本学の平成18年度以降の学長を決める選挙が始まった。今回の選挙では4年間の任期が与えられるため、大学の中・長期的なあり方に与える影響は大きい。しかし、わずか6人の選考会議で決められ、うち3人が学外の人物であることを考えると、教育・研究の「現場」と無関係に人選が進められてしまうのではないか、という懸念がある。

 改革を経て、本学が直面している問題は多い。新学部生では履修をめぐる混乱が多発しており、TOEFL未取得学生の留年も予想されている。また旧学部生は、教員流出によるゼミの消滅など、入学時に提示されたカリキュラムが保証されていない。たびたび持ち上がる授業料値上げの計画も、学生にとっては重大な不安材料だ。さらに教員と大学運営側との間に生じた亀裂の解消も必要だろう。新しい学長に要求される項目は多い。
 
 現在のブルース・ストロナク学長は、学生と直接に対話する機会を設けるなど、意見の取り入れに積極的だ。今後どのような人物が学長となるにせよ、この路線は継承されるべきだ。加えて、寄せられた意見を、実際の大学運営に反映させ問題点を改善させてゆくことが望ましい。現学長の1年間の任期では難しかっただろうが、4年間の任期であれば十分に実現可能なはずだ。

 大学にとって重要なのは「広報」よりも「中身」である。選考にあたっては、学内の現状を十分に踏まえた上で、教育・研究現場の意見を取り入れ、改革で生じた数多くの問題を改善できる人物を熟考してほしい。そのためにも、学長候補者は所信表明の際、大学の将来について具体的な展望を明らかにするべきだ。