よいちゅうぶ

うるおいアーカイブス。

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昨年めでたく結成20周年を迎え、その勢いなのかどうかはわかりませんが、7年ぶりとなる単独来日を果たしてくれたザ・ニュー・マスターサウンズ。リーダーのエディー・ロバーツがインタビューで、「最近のセットで2時間以下になることはないね」と豪語していて絶対嘘だと思っていたのですが、本当にかっちりガッツリ2時間もやってくれて、無条件降伏で帰ってきました。



というわけで度量、熱量、技量。見事三拍子揃った何も言うことがないステージに完全脱帽でした。音も段取りもすべてが知性的でバカっぽくないし、かといってスカした嫌味はゼロの明快さ。加えてメンバー同士熟練の信頼関係にも満ちていて、実は曲調以外あらゆる面で三拍子なマスターサウンズ。鉄壁です。



そして今次ツアーの目玉、最新作で全面フィーチャーしたラマー・ウィリアムズJr.の帯同がこれまた。抑制的ながらもコシと奥行き溢れる美声、隠しきれない人柄の良さがびんびんで興奮しました。日本に来るのが初めてだったらしく本人も相当嬉しそうでしたが、是非またプロパーでも機会があるといいですね。



終わってみれば、「20年続けるには心技体、とにかく三拍子が大切」と改めてエディー先生から金言を賜った気分に。カッコいいドヤ顔そのものにさえもアレック・ボールドウィン、リーヴ・シュライバー、さらにはシモナ・ハレプさんのスパイスまで入れてきていて、自ら率先して三拍子化を体現しようとするブレない姿勢。偉大です。

setlist.
1. Miracles 2.Yokacoka 3. Let's Go Back 4. Burnt Back 5. In the Middle 6. Love They Deserve 7. Take What You Need 8. The Vandenburg Suite 9. Taking Me Down 10. Monday Meters 11. The Road to Fuji Rock 12. Live Life Free 13. Too Late to Worry 14. You Got It All 15. Kings & Queens 16. Carrot Juice 17. Shake It 18. One Note Brown [Ec] 19. San Frantico

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なにせ御年86歳です。正直申しまして「一度は生で拝見しとくべきかな」程度の人生初ナベサダさんコンサートになるはずが、「油断するんじゃない」と完全にぶっ飛ばされてしまいました。ナベサダさん、人として、音楽家として"巨大"すぎます。もはや「腹で叩いてるのでは?」としか思えないピーター・アースキンの巨大化した体型などまったく気にならないくらい、深い感動を覚えました。



「フュージョン時代の人気曲から近年の愛奏曲まで、新たな解釈で綴られる渡辺貞夫メロディーをトップクラスのミュージシャンらと共にお届けします」との演目説明通り。この日はソプラニーノもしっかりご用意いただき、まさにナベサダアメアラレ状態でした。中でも、ナベサダさんをして「面構えがいい」と言わしめる俊英ベン・ウィリアムスがリアレンジ、5弦エレベぶいぶいな"Ride On"からの前半ラスト2曲の流れ。これはもうあまりのグルーヴと腹の重みに耐えかねて、盟友アースキンもドラム椅子ごと後ろにのけぞって倒れてしまうのではないか、と心配になるほど白熱しました。



もちろんパワーやスピード自体は全盛期を望むべくもないのでしょうが、4ビート、フュージョン、ボッサ、アフリカ・・・あらゆる音楽性に貫かれたナベサダさんの"歌心"、その音色。一瞬にして場を支配し、他者を導き、ナベサダさんの音楽に昇華させてしまうオーラ。「いいかカッコよくやるんだぞ」とメンバーにありがたい恫喝を加えるときの素敵な笑顔。これらは決して"年輪"や"枯れ"や"レジェンド"等の一言で安易に済ませるべきものではないなと。ナベサダさんだからこその到達点であり、現時点であり、また通過点でもあると感じました。ステージ上、余裕でステップ踏んで踊ってらっしゃいましたよ。正味2時間15分も立ちっぱなし。素晴らしいです。

 

「いつも『あははー!』って笑ってるけど、この人本当はものすごく偉い人なのよ」と親に繰り返し教えられ育ちました。出会いと教育、これからも大切にしていきたいです。

setlist.
[1st] 1. Round Trip 2. Pastoral 3. Tokyo Dating 4. Early Spring 5. I Thought of You 6. Waiting Song 7. Ride On 8. Seventh High
[2nd] 9. Scenery 10. Down East 11. Cycling 12. Not Before Long 13. Stray Birds 14. Warm Days Ahead 15. Manhattan Paulista 16. Sonho de Natal (Christmas Dream) 17. My Dear Life 18. Smile~Hanawa Saku
[Ec] 19. Rhythm a Ning

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2016年の前回来日は行けなかったので、5年ぶりのテデスキ・トラックス・バンドでした。1. 豊かな音楽性 2. 演奏の実力と味わい深さ 3. 正しい徒党の組み方 4. 年の差を凌駕してますます加速する夫婦円満力 5. バンドとしての年間ステーキ肉総消費量・・・一部推測も含まれますが、あらためてTTBこそ現役最強の5ツールプレイヤーであると確信して帰ってきました。あの全盛期の秋山幸二さんでも真っ青なレベル、圧倒的に素晴らしいです。



一応お題としては2月に出たばかりの新作『Signs』ツアーでしたが、1. 『Signs』収録曲を軸にゴリ押しする気はさらさらない 2. 日本5公演で連日必ずやって盛り上げる定番曲など存在しない 3. なので毎日絶対セトリの大半を入れ替えないと気が済まない 4. よって来場者にも予定調和の満足感なんて保証しない 5. そもそも私には全公演に突撃する時間とお金がまったくない・・・ライブに向き合うための前提条件だけでも、これだけ魅力的な5ツールを兼ね備えてくれるのがテデスキ・トラックス・バンド。あのボブ・ディランさんでさえ(年齢面の要請からか)固定セトリ化の印象を受ける現在、ありがたすぎます。



今回チョイスした日本ツアー最終日、東京3daysの千秋楽。もちろんどこをどう切り取ってもクライマックス並みの質とはいえ、中盤#5~#6でのデレク・アンド・ザ・ドミノス連投は熱かったですね。



そして、そこから丹念に初期の代表曲"Midnight in Harlem"を届けてくれたのが、出色の展開。アンコールラスト、最後の最後にはついにスーザン・テデスキさん十八番である魂の咆哮までもが繰り出され、「3days最終日って、声とか疲れてるんじゃ?行くなら2日目にしとこうか」と一瞬でも疑っていたことをお詫びしました。直近で中心メンバーが亡くなったり悲しい別れもありましたが、デレク・アンド・ザ・スーザンはもとより、他の新旧メンバー全員で成長と成熟を重ねながら、引き続き一体となってすべてを超越していこうとする意志。これがもう完全に音に乗り移っていたことが、一番感動的でした。



そんな絶え間ない成長と成熟の中にあって唯一不変だったのが、ステージでのデレクの完璧な帰巣本能でしょうか。せっかくの「アマチュア、ノーフラッシュなら撮影フリー」にもかかわらず、いちいちソロをキメるたび「どうだろうスーザン」とばかりに妻に正対する位置に戻ってしまうので、舞台下手側としては基本デレクの後ろ姿に悶絶しながらシャッターを切らせていただきました。これからもずっと仲良し夫婦でいてください。

setlist.
1. Signs, High Times 2. Part of Me 3. Right on Time 4. When Will I Begin 5. Keep on Growing (Derek and the Dominos) 6. Key to the Highway (Charles Segar) 7. Swamp Raga / Midnight in Harlem 8. I Want More 9. Leavin' Trunk (Sleepy John Estes) / Volunteered Slavery (Rahsaan Roland Kirk) 10. Hard Case 11. Angel from Montgomery (John Prine) / Sugaree (Grateful Dead) 12. Bound for Glory
[Ec] 13. Made Up Mind 14. With a Little Help from My Friends (Joe Cocker ver.)

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昨年のバンド結成25周年記念イヤーを余裕でスルーしてしまったバッファロー・ドーター。年頭に「今年はやります。アナログ再発、ツアー、新譜!」と約束したからには、早速100倍返しの勢いで「25+1」Partyを開催してくださいました。心よりお祝い申し上げます。

"『Pshychic』と『Euphorica』の初アナログ化と、結成25+1年を祝福し、2タイトルを全曲再現するスペシャル・ライブ・ツアー決定!"(公式HPより)。東京公演のゲストは中村達也、小山田圭吾、菊地成孔、AAAMYYY、SASUKEの各氏。生きながらにして昇天です。

 

とはいえ何周年スペシャルだろうが、わんさか優秀なゲストが来ようが来まいが、はたまたどこで演奏しようが、バッファロー・ドーターのたたずまいと品質には微塵のぶれもなく。浮かれるはずもなく、ある意味通常通りに感動的でした。すごいことだと思います。あえて言えば、こういった単独フル公演で、ずっとお休みだった山本ムーグさんがついに全編完全復帰&シャウトしきってくださったこと。これ一番のおめでとう!かもしれません。

そしてもちろん!!5名のゲスト各氏、入念に計算された登場曲・シチュエーションにおいて、それぞれが素晴らしい演奏で感激しました。呼ぶ側も呼ばれた側も、余計な謝辞も祝辞も一切なし。そこにあるのはバッファロー・ドーターの音楽だけ、というのが達人達の品格ですね。

 

ただし!!!強いて言いますが、祝宴もたけなわ状態のセトリ#14~#15にかけて、すでに登場中のゲスト中村達也氏に加えて菊地成孔氏をまさかの連続投入。相変わらず綺麗な直立不動姿勢、腹筋直結で繰り出されるアルトの鳴りがジェームス・チャンス超え。

菊地バッファロー達也の超絶共演を経て、達也out後もそのまま菊地絶品のインプロ続行。かつて菊地成孔クインテット・ライブ・ダブでも勝手知ったるエンジニアzAk氏が、これを入魂のダビー処理。

ドラムスに我らが松下"柔道二段"敦さんが押忍と戻ってきて、そこからいよいよがっつり20分サイズでの壮絶"303 Live”を開始。曲中盤ブレイク時に「よし」と軽く一回納得の頷きをして淡々と成孔out、最後はバッファロー・ドーター・ネイキッドで怒涛の大団円へ・・・

こればかりはもう二度とないであろう、「奇跡のバッファロー・ドーター」でありました。眼福ここに極まれり。こうなったら自分も「今年はやります」と人の目を見て言える人間を目指そうと思い直させてくださり、本当にありがとうございます。もう6月ですが。

setlist.
[1st] 1. Beautiful You 2. S.O.I.D. 3. Sometime Lover 4. Peace 5. Lost Guitar (w/ AAAMYYY) 6. Bird Song (w/ AAAMYYY) 7. Elephante Marinos (w/ SASUKE) 8. Don't Punk Out 9. Chihuahua Punk 10. Cyclic
[2nd] 11. Three-bass 12. Winter Song (w/ 小山田圭吾) 13. Mutating (w/ 中村達也) 14. Deo Volente (w/ 中村達也, 菊地成孔) 15. 303 Live (w/ 菊地成孔)
[Ec] 16. Pshychic A-Go-Go (w/ 小山田圭吾)

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「同じ部屋にいるのも苦痛だった。相手を殺さなければ決着がつかないと考えていた」レベルでの兄弟喧嘩(実質解散)から約10年後にバンドを再結成、まあこれはないわけではないと思うんですよ。しかし、再結成してから「(兄弟関係が)少しばかりぎこちなくはあったことは事実だ。【中略】それで(2017新作)『ダメージ・アンド・ジョイ』を作る決心をするまで、10年を要したんだ」って、これはほぼ聞いたことありません。「ぎこちなさ」の解きほぐしで10年・・・どんだけ真面目なんですかジーザス&メリー・チェイン。音楽ともども感動的です。



「ジーザス&メリー・チェインのオールタイム・ベストに近いライヴになるよ。すべてのアルバムから数曲ずつプレイする。現時点での最新作『ダメージ・アンド・ジョイ』を含めてね」の予告通り、パーフェクトなセトリと演奏能力でもって約束を次から次へと具現化していくジーザス&メリー・チェイン。男気に震えます。



「すべてのアルバムからプレイする」と言いながら、(この日)唯一完全無視されたアルバム『ストーンド・アンド・ディスローンド』。非常に不憫ですが、またぎこちなくなってもアレなので気にしないのがジーザス&メリー・チェイン流。さすがです。



「3月にオーストラリアをツアーしたけど、日本公演に向けてセットリストを見直すことになる。だから久しぶりにプレイする曲もあるかも知れない。自分たちにとってもスリルだよ」・・・そもそも3月にオーストラリアまでいらっしゃっていて、なぜ一度わざわざ帰ってまた5月に極東をツアーするのでしょうか。丁寧すぎて我々にとってこそスリルです。



「日本公演に向けてセットリストを見直すことになる」と言っておきながら、3月のオーストラリアツアーと(実質)なんら変わることのなかった鉄板セトリ。2ヶ月間沈思黙考した結果ゆえの「見直しなし」。その実直さがありがたすぎます。おまけに開演予定18時からきっちり10分待たせて登場→珠玉の本編15曲きっちり60分で退場。もうこうなったら大サービスのアンコール5曲連打できっちり30分?・・・ではなくて、ある意味「きっちり26分」で本当に去っていってしまったジーザス&メリー・チェイン。あ、あと1曲!、"スネークドライバー"さえやってくれたら「きっちり30分」だったのに・・・くらいの些細なクレームしか思いつかない、最高にキャッチーで素晴らしい演奏でした。

 

ちなみに、直近のオーストラリアツアーのセトリから「見直された」本当にわずかな曲の内の一つが"スネークドライバー"。ジーザス&メリー・チェインは、すごく真面目できちっとした人達でした。

setlist.
1. Amputation 2. April Skies 3. Head On 4. Blues from a Gun 5. Mood Rider 6. Black and Blues 7. Far Gone and Out 8. Between Planets 9. Taste of Cindy 10. The Living End 11. Teenage Lust 12. All Things Pass 13. Some Candy Talking 14. Halfway to Crazy 15. Reverence [Ec] 16. Just Like Honey 17. Cracking Up 18. Sidewalking 19. War on Peace 20. I Hate Rock 'n' Roll

注記:本文中ジム・リードの発言は、音楽ライター山崎智之氏による【インタビュー前編後編】より引用させていただきました。

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