税金の納め方は学校で教えるべきなのか - ファンタジー小説作家の脱税事件をうけて:togetter
「税金の納め方は学校で教えるべき」というのは「学校ではすぐに役に立つことを教えるべきだ」という考えの延長にあるものである。僕は、そういう考え方には批判的で、学校は教養を学ぶところであると考えている。
正直なところ、僕自身、確定申告をするようになって、なぜこんな大事なことを学校で教えてくれなかったのかと思った。もちろん、僕の場合は足りない税金を払う方ではなく、返してもらう方である。確定申告しなくても脱税にはならないが、払いすぎで損をする立場で、全く知らなければ一生払い過ぎることになる。ある意味、脱税で一回とっ捕まるよりよほど痛い。
もし、中学三年生で細かい税金の払い方を習ったとすると、僕の場合、実際に確定申告したのは7年後だった。ここに二つ問題がある。
まず一つは、義務教育期間で税金の払い方を学んで、実際にその時が来るまで覚えているだろうかということである。僕の場合、中学校を出て7年間は、消費税以外の税金を全く意識しないで生きてきた。学校を出て、すぐに就職して源泉徴収されるだけの人であれば、この期間はもっと長くなるだろう。自分に縁のないものをそんなに長く覚えていられるだろうか。
そもそも、学校で税金のことを全く学ばないわけではない。税金の用途、直接税・間接税から日本の所得税が累進課税であることなど、税金の概念について、ある程度のことは学んだ記憶がある。件のファンタジー小説家にしても、その程度のことは学校で学んだはずだ。意図的な脱税で無かったと仮定して、学校で学んだことをすっかり忘れていたということだろう。概念すら忘れるのだから、それ以上のことを学んでも、効果があるとは思えない。
それよりも、もっと大きな問題は、税制は時代によって変わっていくということである。源泉徴収が未来永劫続くとは限らない。税率はいくらでも変る。税金の種類や控除も毎年のように変る。いずれはe-Taxももっと簡単にできるようになって、税務署に行く必要自体がなくなるかもしれない。
具体的な税金の納め方は〈すぐに役に立つ〉ことかもしれないが、〈生涯役に立つ〉ことではないのである。ヘタをすると、卒業後すぐに〈役に立たない〉ことになっている可能性すらある。やる必要があるのは、卒業後、すぐに必要になる可能性の高い、高校の職業科ぐらいなものだろう。
それよりも大事なことは、社会科で学んだ税金の概念を応用し、国語科で学んだ読解力で法律や税金の解説書を理解し、数学科で学んだ計算で税金を計算することである。これなら、学校で学んだことは、未来永劫役に立つ。そこから先は必要に応じて自分で勉強すべきことだ。
すぐ役に立つことは、すぐに役に立たなくなることでもある。学校はそういうことを教える場ではない。
「税金の納め方は学校で教えるべき」というのは「学校ではすぐに役に立つことを教えるべきだ」という考えの延長にあるものである。僕は、そういう考え方には批判的で、学校は教養を学ぶところであると考えている。
正直なところ、僕自身、確定申告をするようになって、なぜこんな大事なことを学校で教えてくれなかったのかと思った。もちろん、僕の場合は足りない税金を払う方ではなく、返してもらう方である。確定申告しなくても脱税にはならないが、払いすぎで損をする立場で、全く知らなければ一生払い過ぎることになる。ある意味、脱税で一回とっ捕まるよりよほど痛い。
もし、中学三年生で細かい税金の払い方を習ったとすると、僕の場合、実際に確定申告したのは7年後だった。ここに二つ問題がある。
まず一つは、義務教育期間で税金の払い方を学んで、実際にその時が来るまで覚えているだろうかということである。僕の場合、中学校を出て7年間は、消費税以外の税金を全く意識しないで生きてきた。学校を出て、すぐに就職して源泉徴収されるだけの人であれば、この期間はもっと長くなるだろう。自分に縁のないものをそんなに長く覚えていられるだろうか。
そもそも、学校で税金のことを全く学ばないわけではない。税金の用途、直接税・間接税から日本の所得税が累進課税であることなど、税金の概念について、ある程度のことは学んだ記憶がある。件のファンタジー小説家にしても、その程度のことは学校で学んだはずだ。意図的な脱税で無かったと仮定して、学校で学んだことをすっかり忘れていたということだろう。概念すら忘れるのだから、それ以上のことを学んでも、効果があるとは思えない。
それよりも、もっと大きな問題は、税制は時代によって変わっていくということである。源泉徴収が未来永劫続くとは限らない。税率はいくらでも変る。税金の種類や控除も毎年のように変る。いずれはe-Taxももっと簡単にできるようになって、税務署に行く必要自体がなくなるかもしれない。
具体的な税金の納め方は〈すぐに役に立つ〉ことかもしれないが、〈生涯役に立つ〉ことではないのである。ヘタをすると、卒業後すぐに〈役に立たない〉ことになっている可能性すらある。やる必要があるのは、卒業後、すぐに必要になる可能性の高い、高校の職業科ぐらいなものだろう。
それよりも大事なことは、社会科で学んだ税金の概念を応用し、国語科で学んだ読解力で法律や税金の解説書を理解し、数学科で学んだ計算で税金を計算することである。これなら、学校で学んだことは、未来永劫役に立つ。そこから先は必要に応じて自分で勉強すべきことだ。
すぐ役に立つことは、すぐに役に立たなくなることでもある。学校はそういうことを教える場ではない。