2007年10月06日
外環問題と住民投票
今年の3月、外環問題における住民投票の問題が起こりました。
三鷹市では、自治基本条例が制定されました。この条例は、簡単に言うと、三鷹市の基本的な枠組みを定めた条例とご理解いただければよいと思います。この条例の中に、住民投票の条項もあります。
まず、選挙で市長・議員を選ぶ行為は、間接的に民主制を実行するあり方です。要するに「任せる」わけですから、その方々が大事なことを取り決めするのは当然です。
しかし、できればより直接的な民主制を考えていくのが望ましいのはいうまでもないことであり、住民投票制度は、直接的に市政に参加する手段と考えていただければよいと思います。
自治基本条例の35条は、住民投票につき次のように定めています。
第1項 市内に住所を有する年齢満18歳以上の者で別に定めるものは、市の権限に属する市政の重要事項について、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、条例案を添え、その代表者から市長に対して住民投票の実施を請求することができる。
第3項 市長は、第1項の請求を受理した日から20日以内に市議会を招集し、意見を付けてこれを市議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。
ここで留意すべきは、住民投票の対象が「市の権限に属する」「市政の重要事項」という2つの縛りがあるということです。
自治基本条例制定の際、特別委員会が設置されました。改めて当時の特別委員会の議事録を丹念に読み返して、不思議な感がしたのです。
すなわち、重要事項の捉え方に質疑が集中しており、市の権限に属するとはどういうことなのか?の質疑があまりないのです。
唯一、斉藤前議員の質問対する河村副市長答弁で次のようなものがありました。
「国、東京都に意見を言う、国、東京都の事業に対して、その事業を三鷹市がどうする、こうするということを直接には言えませんが、こういうふうにあるべきではないかということについて意見表明を行うということは、住民投票上可能であると思ってはおります。事業そのものを直接廃止することはできませんが、市の権限としては当然、意見を言うことはできるわけでありますから、それが住民投票の争点になるとするならば、論理的には可能(以下略)」
私はここの部分がとても重要なのではないかと以前から感じておりました。外環問題は市道ではない以上、市長ないし市議会がやれることには当然限界があるわけです。
ここで考えてみますと、外環問題のような市の権限外の行為については、そもそも市議会が関与しようにも出来ないわけですから、必然的に市長への態度を問うのが中心になってきます。となると、本来的にはやはり住民投票になじまないのではないかという気がするのです。
とはいえ、決定権が及ばないだけで後は何もできないというのはやはり変ですので、上記の副市長答弁のように、国や都に対して首長が何か言う場合における住民投票はありだろうな、とも思えるのです。上記の答弁はとても重要な答弁ではないか、と私は考えます。
では、そういう問題が実際に起こった場合に、どうすべきなのでしょうか?
まず、首長側についてです。第3項には、「意見を付けて」とあり、その意見の性質についてまで規定されてはいません。ですので、どんな意見であろうが問題はありません。ここから、住民投票を議会に付する際に、首長の付けた意見はおかしいという論理は成り立たないことになると思うのです。私はこれが以前から不思議だったのです。投げられた議会側の責任を問うならまだしも、首長が出す意見につき質疑するというのはどう考えても変なのです。
意見のあり方につき議論するなら、最初から「意見を付けて」という部分を削除して修正案を出せばよかったのです。私は当時の自治基本条例に反対しました。様々な理由がありましたが、今こうやって改めて考え直しますと、やはり反対して正解だったなぁと思うのです。当時諸派だったのが悔やまれます。
問題なのは、議会側の対応なのです。私のように、政治的に完全無所属系の立場から見た場合、市長の振舞い方に問題があったとは思えません。条文を読む限り、市長は自説を付した意見を付けて議会に投げるのであり、いわば機械的な反応に終始するわけです。第3項を読めば明らかです。
では、議会側の方はどうでしょうか?そもそも市議会の権限の範囲外の事項であっても住民投票の対象になりうるという副市長答弁があるわけですから(しかもその答弁があったあとに自治基本条例を議決しているわけですから)、市議会の権限外の事項であっても、市議会に「付議」されることになってしまうのです。
これは致命的な欠陥といえるのではないでしょうか。私が当時、自治基本条例の反対した理由の1つでもあります。つまり、なぜ市議会の権限外の事項を市議会が決定できるのか?その仕組みが明らかではないのです。
これはそういう条例案を可決されてしまった以上、どうしようもありませんが、なぜこの質疑が当時なかったのかが残念なのです。
私は、外環のような市議会が決定権を持たない案件の住民投票については、市議会を関与させることなく、即座に住民投票を実施すべきとの考えを持っています。市議会議員がどうしようもない案件を、市議会議員自身が住民投票につき決するという論理は絶対におかしいのです。つまり、そもそも市の権限に属するとは直接的には言えない事項については、当該住民投票につき議決云々の行為自体がそもそも存在し得ないと思えてくるのです。
また議会の関与のあり方ですが、当時の副市長答弁の中に、
「市議会が2回関与いたしまして、入り口のところは住民投票をするかどうかということの議決に関しての審査と議決。それから、出口といいますか、住民投票が実施されて、賛成多数であった場合に、その内容を実際に実施するかどうかという部分で、市議会が審査して議決するということでございます。入り口が住民投票の実施云々、後段がそれによって賛成多数になった場合の内容についての議決ということでございます」
とあります。
つまり、市議会が重大な決定権を持ってしまっているのです。市長はいわば機械的に行動するだけなのです。
こう考えてくると、一連の外環住民投票問題は、実は議会のあり方についての問題を投げかけるきっかけになったともいえるのです。市議会の権限外といえる事項につき、市議会が当該住民投票の、
・入り口を審査し
・出口も審査する
というのは、見方を変えれば直接民主制を侵害する間接民主制ともいえるのです。
市議会の権限外の事項につき住民投票請求があった場合に、市議会はどう関与すべきなのか?又はそもそも関与すべきではないのか?(私は後者の考え方です)、もっと大きな議論がなされても良いのではないでしょうか。
三鷹市では、自治基本条例が制定されました。この条例は、簡単に言うと、三鷹市の基本的な枠組みを定めた条例とご理解いただければよいと思います。この条例の中に、住民投票の条項もあります。
まず、選挙で市長・議員を選ぶ行為は、間接的に民主制を実行するあり方です。要するに「任せる」わけですから、その方々が大事なことを取り決めするのは当然です。
しかし、できればより直接的な民主制を考えていくのが望ましいのはいうまでもないことであり、住民投票制度は、直接的に市政に参加する手段と考えていただければよいと思います。
自治基本条例の35条は、住民投票につき次のように定めています。
第1項 市内に住所を有する年齢満18歳以上の者で別に定めるものは、市の権限に属する市政の重要事項について、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、条例案を添え、その代表者から市長に対して住民投票の実施を請求することができる。
第3項 市長は、第1項の請求を受理した日から20日以内に市議会を招集し、意見を付けてこれを市議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。
ここで留意すべきは、住民投票の対象が「市の権限に属する」「市政の重要事項」という2つの縛りがあるということです。
自治基本条例制定の際、特別委員会が設置されました。改めて当時の特別委員会の議事録を丹念に読み返して、不思議な感がしたのです。
すなわち、重要事項の捉え方に質疑が集中しており、市の権限に属するとはどういうことなのか?の質疑があまりないのです。
唯一、斉藤前議員の質問対する河村副市長答弁で次のようなものがありました。
「国、東京都に意見を言う、国、東京都の事業に対して、その事業を三鷹市がどうする、こうするということを直接には言えませんが、こういうふうにあるべきではないかということについて意見表明を行うということは、住民投票上可能であると思ってはおります。事業そのものを直接廃止することはできませんが、市の権限としては当然、意見を言うことはできるわけでありますから、それが住民投票の争点になるとするならば、論理的には可能(以下略)」
私はここの部分がとても重要なのではないかと以前から感じておりました。外環問題は市道ではない以上、市長ないし市議会がやれることには当然限界があるわけです。
ここで考えてみますと、外環問題のような市の権限外の行為については、そもそも市議会が関与しようにも出来ないわけですから、必然的に市長への態度を問うのが中心になってきます。となると、本来的にはやはり住民投票になじまないのではないかという気がするのです。
とはいえ、決定権が及ばないだけで後は何もできないというのはやはり変ですので、上記の副市長答弁のように、国や都に対して首長が何か言う場合における住民投票はありだろうな、とも思えるのです。上記の答弁はとても重要な答弁ではないか、と私は考えます。
では、そういう問題が実際に起こった場合に、どうすべきなのでしょうか?
まず、首長側についてです。第3項には、「意見を付けて」とあり、その意見の性質についてまで規定されてはいません。ですので、どんな意見であろうが問題はありません。ここから、住民投票を議会に付する際に、首長の付けた意見はおかしいという論理は成り立たないことになると思うのです。私はこれが以前から不思議だったのです。投げられた議会側の責任を問うならまだしも、首長が出す意見につき質疑するというのはどう考えても変なのです。
意見のあり方につき議論するなら、最初から「意見を付けて」という部分を削除して修正案を出せばよかったのです。私は当時の自治基本条例に反対しました。様々な理由がありましたが、今こうやって改めて考え直しますと、やはり反対して正解だったなぁと思うのです。当時諸派だったのが悔やまれます。
問題なのは、議会側の対応なのです。私のように、政治的に完全無所属系の立場から見た場合、市長の振舞い方に問題があったとは思えません。条文を読む限り、市長は自説を付した意見を付けて議会に投げるのであり、いわば機械的な反応に終始するわけです。第3項を読めば明らかです。
では、議会側の方はどうでしょうか?そもそも市議会の権限の範囲外の事項であっても住民投票の対象になりうるという副市長答弁があるわけですから(しかもその答弁があったあとに自治基本条例を議決しているわけですから)、市議会の権限外の事項であっても、市議会に「付議」されることになってしまうのです。
これは致命的な欠陥といえるのではないでしょうか。私が当時、自治基本条例の反対した理由の1つでもあります。つまり、なぜ市議会の権限外の事項を市議会が決定できるのか?その仕組みが明らかではないのです。
これはそういう条例案を可決されてしまった以上、どうしようもありませんが、なぜこの質疑が当時なかったのかが残念なのです。
私は、外環のような市議会が決定権を持たない案件の住民投票については、市議会を関与させることなく、即座に住民投票を実施すべきとの考えを持っています。市議会議員がどうしようもない案件を、市議会議員自身が住民投票につき決するという論理は絶対におかしいのです。つまり、そもそも市の権限に属するとは直接的には言えない事項については、当該住民投票につき議決云々の行為自体がそもそも存在し得ないと思えてくるのです。
また議会の関与のあり方ですが、当時の副市長答弁の中に、
「市議会が2回関与いたしまして、入り口のところは住民投票をするかどうかということの議決に関しての審査と議決。それから、出口といいますか、住民投票が実施されて、賛成多数であった場合に、その内容を実際に実施するかどうかという部分で、市議会が審査して議決するということでございます。入り口が住民投票の実施云々、後段がそれによって賛成多数になった場合の内容についての議決ということでございます」
とあります。
つまり、市議会が重大な決定権を持ってしまっているのです。市長はいわば機械的に行動するだけなのです。
こう考えてくると、一連の外環住民投票問題は、実は議会のあり方についての問題を投げかけるきっかけになったともいえるのです。市議会の権限外といえる事項につき、市議会が当該住民投票の、
・入り口を審査し
・出口も審査する
というのは、見方を変えれば直接民主制を侵害する間接民主制ともいえるのです。
市議会の権限外の事項につき住民投票請求があった場合に、市議会はどう関与すべきなのか?又はそもそも関与すべきではないのか?(私は後者の考え方です)、もっと大きな議論がなされても良いのではないでしょうか。

