妻に、「食べてすぐ寝ると牛になるよ」と言われて、突然、子供のころ読んでいた新聞小説のことを思い出した。
覚えているのは断片的で、お母さんから、「食べてすぐ寝るとネコになるよ」と言われて、「ネコになってもいいよ」とか答えると本当にネコになってしまうという話だったことぐらいだ。内容は何一つ覚えていない。
当時僕の家で取っていたのは毎日新聞だった。タイトルも覚えていない。作者は井上ひさしだったと思うが、なにしろ子供だったので自信がない。そもそも、自分が何歳だったか覚えていない。
とりあえず、「猫 井上ひさし 新聞」あたりで検索してみたら、すぐに『百年戦争』というタイトルが出てきた。インターネット万歳!あらすじを読んだらこれで間違いないようだ。amazonで検索すると、Kindle版が上巻だけなら100円である。もはや考える必要はない・・・というわけでポチった。なお下巻は540円。
連載されていたのは毎日新聞夕刊で1977年2月28日〜78年7月15日だそうだ。ということは、僕が8歳から9歳のころということになる。よくこんなの覚えてたな、オレ。作者が「井上ひさし」だから覚えていたが、「幡随院長兵衛」とかだったら絶対に覚えていなかっただろう。
さて、実際に読んでみたら、読んだ理由も、内容をさっぱり覚えていない理由もすぐに分かった。
この小説、登場人物がほとんど小学生(5年生)である。清・良三・秋子の小学生三人がネコになったり、ネズミになったりして銀座を駆け回る。変身の仕方もおもしろいし、ネコとネズミのアクションシーンも多い。出てくるのが小学生とネコ・ネズミだから、そんなに難しい言葉も出てこない。だから小学校3年生の僕は子供向きの小説だと思ったのだろう。
ところが、読み進めていくと、宗教やら当時の社会情勢やらが絡んできて、なかなか難解だ。おまけに銀座の歴史だの哲学だのの薀蓄がやたらと長くて、およそ小学生(しかも低学年)が理解できるものではない。
新聞小説の一回は短いから、連載で読んでいれば、数回に渡って薀蓄が続いたはずだ。薀蓄が終わったときには、何のための薀蓄か、大人でも忘れてしまうのではないか。薀蓄の内容は、ストーリーに絡むものもあるが、ほとんどは関係ない。例えば、銀座の店の歴史的な変遷リストが延々つづくのには驚いた。井上ひさし先生、やりたい放題である。薀蓄は井上ひさし小説の特徴らしいので、これが好きな人にはたまらないだろう。
さて、これでは内容がなんだかさっぱり分からないと思うので、簡単に解説しておく。
ネコやネズミに変身できるようになった小学生三人が、銀座ネコと築地ネズミの抗争を通じて、人類滅亡の危機を救う。読むに従って、なぜ変身できるようになったのか、銀座ネコと築地ネズミの抗争を仕掛けた黒幕は誰か、そして抗争の真の理由が分かるようになっている。この黒幕がまた壮大にもほどがあるほど壮大なのだが、とてつもなくしょぼい理由で倒される。そう、これはセカイ系である。そんな言葉、当時はなかったけど。
現在のセカイ系と違い、清(銀座ネコの首領)と良三(築地ネズミの首領)の男子二人が人類滅亡の危機を救う。ヒロインの秋子は目立ってはいるがあくまで脇役で、ストーリーの展開にはあまり重要な意味を持っていない。このあたり、40年以上前の作品ではあるが、なんだか新鮮な感じがする。
覚えているのは断片的で、お母さんから、「食べてすぐ寝るとネコになるよ」と言われて、「ネコになってもいいよ」とか答えると本当にネコになってしまうという話だったことぐらいだ。内容は何一つ覚えていない。
当時僕の家で取っていたのは毎日新聞だった。タイトルも覚えていない。作者は井上ひさしだったと思うが、なにしろ子供だったので自信がない。そもそも、自分が何歳だったか覚えていない。
とりあえず、「猫 井上ひさし 新聞」あたりで検索してみたら、すぐに『百年戦争』というタイトルが出てきた。インターネット万歳!あらすじを読んだらこれで間違いないようだ。amazonで検索すると、Kindle版が上巻だけなら100円である。もはや考える必要はない・・・というわけでポチった。なお下巻は540円。
連載されていたのは毎日新聞夕刊で1977年2月28日〜78年7月15日だそうだ。ということは、僕が8歳から9歳のころということになる。よくこんなの覚えてたな、オレ。作者が「井上ひさし」だから覚えていたが、「幡随院長兵衛」とかだったら絶対に覚えていなかっただろう。
さて、実際に読んでみたら、読んだ理由も、内容をさっぱり覚えていない理由もすぐに分かった。
この小説、登場人物がほとんど小学生(5年生)である。清・良三・秋子の小学生三人がネコになったり、ネズミになったりして銀座を駆け回る。変身の仕方もおもしろいし、ネコとネズミのアクションシーンも多い。出てくるのが小学生とネコ・ネズミだから、そんなに難しい言葉も出てこない。だから小学校3年生の僕は子供向きの小説だと思ったのだろう。
ところが、読み進めていくと、宗教やら当時の社会情勢やらが絡んできて、なかなか難解だ。おまけに銀座の歴史だの哲学だのの薀蓄がやたらと長くて、およそ小学生(しかも低学年)が理解できるものではない。
新聞小説の一回は短いから、連載で読んでいれば、数回に渡って薀蓄が続いたはずだ。薀蓄が終わったときには、何のための薀蓄か、大人でも忘れてしまうのではないか。薀蓄の内容は、ストーリーに絡むものもあるが、ほとんどは関係ない。例えば、銀座の店の歴史的な変遷リストが延々つづくのには驚いた。井上ひさし先生、やりたい放題である。薀蓄は井上ひさし小説の特徴らしいので、これが好きな人にはたまらないだろう。
さて、これでは内容がなんだかさっぱり分からないと思うので、簡単に解説しておく。
ネコやネズミに変身できるようになった小学生三人が、銀座ネコと築地ネズミの抗争を通じて、人類滅亡の危機を救う。読むに従って、なぜ変身できるようになったのか、銀座ネコと築地ネズミの抗争を仕掛けた黒幕は誰か、そして抗争の真の理由が分かるようになっている。この黒幕がまた壮大にもほどがあるほど壮大なのだが、とてつもなくしょぼい理由で倒される。そう、これはセカイ系である。そんな言葉、当時はなかったけど。
現在のセカイ系と違い、清(銀座ネコの首領)と良三(築地ネズミの首領)の男子二人が人類滅亡の危機を救う。ヒロインの秋子は目立ってはいるがあくまで脇役で、ストーリーの展開にはあまり重要な意味を持っていない。このあたり、40年以上前の作品ではあるが、なんだか新鮮な感じがする。