金門島を支配しているのは中華民国である。これが正式な国名なのだが、名前も似ていてややこしいので以下国旗(もちょっと似てるけど)で表すことにする。つまり、

中華人民共和国=大陸=🇨🇳
中華民国=台湾=🇹🇼

と表現し、以下台湾を含む全域を「中国」と表現する。

🇨🇳と🇹🇼は政治経済上独立した別の国である。しかし、両国間にはコンセンサスがある。それは、

中国は一つの国である

ということだ。これは🇨🇳の習近平主席がよく言っているので🇨🇳の主張だと思われがちだが、実は🇹🇼も同じ立場だ。それぞれの主張をわかりやすくまとめると、次のようになる。

🇨🇳の立場:台湾も含む中国は一つの国で、🇹🇼は台湾省と福建省の金門島を勝手に支配し国と主張している。
🇹🇼の立場:台湾も含む中国は一つの国で、🇨🇳は台湾と福建省の金門島以外を勝手に支配し国と主張している。

三国時代、魏・蜀・呉の3つの国が中国に現れた。それぞれの国に曹操・劉備・孫権という三人の皇帝がいるのだが、曹操は劉備や孫権を勝手に皇帝を名乗っている奴としか思っていない。他の二人も同様。これと同じことである。

では、外国である日本や米国の立場はどうか。日本は田中角栄が1972年9月29日日中国交正常化を果たして以降、中国の正当な政権は🇨🇳としている。アメリカは遅れて1979年1月1日に🇨🇳を正当な政権とした。

「中国は一つの国」というのが🇨🇳と🇹🇼のコンセンサスだから、🇨🇳を正当な政権とすると🇹🇼は国家としては認められなくなるため、🇹🇼とは〈国交がない〉ことになる。日米とも今日に至るまでこの立場は変わっていないし、世界の大部分の国はこの立場に立っている。オリンピックで🇹🇼がチャイニーズ・タイペイというナゾの国になっているのもこのためだ。

「中国は一つの国」だから、万一🇨🇳と🇹🇼が戦争になってもそれは内戦である。もし戦争になれば軍事力のある🇨🇳が圧倒的に有利だ。だから🇨🇳はあくまで内戦ですまそうとするし、🇹🇼は外国を味方に巻き込もうとする。不利な方が異民族の軍事力に頼るのも中国の歴史上、何度もあったことである。

ここで、高市首相の発言を思い出してほしい。首相は「台湾有事の際は(日本の)存立危機事態になりうる」と言った。これでは台湾有事は国家間の戦争だということになり、従来の日本政府の見解とは異なっている。🇨🇳が怒るのは当然である。いかに首相とはいえ、勝手に国の立場を変えてはいけない。日本人も怒るべきだ。

では、本当に台湾有事があるかというと僕はないと思う。トリガーは🇹🇼が独立しようとしたときだが、政治経済的にすでに独立している🇹🇼が危険をおかして独立宣言をする必要があるとは思えない。逆に、現状の🇹🇼を人的・経済的な犠牲を払って🇨🇳が併合する必要も感じられない。台湾有事は日本の政治家が危機感を煽るために使っているだけである。