東京生まれの文房具屋育ちなので、パイロットが消せるボールペン「フリクション」を出しているのは知っていた。発売から15年以上になるらしい。売れているのも知っているが、何で売れているのか理解できなかったし、今まで必要を感じなかったので使ったこともなかった。
40年以上前、ケルボなる消せるボールペンが発売されたが、これは全く売れなかった。熱で消えるフリクションとは違い、ケルボはインクの粘度を上げて紙に染み込みにくくしてある。書いてすぐに消しゴムで消すときれいに消えるが、時間が経つと染み込んで消えなくなる。色は普通のボールペンと同じぐらい濃い。時間が経つと消えなくなるから、熱で消えるフリクションとは違い、消えちゃいけない文書にも使うことができた。
売れなかったのは、値段が高かったからである。それでも本当に必要なら売れたはずだが、値段が消せるという価値に見合わなかったということだろう。その後、白く塗るタイプの修正液が出回り、ケルボは完全に姿を消した。
そんなこともあり、「ボールペンは消せないのが利点なのだから、消せるボールペンはなどナンセンス。消したきゃ最初から鉛筆を使えばいい」と思い込んでいたのだが、先日、今勉強している資格試験の解説動画を見ていたら、図を描くのに消せるボールペンを使えと言っていた。ここで目から鱗が落ちた。
僕は黒のことばかり考えて消せるボールペンなど必要ないと思っていたが、消せるボールペンは赤でも青でも消せる。黒だけなら鉛筆で書けばよいが、色鉛筆はきれいに消えない。よく考えると、黒以外の筆記具で簡単かつきれいに消せるのは消せるボールペンだけなのである。
こうなってくると、いろいろ用途が思いつく。例えば、校正記号に「イキ」というのがある。文字を訂正したり削除したりした後、「やっぱ前の方がいいや」と取り消しにするときに使うのだが、訂正したあとに書くからどうしても汚くなる。消せるボールペンなら前の訂正を消すだけだ。ほかにも、カレンダーに書き込むスケジュールとか、ちょっとしたメモとか、赤や青が消せると便利なことはたくさんある。黒だけ鉛筆というのは面倒くさいから、黒も消せるボールペンになる。
構造はボールペンそのものだが、これはボールペンではなかったのだ。すべての色が消せるまったく新しい筆記用具だったのである。
どうやら、僕はノーミソが固くなっていたらしい。年をとると頑固になるというのは、たぶんこういうことなのだろう。今は多色のフリクションを愛用している。
40年以上前、ケルボなる消せるボールペンが発売されたが、これは全く売れなかった。熱で消えるフリクションとは違い、ケルボはインクの粘度を上げて紙に染み込みにくくしてある。書いてすぐに消しゴムで消すときれいに消えるが、時間が経つと染み込んで消えなくなる。色は普通のボールペンと同じぐらい濃い。時間が経つと消えなくなるから、熱で消えるフリクションとは違い、消えちゃいけない文書にも使うことができた。
売れなかったのは、値段が高かったからである。それでも本当に必要なら売れたはずだが、値段が消せるという価値に見合わなかったということだろう。その後、白く塗るタイプの修正液が出回り、ケルボは完全に姿を消した。
そんなこともあり、「ボールペンは消せないのが利点なのだから、消せるボールペンはなどナンセンス。消したきゃ最初から鉛筆を使えばいい」と思い込んでいたのだが、先日、今勉強している資格試験の解説動画を見ていたら、図を描くのに消せるボールペンを使えと言っていた。ここで目から鱗が落ちた。
僕は黒のことばかり考えて消せるボールペンなど必要ないと思っていたが、消せるボールペンは赤でも青でも消せる。黒だけなら鉛筆で書けばよいが、色鉛筆はきれいに消えない。よく考えると、黒以外の筆記具で簡単かつきれいに消せるのは消せるボールペンだけなのである。
こうなってくると、いろいろ用途が思いつく。例えば、校正記号に「イキ」というのがある。文字を訂正したり削除したりした後、「やっぱ前の方がいいや」と取り消しにするときに使うのだが、訂正したあとに書くからどうしても汚くなる。消せるボールペンなら前の訂正を消すだけだ。ほかにも、カレンダーに書き込むスケジュールとか、ちょっとしたメモとか、赤や青が消せると便利なことはたくさんある。黒だけ鉛筆というのは面倒くさいから、黒も消せるボールペンになる。
構造はボールペンそのものだが、これはボールペンではなかったのだ。すべての色が消せるまったく新しい筆記用具だったのである。
どうやら、僕はノーミソが固くなっていたらしい。年をとると頑固になるというのは、たぶんこういうことなのだろう。今は多色のフリクションを愛用している。