本学の事務局が公開している「横浜市立大学の新たな大学像」には、目標のひとつに「地域貢献」が挙げられている。地域貢献への賛否はかねてより論じられているが、ここでは実際に、新しい大学が市民に貢献するものであるかどうかを考えたい。

 まず入試では、従来からあった市内在住者向けの公募制推薦が廃止された。公募制では選抜を伴うものの、横浜市内に住んでいて条件を満たせば、どこの高校からでも応募できるものだった。代わりに、実質的に試験なしで入学できる指定校推薦を導入した。市民であっても、指定されなかった高校の生徒は受験資格さえ得られず、地域貢献とは完全に逆向きである。

 またパンフレットなどでは、新大学の特長として「産学連携」「生涯学習」などが挙げられているが、これらは改革前から行われていたものだ。なぜ社会人入試の充実をはからなかったのか疑問も残る。多数の聴講生がいる授業で、新カリキュラムで廃止の決まったものもある。地域貢献という言葉は、実際にはほとんど機能していない。

 学術情報センターは市民向けの公開が行われているが、満足に雑誌も購入できない図書館を公開したところでどれだけの意味があるのか。新入生のカリキュラムをめぐる混乱はひどいもので、授業では立ち見が続出している。授業料を払ってまで入学してきた学生にすら満足な対応ができないのに、地域に貢献する余裕があるのか。

 大学事務局が真剣に「地域貢献を」というのならまず学内に目を向けるべきだ。学生に対して魅力的で充実した内容を用意して初めて、市民に向き合うことができよう。改革ありきで市民を裏切ることがないよう、何が市民にとって必要なのか、詳細に調べた上で対応することも大切だ。