爆笑問題のポッドキャスト「太田はこれを読んだ」を聞いた。これは、爆笑問題の太田光氏がオススメの小説を紹介するトーク番組である。下にリンクを張っておくが、一時間近くあるので、右クリックで保存して聞くのがオススメ。

2009年02月24日「太田はこれを読んだ」(mp3ファイル)

実は、この手の「本の紹介」はあまり好きではない。生来天の邪鬼なのか、紹介されると逆に読みたくなくなるのである。だから書評はなるべく読まないようにしている。

だが、これを聞いたら、紹介された本を読みたくなった。太田氏は本当に紹介がうまい。本当はあと数冊紹介するつもりだったようだが、あまりに熱くなりすぎて二冊で一時間とってしまったらしい(残りはこのエントリの一番下を参照)。

ここで太田氏が紹介しているのは、三島由紀夫『金閣寺』とスタインベック『エデンの東』。

太田氏は太宰治ファンで、「太宰ファンだから三島は読まず嫌いだった」(三島は太宰をクソミソに貶している)とか「三島と太宰は実は似ている」とか言うのを聞くと、おもわずにやっとしてしまう。

谷崎潤一郎と三島由紀夫、太宰治と三島由紀夫の美意識の比較で『金閣寺』を語っているところは、太田氏の読みの深さを感じた。

こういうと、近代文学の専門家からは「そんなの○○がすでに言ってる」とか言われそうだが、仮にそういう誰かが言っていることを参考にしていたとしても、数多くある谷崎論・太宰論・三島論からそれを選んだのならば、かなりセンスがあると思う。それほど、谷崎論・太宰論・三島論ってのはノイズが多いのである。

『エデンの東』は恥ずかしながら、スタインベックの原作はおろか、ジェームス・ディーン主演で有名になった映画も観ていない。

ほとんどネタばれといえるほど、詳細に語っているが、それでも『エデンの東』を読みたくなってくる。特に、この作品に秘められた哲学的な部分についての熱い語りには感心する。これだけ分かりやすく、作品の魅力を紹介できる人はちょっといないだろう。

なにしろ「太田はこれを読んだ」だから、相方の田中裕二氏はあんまり目だってないが、田中氏の絶妙な「分からなさ」はすごい。なんというか、説明が難しいが、太田氏の説明に対して「分からなさ」のポイントが的確なのだ。

一見平凡に見えるが、こういう人は貴重である。こういう人がいると、話にメリハリがついて分かりやすくなる。しかし、たいがいは「全然分からない」か「どうでもいいところが分からない」ので話の腰を折ってしまうのである。

このトークには続きがあるので、興味のある人は次のリンクからどうぞ。

爆笑問題カーボーイ〜太田はこれを読んだ(有料):TBSオンデマンド