ワールドカップでフランスのジダンがイタリアのマルコ・マテラッツィに頭突きをかまして退場になった。

マテラッツィの暴言にジダンがキレたということらしいが、分からないのはあれほど短い時間にジダンが頭突きしたくなるほどの暴言が何だったかである。そこで、この記事に注目。

マテラッツィ、バカンスのため前倒し自白 (日刊スポーツ)

マテラッツィの「自白」の要点は次のようなものだ。
  • 姉妹を侮辱するような言い方をしてしまったが、イタリア人ならば普通に使う“売り言葉”である。
  • 彼に姉がいるのかも知らなかった。
  • 一般的な侮辱言葉だ。
これで思い出すのは、日本の侮辱語「お前の母ちゃんデベソ」である。そもそも母ちゃんがデベソだろうとヘベソだろうと息子としてはどうでもいいことなのだが、なぜか侮辱の言葉になっている。

この言葉は、もとはヘソではなく女性器だったという説がある。本来は「母ちゃんとやっとれ」的な侮辱語だったらしい。これは全世界的な罵り言葉で、英語の"motherfucker"や中国語の"他媽的"にも通じるもので、おそらく"son of a bitch"も、もとはこのあたりだろう。
#笠松宏至氏「お前の母さん・・・」(『中世の罪と罰』・東京大学出版会)

これが、侮辱語たりうるのは、母ちゃんといたすのが近親相姦のタブーに触れるためで、なにしろ女性器がヘソに変わっちゃうぐらいだから、母ちゃんが姉ちゃんだったとしても不思議はない。

僕はイタリア語にそういう侮辱語があるのかどうかは知らないので憶測にすぎないが、「姉ちゃんとやっとれ!」「うちには姉ちゃんはいねぇよ」みたいな軽妙なやり取りがイタリアにあったとしても不思議じゃないと思うのである。

しかし、侮辱言葉は同じでもそれの持つ重みは地域や文化によって違う。それはジダンには通じない言葉だったんじゃないだろうか。何はともあれそんな言葉は言わないことが賢明だが、最大の不幸はジダンに本当に姉ちゃんがいたことであろう。

でも、僕がもっと分からないのは、なんでパンチやキックじゃなくって頭突きなんだってことなんだけど・・・