某先輩に習い(遅まきながら)'10年より自分が行ったライヴのデータを記録するようにしていますが、毎年「今年最も回数観た個別アーティスト」部門の1位は、ドラマー芳垣安洋氏になってしまいます。そんな芳垣さん(どんな芳垣さん?)仕切りの恒例ピットイン4daysの3日目、ヴィンセント・アトミクス、ちょうど2年ぶりのライヴでした。芳垣安洋(dr,per)岡部洋一(per)高良久美子(vib,per)松本治(tb)青木タイセイ(tb)太田惠資(vl)勝井祐二(vl)水谷浩章(b)の忙しすぎる8人で組閣されているため、気付くと普通にライヴのインターバルが2年も空く難儀なバンド。冒頭、控えからメンバー登場→バンマス芳垣さん挨拶兼メンバー紹介→芳垣「vib高良久美...」→高良「ちょ待て...忘れ物取ってくる」→客(譜面?)→紹介続行→高良(大量のマレットを持ち)帰還→客(え?)→芳垣「え?忘れ物ってソレ?」→高良(てへ)→芳垣「この2年でずいぶん遠い地点まで来ましたね...」→一同(苦笑爆笑)...のっけから商売道具をお忘れになろうと、高良女史及びヴィンセントの素晴らしさは揺るぎないです。
まあ真面目な話2年ぶりの全員集合ということで、芳垣さん始めメンバーそれぞれがリハから難儀で素晴らしい曲の再確認作業にご腐心だった模様です。しかし「我々が初めて演った曲ですが、未だにコレが一番難しい」と言いながらも、アタマの"眠れぬ夜のために"(1stの1曲目)からもうバッチリ。バッチリどころか、リスナーとして何度聴いても新たな発見と悦びに満ち溢れるアレンジ。この日は(予想に反し)1stから3曲、2ndから4曲とセトリ的には懐かしいものもありましたが、曲の賞味期限など存在しないかのような新鮮なアプローチでの熱演でした。このバンドも見ようによってはROVOのメンバーが3人、ボンデージ・フルーツから3人、元ONJOだと4人、元DCPRG・元ティポグラフィカでそれぞれ2人ずつ...各方面でメンバーが激しく交錯していますが、個人的にインストゥルメンタルバンドとしてはヴィンセントが最も好き。ベースが水谷さんだからかもな...水谷さんによるサッカーにおけるボランチばりの屋台骨グルーヴ抜きに、ヴィンセントならではの「揺らぎ」もまたあり得ません。あと「無国籍ミニマルファンク」といえば耳触りはいいですが、単純にダンスミュージックとして痛快なだけでなく、ヴィンセントの場合はアティテュードというか精神面での「逸脱」と「遊び心」が顕著なのも特筆すべきでしょう。芳垣さんがレスター・ボウイに捧ぐ"Lester B"って曲があるくらいだし、もはや別名「Art Ensemble of Yoshigaki」でもいい。AEOC魂の継承者、そう考えると楽しさ倍増です。
ちなみにAEOC、楽しさ倍増なのはいいんですが、あまりに楽しすぎて滅多と聴けないのは困り者。
setlist.
[1st] 1.眠れぬ夜のために(Yoshigaki) 2.MBIR-VA(Yoshigaki) 3.?(「ブラジルっぽいやつ」by芳垣) 4.Eatborfa(Yoshigaki) [2nd] 1.くつわむし(Aoki) 2.OFERERE/AZOTH(Yoshigaki) 3.大建設(Kido) 4.☆☆○~道化師のレクイエムとメリーゴーランド(Aoki) [Ec] ムギの踊り(Yoshigaki)