公務員批判

2005年11月21日

果たして公務員パッシングは正しいのか?

半田が参加するメーリングリストで以下の内容のものがありました。本人に転載許可を頂きましたので、ここに転載します。

<以下、引用>
公務員バッシングの心理学

 景気は回復したが、世相は決して明るくない。自殺、うつ病が増え、凶悪犯や若年犯罪が目立つ。世の中にはえもいえぬ不安や不満が渦巻いている。世界的に見ると日本人は衣食住が満ち足りて、ずいぶん豊かな生活を送っている。だが、構造変化の中で、誰もがかつてない“転落の危険“を感じ、そこはかとない不安感にさいなまれている。中高年は年金・退職金の目減りや取りはぐれが心配だ。リストラや賃金カットの懸念も消えない。若者にはニートやフリーター、派遣雇用が多く将来展望が見えにくい。主婦は自分探しに余念が無く、あるいはヨン様にはけ口を求める。子供たちは受験の不安が消えない。企業経営者も安泰ではない。ある日突然、内部告発や不祥事、事故、敵対的買収で地位を追われる時代だ。

 渦巻く不安の大衆心理は、スケープゴートを求めがちだ。誰かを糾弾し、苛めることでモヤモヤを解消しようとする。同時に悪代官を征伐する水戸黄門を探し始める。

先般の衆議院選挙にはこの構図がはっきり現れた。郵政民営化に反対した議員は、理屈抜きに軒並みスケープゴートにされた。刺客騒ぎは実は自民党内の内部抗争に過ぎない。ところがマスコミ報道の過熱ぶりともあいまって選挙の争点に化けた。そもそも政治家はスケープゴートにされやすい。守旧派のレッテルを貼られた議員は、まるで魔女狩りにあったかのように殲滅された。

 さてこうした魔女狩りの矛先は次はどこに向かうのか? おそらく公務員バッシングだろう。公務員という存在は大衆心理からすれば苛立つ存在だ。親方日の丸で地位が保証され、割合、暇な仕事と見られている(実際にはそうでない職場が増えているがイメージは急には変わらない)。給与水準は一般庶民よりも高く、原資は税金だ。学歴も高く、窓口などでえらそうにしている。こういう存在は魔女狩りにうってつけである。特に増税の前には、政治的演出とあいまって、熾烈を極める可能性がある。

 本来、大衆がバッシングすべきは巨額の財政赤字を作ってしまったこれまでの政権与党、既得権益を得ている事業者のはずだ。あるいは「失われた10年」の元凶となる金融機関の経営者たちのはずだ。だが矛先は目の前の身近な存在に向かうのだ。

 不安な時代は過去にもあった。昭和初期、戦後すぐ、あるいは公害問題やオイルショックにみまわれた70年代初頭がそうだ。当時のバッシングの対象は大企業や資本家だった。大正時代には米倉が襲われた。70年代には大企業が批判された。こうした歴史に照らせば、実はITベンチャーの経営者やいわゆるヒルズ族がバッシングの対象になってもおかしくない。ところが大衆心理は複雑だ。景気回復、株高の象徴である彼らはむしろ憧れの的、守護神である。大衆心理はむしろ自分たちの身の回りの「ちょっと偉そうにしている奴ら」に向かう。だから要領の悪い議員や公務員が割を食う。

 大衆心理のはけ口としてもう一つ考えられるのは外国、特に中国と韓国である。靖国問題に象徴される摩擦の中で、急速にアンチ韓国あるいはアンチ中国の空気が広がる可能性がある。かつては日米安保体制の粉砕、つまり米国批判に心理的はけ口が向かった。反米運動は高度成長期の一種のガス抜きだった。ところが米国一人勝ちの状況の中、これはあまり現実的でない。そこでもっと“手ごろ”なアジアの新興勢力に矛先が向かいつつあるようにおもう。

 要するに大衆心理は巨悪、あるいは本当のワルを直視せず、正面から立ち向かわない。そして身近な”小役人”を苛める。公務員バッシングに忌みが無いわけではない。バッシングであれ何であれ勢いをもった運動が体制を揺さぶる。それが真の変革を生み出すという要素も否定はできない。だが指導者は人々の不安は正しく制御しなければならない。そして本質的な原因除去に立ち向かうべきだ。悪代官を懲らしめる水戸黄門役に甘んじていては困る。ましてや一緒になって”小役人苛め”をしているようでは指導者とはいえない。
 米国でもフランスでも人種差別を巡る暴動がおきている。あるいはアルカイダのテロ活動などもアラブ世界の若者たちの絶望感の吐け口になっている。先進国はみんな病んでいる。刺客騒動や公務員バッシングを眺めているだけではいけない。冷戦後の先進国共通の不安感という文脈のなかで制御の対象として捉え直してみるべき現象である。

<引用終わり>(Uさん、転載許可ありがとうございました!)


皆さんご感想はいかがでしょうか?
半田も全く同感です。以前にも書きましたが、この国は悪者をつくる風習でもあるのでしょうか?
過去の借金は公務員がつくったのでしょうか?半田なりの答えは、Noです。
つくった張本人は政治家です。
何故、そう言えるのか?答えはただ一つ。政治家が議会で予算を承認するからです。異論がある人もいるでしょうが、半田はこのように考えています。
過去に大きな借金を背負う決断を迫られたときに、それを許可した政治家が現状の借金体質をつくっているのです。何も公務員が悪いのではありません。
しかし、公務員パッシングはやがて必ずやってくるでしょう。そのとき、半田は大きな声で公務員が悪いのではない!と、はっきりと主張しようと思います。

やがて、間違いなく増税路線時代がやってきます。当然、消費税も上がっていくでしょう。増税路線採択の際に、政治家が、国民の批判の矛先を公務員に向けさせるようなことだけは断じてあってはならないし、また許されないことであると思います。

増税路線を決定する政治家たちは、過去どのような予算内容を承認してきたのでしょうか?そこに目を向けてほしいと思います。続きを読む

yeah5266 at 22:53|Permalink