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コロナ対策で、学校では昼食時の私語が厳禁になっている。それじゃあまりに生徒が気の毒なんで、最近は校内放送で音楽をかけるようになった。

それは結構なのだが、これがかなりの苦痛である。耳障りでほぼ拷問に近い。壁には3段階ぐらいに調節できるボリュームが付いているのだが、これがまったく役に立たない。たぶん、防災の設定で使えなくしているのだろう。他の教室に行っても、職員室に行っても、廊下に出てもダメ。唯一ましなのがスピーカーのない印刷室とトイレである。

なぜこんなに耳障りなのか。最初は音量が大きすぎるからだと思ったのだが、よく聞いてみるとそれほどでもない。知らない曲だからかとも思ったが、知っている曲が流れても耳障りだ。

いろいろ聞かされているうちに、だいたい傾向がわかってきた。どうも、女性ボーカルの高い声や電子楽器が耳につくらしい。『うっせいわ』なんて流された日には、「うっさいのはお前だ!」と叫びたくなる。男性ボーカルでも高い声は結構くる。逆にフォークっぽいのは女性ボーカルでもそれほど不快ではない。

スピーカーが高音に対応していないのだろう。学校のスピーカーは、普段はアナウンスとチャイムぐらいしか流さないものだ。たぶんキャパを超えた高音を出すと、音が歪んでしまうのではないだろうか。

生徒もやはり不快だったようで「あれは昭和の音だ」と言っていた。なるほど、昭和を知らないくせにうまいことをいう。あれは令和の音ではないし、平成の音でもない。そもそも学校のスピーカーはどう見ても形が昭和のスピーカーだ(たぶん平成製だけど)。
学校のスピーカ
こういうスピーカーで音楽を流すというのは昔からあったが、当時はそれほど不快には思わなかった。こういう音が学校のみならず、駅にも商店街にも電車・バスの中にもあふれていて、それが当たり前の音だったからだろう。今はどこでもかなり音がよくなっている。だから不快に思うのである。

もう一つ面白かったのが、「昭和の音」と言っていた生徒が、「聞いたことない曲ばっかりだし」と言っていたことである。僕がオッサンだから聞いたことがないのかと思っていたが、生徒も聞いたことがないのだ。

昼休みの音楽は生徒のリクエストでかけている。だから世代が違うという問題ではない。ちょっと前だったらテレビやラジオの音楽番組で共通の知っている曲があった。今はそういう共通のメディアがない。BTSがいくら有名でも、ジャニーズのなんとかがヒットしても、興味がない人は知らないどころか聞いたこともない。もうそういう時代なのだと再認識させられた。
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先日、ラーメン屋で豚骨ラーメンを食べていたら、なんだかへんなBGMが流れてきた。
希望にあふれ
生きる喜び幸せに満ちて
愛の楽園すべての心が
愛をわかちあう・・・
「生きる喜び」とか言っているわりに歌い方は辛気臭いし、子供のコーラスが入っていたりするし、一瞬新興宗教の何かかと思った。だが、よくよく聞いてみると、西城秀樹の声に似ている。

今はスマホがあるから調べればすぐに分かる。背脂の付いたヌルヌルした手で印象的な歌詞で検索してみると、やはり西城秀樹だった。

西城秀樹といえば、とりあえず絶叫系だと思っていたので、こんな曲もあったのかと思ってびっくりしたが、作詞・作曲・編曲を見てさらにびっくりした。
作詞:スティーヴィー・ワンダー/追詞:山川啓介/
作曲:スティーヴィー・ワンダー/編曲:坂本龍一
なんと作詞・作曲スティーヴィー・ワンダーである。西城秀樹らしくない曲だが、スティービー・ワンダーらしくもない。編曲の坂本龍一は、最初の方の鳥もどきピポピポ音を聞くと、まあ言われてみればそうかなという感じだ。

西城秀樹は洋楽のカバー曲が多いが、これもどうやらカバーらしい。となると、スティーヴィー・ワンダーがこれをどう歌っているか気になるじゃないか。というわけで、YouTubeを検索してみると・・・

まずタイトルでびっくり。「Ai No Sono」、西城版と全く同じ日本語である。「スティービー・ワンダーの日本語が聞けるのか!」と期待に胸をふくらませて再生すると・・・

スティービー・ワンダー、一言も歌ってねぇ!

歌っているのは、西城秀樹版にも入っていた子供のコーラスだけ。さらに調べてみると、このコーラスの中に当時アメリカに住んでいた西田ひかるさんが入っていて、ちゃんと名前がクレジットされているらしい。
西田ひかる:Wikipedia
西田はカリフォルニア州在住時、スティーヴィー・ワンダーの楽曲、『愛の園 (Ai No, Sono)』において、大勢の子供たちと共にコーラス参加した。この楽曲は1979年に発売されたワンダーの音楽アルバム、『シークレット・ライフ』に収録されており、その曲紹介には西田の名前も、「Hikaru Nishida」としてクレジットされている。
そもそも、スティービー・ワンダーはなんでこんな曲を作ったのか。

これまた調べてみると、この曲は「シークレット・ライフ(Journey Through the Secret Life of Plants)」という二枚組みのアルバムに入っていて、「The Secret Life Of Plants」というドキュメンタリー映画のサウンドトラックだという。
シークレット・ライフ:wikipedia
よく考えてみると、スティーヴィー・ワンダーは盲人なので映画を見ることは出来ない。それで20曲も作っちゃうのは驚異的いうほかない。それにしても一体どんな映画なのだろうと気になったが、最後のびっくり、なんとこの映画一般公開されていなかった。
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大和証券のアレと言っても、株でもなければファンドでもなく、テレビCMで使われているアレ。

このブログには、音楽のカテゴリがない。そんな木石のような僕でも、ときどきアレッと心を動かされる音楽というのがある。ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)の時に流れる、大和証券のコマーシャルのアレに心を動かされた。

コマーシャルで流れるのは、「Stand by me」「One love」、そして聞いたことのないのに、なぜか耳から離れない「チャンダママ・チャンダママ・ママヤー」とかいっている曲(Chanda Mama)など。画面では、なんだかいい味出している人たちが、街角で楽器を演奏したり、歌を歌ったりしている。これは何だろう。





で、大和証券のサイトを調べてみた。
大和証券グループのCM

国境を越え、人種を越え、文化や宗教も越えて、世界中のミュージシャンがひとつの楽曲を歌い、奏で、つないでゆく、音楽プロジェクト“PLAYING FOR CHANGE”。
このプロジェクトに参加した五大陸にまたがる100人以上のミュージシャンたちのほとんどは、その時点では世界的には無名であり、出会ったこともありませんでしたが、ひとつの楽曲を通じて、お互いに理解しあうことで美しいハーモニーを生み出し、
ひとりひとりが世界とつながっていることを私たちに示してくれました。


ということで、PLAYING FOR CHANGEなるCD+DVDを買ってみた。amazonで2,959円。チーン。



二枚組、で一枚はCD、もう一枚は大和証券のコマーシャルで使われている映像が入っているDVDである。曲目は次の通り。
1. Stand By Me
2. One Love
3. War/No More Trouble
4. Biko
5. Don't Worry
6. Talkin' Bout A Revolution - Afro Fiesta (Capetown, South Africa)
7. Better Man - Keb' Mo' (Los Angeles, CA)
8. Chanda Mama
9. Love Rescue Me - The Omagh Community Youth Choir (Omagh, Northern Ireland)
10. A Change Is Gonna Come - Playing For Change Band (New Orleans, LA)

このうち、DVDには1・2・3・5・8の映像が入っている。

「国境を越え、人種を越え、文化や宗教も越えて、世界中のミュージシャンがひとつの楽曲を歌い」なんていうと、昔のBAND AIDUSA for Africaあたりを思い出すが、こちらは無名のストリートミュージシャンが中心(なぜかU2のボノが入っているけど)。マーク・ジョンソンなるプロデューサーが世界中を旅して録音・撮影してきたものを編集したものだ。録音、撮影には10年かかったらしい。

ほとんどが既存の曲で、昔のチャリティーソングみたいな、押しつけがましさがないのがいい。ビデオに出てくるミュージシャンたちは、みんないい感じに力が抜けていて、いい味を出している。もちろん、ストロング・バイ。

ただ、一つだけ不思議なのは・・・世界中のミュージシャンの中になぜか東アジア(日・中・韓)のミュージシャンがいないことだ。

カリカリしているからハブんちょにされちゃったんだな。きっと。
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