November 15, 2009
ダーネはどうダネ?

さあ、お待たせしました!
予告通り、今日はナンギの結婚式前日の様子をお伝えしようと思います。
まずは上の写真をとくとご覧ください。スパンコールや刺繍の装飾、さらにフリンジがたっぷり付いたハデハデ日傘。これが玄関先に置いてあるということは、現在どなたかがいらしている、ということなんですけど、こんなド派手な傘を持ってくるのはいったいどこのマダムなんでしょ?
さ、答えはこちら!
ご登場いただきましょう、
全身オレンジ色のド派手なドレスのマダム!!
じゃなくって、

貫禄のあるお坊さん、その名も通称カル・ハームドゥルオ(「黒いお坊さん」の意)でした。
しかもお一人だけじゃありませんよ。
かな〜りお若いお坊さんもいらっしゃいます。

お坊さんたちが到着すると、家の中に入る前に、こうして足を水で洗わせていただきます。足がキレイになったところで、お坊さんたちは白い布の上を歩いて家の中に入るんです。
そう、これはつまり、ただの来客ではございません。
「ダーネ」とよばれる、言わば施しのこと。
今日はオット実家にて、近所のお寺のお坊さんたちに朝食の施しをさせていただく、というわけなんです。
しかし、よりによってナンギの結婚式の前日ですよ。
ただでさえその準備に忙しいのに、さらにダーネの準備もしなくてはならないなんて、家中パニックになるのは分かりきっているはずなのですが、しかし、敬虔な仏教徒のアンマにとっては、はずせない一大イベントなわけですな。
オット実家で最後にダーネをしたのは一昨年の1月のターッタの命日。昨年の1月はアンマが急性盲腸炎で入院したため流れ、今年の1月も何かのどさくさに紛れてダーネができず。
そこで、ナンギの結婚が決まるや否や、これぞグッドタイミングとばかり、アンマが寺に赴いて「ダーネなんてどうダネ?」などとお坊さんたちをお誘い申し上げたらしい(ほんの一部、虚実が入り交じっていることをお許しください)。
まあ、決めちゃったものはやらねばならぬ、などと不謹慎なことを思っているのは似非仏教徒の私くらいなものですが、ともかく結婚式前日のとーーーっても忙しいさなか(←しつこい?)、部屋を清めてお坊さんたちが座る椅子やテーブルに白い布をかけて準備をします。
さらにスタートはなんと朝6時半っていうじゃないですか! あの〜、私、ヒジョーに低血圧なんですけどねぇ。立っているのがやっと、ってな感じなんですけどねぇ。
すると、そんな私に気遣っていただいたのか、お坊さんたち大幅に遅刻され、7時過ぎにご到着。

ご到着されると、既にご紹介した通り足を洗って白い布の上をお進みなり、それぞれ席にお着きになります。
そしてまずはルヌ・キャンダ(ココナッツミルクすら入っていない、塩味のシンプルなお粥)をお出しします。
キャンダを召し上がっている間に裏を覗いてみると、既に着々と朝食の準備ができていました。
おお!スリランカの朝ご飯の定番、「粉もの」トリオが!!

米粉の蒸し麺インディ・アーッパが紅白で用意され、そしてココナッツ入りの薄焼きパン、ポル・ロティ。あら〜、美しく焼き上がってますね〜。

そして料理名人・長女が米粉のお椀型クレープ、アーッパを焼いている真っ最中でした。 卵なんて落としちゃって、う〜ん、美味しそう!!
これら「粉もの三兄弟」、私も大好きなんですよ〜。
ちょっと味見させて〜!!と言いたいところですが、いえ、イケマセン!! お坊さんたちを差し置いて俗人のこの私が朝食を先に食べるなんて許されないのです。
仕方がありませんので、低血圧、低血糖のまま、食事を終えたお坊さんたちの説法を聞くことにしましょう。恥ずかしいので、どうかお腹が鳴ったりしませんように。
さて、今回のダーネはナンギの結婚にあわせて行われていますので、当然お坊さんたちの話の中に、ナンギが育ったこの家に対する思い、そしてこの家から嫁いでいくことの意味など、ナンギへ向けたメッセージがたっぷり込められているわけです。私の語学力ではすべてを理解することはできませんが、言葉を一つ一つかみしめるようにじっと聞くナンギの表情を見ていれば、容易に想像がつくというものです。
そして実はこの直後、感極まったのか、それともこの家を出て行くことの寂しさが押し寄せたのか泣き出してしまい、席を外してしまいました。
見ると、いつもお世話になっているお坊さんが、貫禄たっぷりのカル・ハームドゥルオの説法を聞いて泣いているではありませんか。いや〜、お坊さんが泣くなんて、なんだか意外なんですけど。
で、そのときいったいどんな話がされていたかといいますと、
ずばり、コンダ・キャウン。
え???
コンダ・キャウンというのは、スリランカの伝統菓子のこと。オット実家の長女は、このコンダ・キャウン作りの名人として近所にその名を轟かせているのですが、よ〜く説法に耳を傾けておりますと、話主のカル・ハームドゥルオ、このコンダ・キャウンが大好物のようですねえ。
しかし、キャウンなら何でも良いかというと大間違い!「長女ガンガの作ったキャウン限定」という強いこだわりをお持ちのようで、カル・ハームドゥルオは、長女の作ったキャウン以外は口にしない、なんておっしゃってますよ。
さらに、カル・ハームドゥルオが以前アメリカやらタイやら、外国に赴いた際に手みやげとして長女のキャウンを大量に持っていき、その評判は世界に広がっているだのなんだの。「こんなに美味しいキャウン」という言葉を連発して力説するカル・ハームドゥルオの説法に、隣で座っていたお坊さんも、そしてナンギまでもが感極まって泣くという、予期せぬ事態に!!
ともあれ、「こんなに美味しいキャウン」を作るすばらしい家から、新しい家族のもとへと嫁いで行くナンギに対し、暖かい祝福の言葉をくださったカル・ハームドゥルオなのでした。
* * *
感動的な説法が終わり、ナンギも涙を拭いて戻ってきましたよ。
さあ、家族のトップを切ってナンギが前に進み出て、お坊さんから聖水を受け、それを口に含みます。

そして災難よけの護符である白い糸の束、ピリット・ヌールを右腕に巻いてもらいます。
明日の結婚式に出席するため、はるばるキャンディからやって来た親戚と生まれたばかりの赤ちゃんも、聖水を頭に付けてもらいます。そして家族全員の右腕にピリット・ヌールが巻かれて、ダーネは無事終了。

上の右の写真、ポディ・マッリが頭の上にのせているド派手なものの中には、仏陀のご神体が納められた容器が入っているそうです。
ダーネが始まる直前、お坊さんがお寺からこれを運び入れると、即座に部屋の隅の台に置かれ、上から白い布がかけられました。その後、アンマがお坊さんたちが召し上がったものと同じ朝ご飯をお供えしていましたよ。
そしてダーネが終わると、冒頭の日傘で守られながら、ご神体とおぼしきものはまたお寺へと帰っていきます。
ついつい「ド派手」だなんて表現してしまいましたけど、聖なる物のために美しく飾り付けられていたわけですね。
さらに少し分かりにくですが、ナンギが手にしている白い糸、これは右腕に巻いてもらったピリット・ヌールと同じものですが、翌日の結婚式の儀式で使うために少し余分にいただいたものです。
これの種明かしは次回にいたしましょう。

ご神体とともにスリーウィラーでお寺への帰路につくお坊さん。
我々家族にとっては最も近しい方で、ナンギの結婚を心から祝福してくださいました。
見送るナンギの背中が心無しか寂しそうに見えたのは、私の気のせいでしょうか?
↓
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この記事へのコメント
1. Posted by 蘭花・柊 November 16, 2009 00:44
お忙しかったのね?
微熱でよかった!(折角の帰国ですものね?)
ダーネ、厳かに執り行われたんですね(←見たかった!)
ダーナが旦那(檀那)になった訳が良くわかります。
ド派手なドレス(笑)は、和服を誂えて、包まれてくる風呂敷(普通より大きめ)と同じ色(橙色?黄土色?)なんですよね?虫をよせつけないとか・・・
次回楽しみです。
お疲れが出ませんように!老婆心ながら(笑)
微熱でよかった!(折角の帰国ですものね?)
ダーネ、厳かに執り行われたんですね(←見たかった!)
ダーナが旦那(檀那)になった訳が良くわかります。
ド派手なドレス(笑)は、和服を誂えて、包まれてくる風呂敷(普通より大きめ)と同じ色(橙色?黄土色?)なんですよね?虫をよせつけないとか・・・
次回楽しみです。
お疲れが出ませんように!老婆心ながら(笑)
2. Posted by イエスタデイ伊藤 November 16, 2009 09:21
◇蘭花・柊さん、
ありがとうございます、微熱は長野滞在中に収まりました。スリランカの薬草の力を少し借りましたけど(笑)。
このダーネは小規模のものでしたが(さすがに結婚式の前日はこの程度が限界だったようで)、一昨年のターッタの命日のものはかなり大掛かりだったようです。そのとき私はまだ結婚前で写真で見ただけなのですが。
シンハラ語と日本語が少し似ていると感じることが多いのは、共にサンスクリットを語源とする言葉を使用しているからだと読んだことがあります。日本を「仏教国」とは呼べないと思いますが、同じ文化を共有しているんだなあと思います。
法衣の色と、和服が包まれてくる風呂敷と同じ色というのは知りませんでした。ウチは和服はすべて自宅で祖母が縫ってくれていたので見たことがありませんが、ここにも日本とスリランカで共通するものが見られるんですね。興味深いお話、ありがとうございました。
ありがとうございます、微熱は長野滞在中に収まりました。スリランカの薬草の力を少し借りましたけど(笑)。
このダーネは小規模のものでしたが(さすがに結婚式の前日はこの程度が限界だったようで)、一昨年のターッタの命日のものはかなり大掛かりだったようです。そのとき私はまだ結婚前で写真で見ただけなのですが。
シンハラ語と日本語が少し似ていると感じることが多いのは、共にサンスクリットを語源とする言葉を使用しているからだと読んだことがあります。日本を「仏教国」とは呼べないと思いますが、同じ文化を共有しているんだなあと思います。
法衣の色と、和服が包まれてくる風呂敷と同じ色というのは知りませんでした。ウチは和服はすべて自宅で祖母が縫ってくれていたので見たことがありませんが、ここにも日本とスリランカで共通するものが見られるんですね。興味深いお話、ありがとうございました。
3. Posted by ウルビタ November 16, 2009 11:08
結婚式前日にダーネとは、本当に忙しいですね〜。
小さなお坊さん、ただカワイイだけでなく、キリっとしてて、さすがです。お坊さんって多少の威圧感もありますけど、優しさに満ち溢れてるというか、こっちまで優しい気持ちになるし、癒されます。
う〜でもやっぱり粉もの三兄弟が気になる〜!(今ちょうどお昼前なので)お腹がグゥグゥなってます。。美味しそう。。。
小さなお坊さん、ただカワイイだけでなく、キリっとしてて、さすがです。お坊さんって多少の威圧感もありますけど、優しさに満ち溢れてるというか、こっちまで優しい気持ちになるし、癒されます。
う〜でもやっぱり粉もの三兄弟が気になる〜!(今ちょうどお昼前なので)お腹がグゥグゥなってます。。美味しそう。。。
4. Posted by イエスタデイ伊藤 November 16, 2009 11:49
◇ウルピタさん、
「前日にダーネ」というのを聞いたとき、わざわざそんな日にやらなくても〜と思ったのですが、そんな私は仏教徒失格ですよね(笑)。
小さなお坊さん、キリっとしてるんですけどやっぱり時折子供になるんです。目が合ったのでついついニコっと笑いかけてしまったら、彼もニッコリしてくれたりして。一応お坊さんだし、こんなことしていいのかな?とちょっとドキドキしましたよ。
説法中にお坊さんが涙を拭っているのは本当に意外だったのですが、親近感が湧いたのも事実。威圧感や威厳で人を従えようとするのはお坊さんに限らず苦手ですけど、オット実家とお寺やお坊さんとの関わりを見ていると、とても自然なんだなということを感じました。スリランカの仏教は「縛り」が多いという先入観があったのですが、このダーネを体験して少し見方が変わってきました。
粉もの三兄弟、ふふふ〜、美味しかったですよ! 写真はありませんが、レンズ豆のカリーと魚のカリーなどと共に、お坊さんたちが帰った後にガツガツ食べました!(笑)
「前日にダーネ」というのを聞いたとき、わざわざそんな日にやらなくても〜と思ったのですが、そんな私は仏教徒失格ですよね(笑)。
小さなお坊さん、キリっとしてるんですけどやっぱり時折子供になるんです。目が合ったのでついついニコっと笑いかけてしまったら、彼もニッコリしてくれたりして。一応お坊さんだし、こんなことしていいのかな?とちょっとドキドキしましたよ。
説法中にお坊さんが涙を拭っているのは本当に意外だったのですが、親近感が湧いたのも事実。威圧感や威厳で人を従えようとするのはお坊さんに限らず苦手ですけど、オット実家とお寺やお坊さんとの関わりを見ていると、とても自然なんだなということを感じました。スリランカの仏教は「縛り」が多いという先入観があったのですが、このダーネを体験して少し見方が変わってきました。
粉もの三兄弟、ふふふ〜、美味しかったですよ! 写真はありませんが、レンズ豆のカリーと魚のカリーなどと共に、お坊さんたちが帰った後にガツガツ食べました!(笑)
5. Posted by コンチネンタル November 16, 2009 21:29
久しぶりの訪問です^^
ナンギさんご結婚ですかぁー!!
おめでとうございます!!
題名見てひとりで爆笑してしまいました。
白い糸の名前初めて知りました。
先日、アンマが送ってきたのですが
現在の職場では、アクセサリー?禁止で腕や首に
付けられないので
お腹に巻いてました。
お腹に巻く人なんて聞いた事ないんですけど・・・
ナンギさんご結婚ですかぁー!!
おめでとうございます!!
題名見てひとりで爆笑してしまいました。
白い糸の名前初めて知りました。
先日、アンマが送ってきたのですが
現在の職場では、アクセサリー?禁止で腕や首に
付けられないので
お腹に巻いてました。
お腹に巻く人なんて聞いた事ないんですけど・・・
6. Posted by イエスタデイ伊藤 November 16, 2009 22:50
◇コンチネンタルさん、
お久しぶりです!コメントうれしかったです〜、ありがとうございました。
そしてタイトルがウケて嬉しい!(笑)
ピリット・ヌール、お腹に巻けるほど沢山送られて来たんですね!スゴイ! アンマの愛情を感じますね〜。あ、決してコンチネンタルさんのウエストサイズが大きいなんていう意味じゃないですよ(笑)。
このときに巻いてもらったもの、日本滞在中のお守りとして私もまだ巻いています。そろそろ毛玉が出来てしまいましたが(笑)。
ぜひまた遊びにいらしてくださいね〜!
お久しぶりです!コメントうれしかったです〜、ありがとうございました。
そしてタイトルがウケて嬉しい!(笑)
ピリット・ヌール、お腹に巻けるほど沢山送られて来たんですね!スゴイ! アンマの愛情を感じますね〜。あ、決してコンチネンタルさんのウエストサイズが大きいなんていう意味じゃないですよ(笑)。
このときに巻いてもらったもの、日本滞在中のお守りとして私もまだ巻いています。そろそろ毛玉が出来てしまいましたが(笑)。
ぜひまた遊びにいらしてくださいね〜!
