教員集会柴田準教授 20日18時から、本学金沢八景キャンパスのビデオホールで「横浜市大は立ち直れるか? 独法化後の状況を検証する」と題する集会が行なわれた。この集会は本学教員組合の主催。教員・非常勤講師のほか、学部生・大学院生も含めた50人が参加し、熱心な議論を繰り広げた。2時間にわたった集会の冒頭、まず上杉忍教授(教員組合委員長)が本学改革の問題点を指摘。さらに柴田典子準教授が教員アンケートの結果報告、岩崎徹準教授が英語授業の問題を提起した。また遠藤紀明非常勤講師が非専任教員の現状を紹介した。【向】

【写真=教員集会で説明する柴田典子準教授】
■教員報告ーー大学改革へ批判
 
 上杉教授は横浜市立大学の改革を批判的に論じた中西新太郎教授の論文を資料として配布。「大学は、我々が積み上げてきた文化共同体だ。誰に責任を押し付けることもなく我々の手で立て直していかなければならない」として、大学のあり方に課題を投げかけた。


■教員から不満続出

 柴田準教授は、7月に行なわれた教員アンケートでの教育現場からの声を紹介。「大学は良い方向に向かったか」などの質問に対する答えをまとめ、4つの問題点を指摘した。まず労働条件。雇用と職務とその評価、この3つの点において多くの教員が不安、負担、不透明感を感じているという。次に教育活動で、現カリキュラムでは教員の不足などの問題が生じておりカリキュラムを再検討すべき、との意向が出ていると言う。3つ目に研究活動で、研究費の配分ルールが分からない、図書館の蔵書が教育機関のものとしては余りに少ないなどの意見を挙げた。4つ目は学内運営で、現行の中央集権的な手法に対する不満があるとのことだ。
 
 アンケートの自由回答には「親しい人が市大を受験したい、と言ったら薦められないという意見もあった」。「横浜市立大学の良い点は何か」という質問に対しては良い点が圧倒的に少なかった。良い点としては「学部間の様々な文化が入り乱れるようになったことは(大学改革に)絶望しながらもおもしろい」という声すらもあったという。


■「マイナーチェンジ」の必要性指摘 

  英語担当の岩崎徹準教授は、新一年生の問題点として、進級要件の英語のハードルの高さを指摘した。国際総合科学部が3年次への進級条件として設定したTOEFL500点は大部分の学生が到達できず、来年度には600人程度が再履修する予定だという。英語授業は出席状況が極めて悪く、状況を聞いた参加者からは「ひどい」との声も上がった。

 岩崎準教授は、TOEFL500点という目標は「必ずしもはっきりしたデータに基づくものではない」とも指摘。どのようなデータを基に、なぜ500点か、大学当局側から明確な回答はなかったという。同じTOEFL500点を高い水準で達成した国際教養大学(秋田)の例もあるが、それは国際教養大学の全授業英語、全員留学のシステム、少人数教育の結果だと紹介した。

 来年度は、週3コマのpractical Englishを引き続き行なう予定だ。来年も上位得点のSクラス所属者には業者派遣の講師による授業を提供。また、470点に満たない学生に対してはTOEFL対策に関わらず基礎力をつけるための授業を行なう。岩崎準教授は「学校そのもののメジャーチェンジも大切だが、細かい所のマイナーチェンジも考える必要がある」と語った。


■「弱者を切り捨てるシステムだ」

 遠藤紀明氏(本学非常勤講師)は非常勤講師の立場から、市大改革を語った。大学側の非常勤講師に対する扱いは「使い捨ての道具のようだ」として、「市大改革は改悪だ」と語った。「担当コマ数を講師側に連絡無しで動かす。これは非常勤講師にとっては生活に関わる死活問題だ」。

 国際総合科学部の教養ゼミについては「学生の力を伸ばす上で役に立つ授業であった。しかしその中にも伸ばしきれない部分はある。教養ゼミで伸びない部分はどうする気か。落ちこぼれをどうする気か。現カリキュラムはそれらを切り捨てる制度だ」と語った。本学の現状は「弱者を切り捨てるシステムである」として、この状況が続くなら「大学はなくなった方が良いのではないかとさえ考えた」と、大学への憤りをあらわにしつつも、「今後システムが教員の声を汲み上げるよう何度も声をかけていきたい」と述べた。

【写真下=遠藤非常勤講師の説明を聞く教員】
教員集会6
■参加者から多くの意見

 岩崎準教授の英語授業の話に対しては、学部生(国際総合科学部1年/女性)から「(専任講師の)授業の質が良くない。外部から講師を招いた夏期講習の授業などをもっと見習うべきではないか」との批判的な意見もあった。また、今年度の教育内容に良い点を見出した学生もいる。学部生(国際総合科学部1年/男性)の学生は、「国際総合科学部提供の授業、教養ゼミを経て貴重な経験を得た。高校時代にはなかった議論型の授業が役に立った」。

 大学院自治会の大学院生(国際文化研究科博士課程2年・女性)は、コピー限度枚数の少なさ等を例に挙げつつ「事務当局は院生の研究活動を考える気持ちがない。訴えても聞こえない。責任逃れが常だ」と不満を述べた。


■「もっと多くの学生の参加を」

 学部生(国際総合科学部1年/女性)からは「問題点があっても、それをどこにぶつければいいのか分からない。教員に訴えれば良いのか、それとも大学自体に訴えれば良いのか分からない」という声も。学部生(国際総合科学部1年/男性)は、集会終了後「教員の言いたい所と自分たちの言いたい所に通じる所があることを初めて知った」と語った。

 大学院生(国際文化研究科博士課程2年/女性)は「旧カリキュラムと新カリキュラムは違うので、現1年生の状況は私たちには共有できていない。学部生のカリキュラムの感想を聞くことが出来てよかった。現1年生は(大学に対する)思いはあっても内に秘めているだけだったので交わることが無かった」。

 随清遠準教授(組合書記長)は「学生からの意見は、なにより新鮮なものだった。廃校にすべき、という意見も分かるが、若いこのような学生たちを抱えている以上、大学をやめるわけにはいかない」と語った。従来、教員と学生とが対話できる機会はほとんどなかったため、教員からは「学生の声を聞きたい」との声が出ており、学生からも「もっと多くの学生の参加を」との声も上がっている。