2007年10月15日

民主党の子ども手当法案の実際

民主党が7月の参院選マニフェストで柱に据え、今国会へ提出する予定の「子ども手当」法案の概要が7日、明らかになりました。親の所得制限などは設けず、0歳から中学校卒業までの子ども1人当たり月額26000円を支給するとのことです。必要な費用は約5兆8000億円を見込んでいるとのこと。
財源については「所得税にかかわる扶養控除などの改廃その他の必要な措置を講じる」とするにとどめています。また、施行後3年を目処に見直しを可能とする規定も設けたとのことです(時事通信社の記事から抜粋)。 

さて、扶養控除の改廃とのことですが、少し考えて見ましょう。
「改」つまり改めるのであれば、その改め方、中身にもよりますので考えようがありませんね。ですので、「廃」つまり、扶養控除廃止という場合にどうなるか?で考えてみたいと思います。
確認ですが、ここでいう控除とは、「税金が控除」されるのではなく、「税金の対象となる所得金額を控除分少なくする」という意味です。

所得税の計算をざっくりまとめると、次のようになります。
→所得−所得控除=課税所得。これに税率をかけて税額が決まります。この税額から、住宅ローン控除などの、いわゆる各種控除を差し引き、最終金額が決まります。

さて、本当に26000円手に入るのか?そんなことはありません。ここでモデルとして、給与収入500万円で、妻1人、子2人で考えて見ます。
まず、このケースだと、現状でも児童手当が支給されます。既に子2人分の10000円は支給されていることになりますので、差額は子1人月額16000円、この場合は年で384000円の増収となります。

次に、控除廃止の場合です。給与収入500万円だと、給与所得控除後の金額すなわち給与所得は346万。社会保険料控除50万円、配偶者控除33万円、一般扶養控除が2人分で66万円、基礎控除が33万円と仮定した場合(こういうのが一般的なケースでしょうね)、控除額合計は182万円。所得の346万円から控除額合計の182万円の差額である、164万円が課税所得となります。
扶養控除が廃止となると、このケースの場合、控除額合計から66万円差し引くことになるので、230万円が課税所得となります。
課税所得195万円以下の場合の所得税率は5%なので、扶養控除廃止前のケースでは所得税額が82000円となりますが、課税所得が195万円以上の場合税率が10%なりますので、230000円となります。
つまり、扶養控除を廃止すると、このモデルケースの場合、148000円の増税となるのです。

次に住民税についてみてみましょう。一律10%なので、扶養控除廃止分66万円の10%が増税になります。66000円ですね。
先ほどの148000円と足すと、所得税と住民税の合計で、214000円の増税となります。
増収分384000円から増税分214000円を引いた差額の17万円が増収であり、子2人のケースで考えていますので、子1人あたり年で85000円。月で割ると、子1人当たり7000円ちょっとの増収ということになります。計算合っているかなぁ…。間違っていたら修正しますので、コメントくださいね。

民主党のマニフェストを拝見しますと、「3つの約束」という大きな見出しに、
「1人月額2万6000円の子ども手当を支給します。」
とありますが、一方、同じマニフェストの政策各論という部分で(これがものすごく小さな字で見難いのですが)、「8. 格差是正の観点からの税制改正」という項目の中で、
「格差是正のために、所得控除を整理し、給付・税額控除を組み合わせた制度の導入を図ります。
扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除については、見直しによって生まれる財源を子育て支援策などの社会保障財源とします。」
としています。

国民は26000円に目が行くでしょうが、実際は(この場合だと)7000円というのですから、これは明らかに表現方法がおかしいと思います。せめて3つの約束の部分に※印みたいな感じで、実際は…として、モデル例を書くことが必要なのではないでしょうか。

しかも、このマニフェストを見てみますと、その予算を4.8兆円としている一方で、今回の法案化で示された数字は、1兆円増えて5.8兆円となっています。参議院選からさほど時間経過していないのにもかかわらず、1兆円も数字が異なるなんて前代未聞でしょう。何が本当の数字なのでしょうか?短期間で兆円単位で数字が動くところに政権を任せられるでしょうか。

政治の基本は信頼だと思います。まだマスコミが大々的に特集組んでいないので、国民も気づいていないかもしれませんが、26000円と書いて置きながら実際は違った数字であるということ、及びその理由たる控除についての考え方が小さくしかまとまっていないこと、これらは大変重大な過失ではないかと考えます。
私も正直申し上げて、選挙のたびごとに細かい各論までは目を通していません。もしこれが大きな問題になったときに、民主党側は既に書いてある論理を言うのでしょうが、ここで大事なことは抗弁を国民は聞きたがっているのではないということなのです。マスコミのあり方にも関わる問題でしょうが、今回の件をもっと注視して、実態を把握することが必要だと思います。

しかも、このモデルケースで言うと、7000円分がどこから支払うのか?いわゆる財源問題があります。これも不思議な話です。上記に書いたように、財源については「所得税にかかわる扶養控除などの改廃その他の必要な措置を講じる」とするにとどめているわけです。これでは国民の理解は得られません。

今、民主党に期待されていることは何でしょうか?政権交代だとか政権担当能力とかいろいろありますが、私はそういうことではないと考えています。ぜひ民主党には、マニフェストと法案の差異を特集で組んで頂きたいと思います。それをしないと説明責任を果たしたことにはならないでしょう。
こういう作業がまさに国民が望んでいることなのではないでしょうか?


トラックバックURL

コメント一欄

1. Posted by わわちゃん   2007年10月16日 14:58
mixiからお邪魔します。
先ほど国会をみていて、今回の子供手当て法案を
アピールする馬鹿さ加減に・・・。

結局詐欺というか騙しだと思うんですよね、この法案。

ホントに民主党は国民に望まれている事の内容を
わかっていないんだと実感しました。
2. Posted by 半田伸明   2007年10月17日 14:09
お越し頂きありがとうございます。
法案の実質をマスコミがきっちりと把握していないのが大問題ですね。

そのうち書きますが、自民党と民主党は本質は変わらないと見ています。片や権力にしがみつきたい側で、片や権力を欲しがっている側で、本質は同じです。

残念なのは、彼らの活動に哲学が見えてこないことです。同質化している両政党間で二大政党制と言われてもピンときません。このピンとこないという直観が、ある意味日本国民の素晴らしさともいえます。
3. Posted by 子ども手当断固反対   2009年10月14日 10:04
子ども手当断固反対
4. Posted by あいたろう   2009年11月05日 20:14
5 はじめまして。
「所得税率 扶養控除廃止」で検索をかけて、こちらにたどりつきました。

扶養控除などが廃止になれば所得税率が増えて、報道されている金額よりも増税になる人が、かなりいるのではないかと心配しています。
良いことばかり大々的に宣伝し、悪いことは黙っている。これは立派な詐欺行為だと思います。

これからも啓発活動がんばってください。応援しています。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
プロフィール
livedoor Readerに登録
RSS
livedoor Blog(ブログ)