奈良県立大学が寄贈を受け入れた植物標本を間違って捨てちゃったらしい。1万点というから、なかなかゴーカイな間違いだ。
40年かけ集めた植物標本1万点を誤廃棄 希少種も 奈良県立大:毎日新聞
奈良県立民俗博物館の資料廃棄処分:2024年07月12日
「また奈良県か・・・」といいたくなるが、これを価値のあるものを軽視していると見るのは、間違っていると思う。
民俗博物館の方は、何でもかんでも「民具」を受け入れたため、資料がキャパオーバーしたことが原因である。では今回の奈良県立大学の件はどうか。
調べてみると、奈良県立大学は人文系の学部しかなく、生物学の専門家がいないようだ。それは学長の言葉にも出ている。
つまり、奈良県立大学はもともと受け入れる資格のある機関ではなかったのだ。では、なぜ県立大学に寄贈したか。この経緯は寄贈した奈良植物研究会の声明に書いてある。
故岩田重夫氏の植物標本廃棄についての要望書の提出について:奈良植物研究会
しかし奈良県立大学には専門家がいないため整理されず、ナゾのロッカーに入れたまま20年以上経って何だか分からなくなり、校舎の取り壊しと同時に廃棄してしまったということらしい。いくら専門家がいないとはいえ、1万点もあるものを何の疑問も持たず捨ててしまうのはお粗末にほどがあるが、それ以前にどう考えても受け入れが適切でない。
民具も植物標本も、資料である以上同じである。それらを適切に扱うことのできる機関が受け入れなければ、どんな貴重な資料でもゴミになってしまうのである。
40年かけ集めた植物標本1万点を誤廃棄 希少種も 奈良県立大:毎日新聞
民間の研究者が40年近くをかけて採集し、奈良県内ではもう見られなくなった希少種も含む植物標本約1万点を、県立大(奈良市)が誤って廃棄していたと判明した。2001年6月に県が寄贈を受け、専用ロッカーで保管してきたが、校舎の取り壊しに伴い、23年10月に処分された。22日に記者会見した県立大の尾久土正己学長は「学内で意思疎通や適切な引き継ぎがされていなかった。誠に申し訳ない」と陳謝した。タイトル書いていて、最近似たような記事を書いたのを思い出した。
奈良県立民俗博物館の資料廃棄処分:2024年07月12日
「また奈良県か・・・」といいたくなるが、これを価値のあるものを軽視していると見るのは、間違っていると思う。
民俗博物館の方は、何でもかんでも「民具」を受け入れたため、資料がキャパオーバーしたことが原因である。では今回の奈良県立大学の件はどうか。
調べてみると、奈良県立大学は人文系の学部しかなく、生物学の専門家がいないようだ。それは学長の言葉にも出ている。
尾久土学長は「担当分野の教員が管理に関わらないと資料の価値は伝わらない。今後、人文系の県立大で範囲外の寄贈を受ける際は慎重に判断したい。」
つまり、奈良県立大学はもともと受け入れる資格のある機関ではなかったのだ。では、なぜ県立大学に寄贈したか。この経緯は寄贈した奈良植物研究会の声明に書いてある。
故岩田重夫氏の植物標本廃棄についての要望書の提出について:奈良植物研究会
また本会は、この間自然史研究教育の分野で関連する諸団体と共に、奈良県に自然系博物館を設立するはたらきかけをして参りました。その流れの中での第一歩として、貴重な植物標本の散逸を防ぐために県が適切に保存するとの奈良県知事との覚書に基づき、本会の元会長であった故岩田重夫氏の植物標本 (岩田コレクション)が2000年8月に県に寄贈されました。これによると、将来的に自然科学系の博物館を設立するのを前提で奈良県に寄贈されたということになる。ようするに寄贈された奈良県が県の学術機関である県立大学に保管させたということなのだろう。
しかし奈良県立大学には専門家がいないため整理されず、ナゾのロッカーに入れたまま20年以上経って何だか分からなくなり、校舎の取り壊しと同時に廃棄してしまったということらしい。いくら専門家がいないとはいえ、1万点もあるものを何の疑問も持たず捨ててしまうのはお粗末にほどがあるが、それ以前にどう考えても受け入れが適切でない。
民具も植物標本も、資料である以上同じである。それらを適切に扱うことのできる機関が受け入れなければ、どんな貴重な資料でもゴミになってしまうのである。