2007年10月16日
民主党の農家所得補償法案は実態を見ていない
民主党は10日の「次の内閣」閣議で「農業者戸別所得補償法案」を了承しました。参議院選で、民主党が、政府が今年度始めた品目横断対策が助成対象を絞ったことを「小規模農家の切り捨て」と批判したのは記憶に新しいところです。
ここに言う「戸別所得補償」とは、要するに、作るのにかかったお金と、実際に売るお金とで差がある場合に、その不足分を支払います、ということのようです。政府・与党も所得補償を実行していますが、民主党案の場合、対象規模に関わらず全ての販売農家を対象としている点に特徴があります。民主党のホームページによると、
・食料の国内生産の確保及び経営の安定、食料自給率の向上のため
・原則として全ての販売農家に戸別所得補償を実施
・対象が一部の大規模農家に限定されている政府の品目横断的経営安定対策と違う
とあります。
対象規模に関わらず補償を実行というのは、まさに社会主義そのものであり、資本主義経済とは相反するもので、時代に逆行していると言わざるを得ません。しかも、こうした補償は、結局税金で補われるわけであり、いかがなものかと思います。個人的には、そもそも補償制度を敷く必要があるのか、かなりの疑問を感じますが、それはさておき、今日はこの問題を考えてみたいと思います。
専業農家の割合はおおよそ2割といわれています。逆に言うと、8割が兼業農家なのです。しかも、兼業農家における収入のうち農業収入は2割にも満たないのです。つまり、兼業農家の収入の大半が、企業などで働いた給料収入なのです。
重要なのは、こういった方々が現に生活できていると言う現実です。生活できないというのであればわかりますが、実態はそうではありません。
つまり、農業収入に依存せずに生活できている方々に対して、国民の血税で国が所得補償するという、なんともおかしな話なのです。
民主党は、小規模農家切捨てといいますが、そもそも小規模農家は切り捨てられる以前に、最初から農業収入を当てにせずに生活できているのです。私の実家、また妻の実家の近隣の方でこういった兼業の方が多数いらっしゃいますが、この政策を取り上げて民主党に参議院選で投票したという方は聞いた事がありません。
小規模農家=零細農家=弱者と組み立てて、弱者救済、格差是正と謳ってこういう制度を考える方がどうかしているのです。農地であれば固定資産税面での恩恵があることなど、実は兼業農家は恵まれているのです。
都心部であれば、最終的には売却によって儲けられますので、自分が持っている田畑の周辺を整備して地価を上げて…と発想し、これはまさに自民党を試しているとの論調も聞こえますが、これも的外れでしょう。まず、地方は、都心部で想定できるほど、土地の流通がありません。従って、参議院選で民主党に入れた自民系の人は公共事業増加を狙っているというのも、おかしな指摘だと思います。確かに土建屋さんはそうかもしれませんが、純粋な兼業農家はそこまで考えないでしょう。
このように、実態を捉えているとは思えない法案であり、また恐らくは兼業農家自身が冷ややかな目で見ていると思います。知人から聞いた話ですが、民主党案は実際の兼業農家の実態を見ずに、ある特定団体(名前はここでは書きません)の意見を丸呑みにしただけじゃないかと言われましたが、納得できます。
では、専業と兼業で決定的に異なる点は何でしょうか?
私の知人が口を揃えて言うのは、販路です。専業の場合、ブランド化などにより、大手のスーパーなどと契約をしてそれなりの消費先を開拓できますが、兼業はそうは行きません。販路がないから補償しますというのではなく、販路を開拓する努力を一緒にして欲しいというのが本音なのです。
またもうひとつの問題があります。
私が知っている範囲で恐縮なのですが、今、地方では小作現象が始まっています。若手が都心部に行って、農地を守る方が高齢化して行き、やむを得ず、農地を預かってくれる人に貸すのです。昔の小作現象とは異なり、「貸してあげる」ではありません。「借りてもらう」というわけです。
借りてもらい、耕作をして頂き、作物の一部だけをもらう…こういう現象が始まっているのです。もはや所得補償という次元を超えているのです。借り手がなかなかいない場合、複数の農家で一緒になってある団体を作り、さらにそこでの働き手がいないので外国人に頼る現象も始まっているのです。こうなったら、所得を補償します!と叫んだところで、「ふ〜ん…」で終わってしまいます。
要するに、もはや国策として農業の限界を迎え始めているのです。この現実から目をそらしてはなりません。やはり、一定規模の農業を営む企業の育成が必要なのです。アメリカでは社会起業の一環として農業を売りにする団体すらあるほどです。小作現象に苦しむ実態を理解し、そういう土地を定期借地権を設定して民間が借り、農業を売りにする企業を育てるしか方策はないのです。
民主党は、参議院選での勝利を踏まえて、法案化を急いでいるようですが…気持ちはわかります。選ばれた方としては、法案化できるか否かを国民は見ていると思うのも無理はありません。
しかし、先ほど書いたように、実態とは程遠いといわざるを得ず、冷ややかな目で見られるでしょう。今度妻の実家に帰ったときにでも、近所の人にでも聞いてみたいと思います。
ですので、何も無理に法案化する必要はないと思うのです。実態を分析し、問題点を抉り出すことこそ、国民が民主党に期待しているのではないでしょうか。以前も書いたのですが、あくまで「参」議院選だったからこそ、民主党は勝ったのです。政権担当能力を試されているのではありません。強行採決を連発する与党に嫌気が差して、冷や水をかぶせたというだけなのです。いわば与党チェック機能を期待されているだけなのです。
子ども手当法案にしても、この農家所得補償法案にしても、おかしな法案であることはちょっと考えればわかる話です。恐らく国民の大半は、民主党から心が離れ始めていることでしょう。福田政権の支持率がそこそこなのも理解できます。なんのことはない、元に戻っただけなのです。
民主党がこういう状況を走り続けるならば、恐らく次の衆議院選で大勝とは行かないでしょう。国民は実に微妙なバランスを示してきます。次の衆議院選がどうなるか興味津々ですが、恐らくは民意が民主党から離れていく現象に歯止めが効かずに、そこそこで終わってしまうでしょうね。
では、民主党が明らかに自民党と違うところを見せ、かつ国民も民主党に政権をやらせてみようという論点はあるのでしょうか?
あります。長くなったので、次の機会にまとめてみます。
ここに言う「戸別所得補償」とは、要するに、作るのにかかったお金と、実際に売るお金とで差がある場合に、その不足分を支払います、ということのようです。政府・与党も所得補償を実行していますが、民主党案の場合、対象規模に関わらず全ての販売農家を対象としている点に特徴があります。民主党のホームページによると、
・食料の国内生産の確保及び経営の安定、食料自給率の向上のため
・原則として全ての販売農家に戸別所得補償を実施
・対象が一部の大規模農家に限定されている政府の品目横断的経営安定対策と違う
とあります。
対象規模に関わらず補償を実行というのは、まさに社会主義そのものであり、資本主義経済とは相反するもので、時代に逆行していると言わざるを得ません。しかも、こうした補償は、結局税金で補われるわけであり、いかがなものかと思います。個人的には、そもそも補償制度を敷く必要があるのか、かなりの疑問を感じますが、それはさておき、今日はこの問題を考えてみたいと思います。
専業農家の割合はおおよそ2割といわれています。逆に言うと、8割が兼業農家なのです。しかも、兼業農家における収入のうち農業収入は2割にも満たないのです。つまり、兼業農家の収入の大半が、企業などで働いた給料収入なのです。
重要なのは、こういった方々が現に生活できていると言う現実です。生活できないというのであればわかりますが、実態はそうではありません。
つまり、農業収入に依存せずに生活できている方々に対して、国民の血税で国が所得補償するという、なんともおかしな話なのです。
民主党は、小規模農家切捨てといいますが、そもそも小規模農家は切り捨てられる以前に、最初から農業収入を当てにせずに生活できているのです。私の実家、また妻の実家の近隣の方でこういった兼業の方が多数いらっしゃいますが、この政策を取り上げて民主党に参議院選で投票したという方は聞いた事がありません。
小規模農家=零細農家=弱者と組み立てて、弱者救済、格差是正と謳ってこういう制度を考える方がどうかしているのです。農地であれば固定資産税面での恩恵があることなど、実は兼業農家は恵まれているのです。
都心部であれば、最終的には売却によって儲けられますので、自分が持っている田畑の周辺を整備して地価を上げて…と発想し、これはまさに自民党を試しているとの論調も聞こえますが、これも的外れでしょう。まず、地方は、都心部で想定できるほど、土地の流通がありません。従って、参議院選で民主党に入れた自民系の人は公共事業増加を狙っているというのも、おかしな指摘だと思います。確かに土建屋さんはそうかもしれませんが、純粋な兼業農家はそこまで考えないでしょう。
このように、実態を捉えているとは思えない法案であり、また恐らくは兼業農家自身が冷ややかな目で見ていると思います。知人から聞いた話ですが、民主党案は実際の兼業農家の実態を見ずに、ある特定団体(名前はここでは書きません)の意見を丸呑みにしただけじゃないかと言われましたが、納得できます。
では、専業と兼業で決定的に異なる点は何でしょうか?
私の知人が口を揃えて言うのは、販路です。専業の場合、ブランド化などにより、大手のスーパーなどと契約をしてそれなりの消費先を開拓できますが、兼業はそうは行きません。販路がないから補償しますというのではなく、販路を開拓する努力を一緒にして欲しいというのが本音なのです。
またもうひとつの問題があります。
私が知っている範囲で恐縮なのですが、今、地方では小作現象が始まっています。若手が都心部に行って、農地を守る方が高齢化して行き、やむを得ず、農地を預かってくれる人に貸すのです。昔の小作現象とは異なり、「貸してあげる」ではありません。「借りてもらう」というわけです。
借りてもらい、耕作をして頂き、作物の一部だけをもらう…こういう現象が始まっているのです。もはや所得補償という次元を超えているのです。借り手がなかなかいない場合、複数の農家で一緒になってある団体を作り、さらにそこでの働き手がいないので外国人に頼る現象も始まっているのです。こうなったら、所得を補償します!と叫んだところで、「ふ〜ん…」で終わってしまいます。
要するに、もはや国策として農業の限界を迎え始めているのです。この現実から目をそらしてはなりません。やはり、一定規模の農業を営む企業の育成が必要なのです。アメリカでは社会起業の一環として農業を売りにする団体すらあるほどです。小作現象に苦しむ実態を理解し、そういう土地を定期借地権を設定して民間が借り、農業を売りにする企業を育てるしか方策はないのです。
民主党は、参議院選での勝利を踏まえて、法案化を急いでいるようですが…気持ちはわかります。選ばれた方としては、法案化できるか否かを国民は見ていると思うのも無理はありません。
しかし、先ほど書いたように、実態とは程遠いといわざるを得ず、冷ややかな目で見られるでしょう。今度妻の実家に帰ったときにでも、近所の人にでも聞いてみたいと思います。
ですので、何も無理に法案化する必要はないと思うのです。実態を分析し、問題点を抉り出すことこそ、国民が民主党に期待しているのではないでしょうか。以前も書いたのですが、あくまで「参」議院選だったからこそ、民主党は勝ったのです。政権担当能力を試されているのではありません。強行採決を連発する与党に嫌気が差して、冷や水をかぶせたというだけなのです。いわば与党チェック機能を期待されているだけなのです。
子ども手当法案にしても、この農家所得補償法案にしても、おかしな法案であることはちょっと考えればわかる話です。恐らく国民の大半は、民主党から心が離れ始めていることでしょう。福田政権の支持率がそこそこなのも理解できます。なんのことはない、元に戻っただけなのです。
民主党がこういう状況を走り続けるならば、恐らく次の衆議院選で大勝とは行かないでしょう。国民は実に微妙なバランスを示してきます。次の衆議院選がどうなるか興味津々ですが、恐らくは民意が民主党から離れていく現象に歯止めが効かずに、そこそこで終わってしまうでしょうね。
では、民主党が明らかに自民党と違うところを見せ、かつ国民も民主党に政権をやらせてみようという論点はあるのでしょうか?
あります。長くなったので、次の機会にまとめてみます。
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コメント一欄
1. Posted by 社会の木鐸 2007年10月17日 00:47
HPはいつまで「未来の〜」なの?
結局HPは選挙対策のためだけでしょw
結局HPは選挙対策のためだけでしょw
2. Posted by 半田伸明 2007年10月17日 14:14
未来の三鷹を創る会のことを指しているのでしょうか。
あれはずっと残します。
私の精神的支柱でもあり、出発点でもあります。当時の提案内容をまとめてもいるものであり、今でも重要なものです。
HPが選挙対策かというご質問ですが、それは閲覧者が判断するものだと思います。私自身は情報公開の場としていきたいという気持ちがありますが、ブログとの差異をどうするか考え中です。ブログに書いたものを一部分割して、コラム欄という形でホームページの一部に載せようかと考え始めています。
以前ホームページを担当いただいた方がご家庭の事情で辞退され、新しい方を見つけたのですがその方が現在入院中ということもあり、対応できなくなっている事情もあります。ホームページを一部変更したらブログでお知らせしますので、そのときはどうぞご覧下さい。
あれはずっと残します。
私の精神的支柱でもあり、出発点でもあります。当時の提案内容をまとめてもいるものであり、今でも重要なものです。
HPが選挙対策かというご質問ですが、それは閲覧者が判断するものだと思います。私自身は情報公開の場としていきたいという気持ちがありますが、ブログとの差異をどうするか考え中です。ブログに書いたものを一部分割して、コラム欄という形でホームページの一部に載せようかと考え始めています。
以前ホームページを担当いただいた方がご家庭の事情で辞退され、新しい方を見つけたのですがその方が現在入院中ということもあり、対応できなくなっている事情もあります。ホームページを一部変更したらブログでお知らせしますので、そのときはどうぞご覧下さい。

