2010年10月27日

実数発表

なぜ「実数発表」が重要なのか、あらためて考えてみたい−。
Jリーグで大宮アルディージャが4季にわたって意図的に観客数を「水増し」していたことが判明した。
Jリーグ規約に基づく「試合実施要項」の第52条「公式記録」の第2項に「観客数は入場者実数を記入」と定められている。観客数の「水増し」はこの条項への違反に当たる。
1992年9月5日に最初の公式戦としてナビスコ杯4試合を開催した日からJリーグは「実数」を発表してきた。いまでは当然になったが、当時は衝撃的な出来事だった。スポーツ界では「概数」発表が当然だったからだ。
4万6000席しかない競技場で毎試合「5万6000人」と発表するプロ野球球団があった。6万人が定員の国立競技場で「8万人が熱狂」した競技もあった。日本サッカーリーグ時代には、運営担当者がスタンドを見回して「うーん、3000人!」などとやっていた。
スポーツに限った話ではない。デモの参加者、出版社が広告主に示す雑誌発行部数・・・。誰も信じていない数字が、景気づけのためにか、大手を振ってまかり通る文化がある。
だが、Jリーグは敢然と「実数発表」に踏み切った。なぜか−。
初代・川渕三郎チェアマンが、「お客さま一人一人を大切にしなければ未来はない」と考えたからだ。
概数で「3万人」なら、あなたが来なくても「3万人」だ。だが、実数で「2万1520人」なら「2万1519人」になる。「実数発表」とは、スタジアムに足を運んでくれた観客一人一人を、公式記録、すなわち歴史に残す作業にほかならない。それが「Jリーグの約束」だった。
「実数」の定義は、間違いようがないほど明確に定められている(2007年に明文化)。07年にJリーグが年間の総観客数を1100万人にしようという「イレブンミリオン・プロジェクト」を始め、大宮もクラブ独自に年間の観客数目標を決めた。これらの数字が、担当者に何らかのプレッシャーを与えたことは想像に難くない。
だがそれは「姑息なごまかし」で済む話ではない。何より実数発表にどんな意味があるか、リーグの根幹にかかわる考え方を理解していなかった。その結果、ファンとの「神聖な約束」を破ってしまった。
大宮の一クラブの問題ではない。Jリーグ37クラブ、おそらく1000人を超す役員、スタッフの全員が、自らを真剣に顧みる必要がある。


大住良之氏のコラム「サッカーの話をしよう」より

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2010年05月25日

新しい時代へ

ヴェルディの破綻が公表された。シーズン前のリーグ審査はなんだったのか?信憑性すら問われる話だが、「ヴェルディ」の名前が温情を集めたのかもしれない。

リーグとして初の破綻クラブがヴェルディというのは感慨深い。ここから、聖域のない死刑宣告が可能になるはずだ。これでようやく資本論理が回転し始める。

最後までヴェルディは最先端を走りきったのかもしれない。



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2009年09月23日

2008年度決算

各クラブの経営情報が開示されるようになって4年目になり時系列で数字を眺められるようになってきた。
折しも世の中の景気が悪くなり、ヴェルディのように身売りをするクラブも出てきている。中村俊輔の獲得失敗、伸び悩む成績と観客数、日産自動車のネーミングライツ更新見送りなどなどネガティブな話題も多いマリノス。4年間の数字を並べてみた。

○経営実績の推移
marinoskakosuii


売上高はピーク比二割減。内訳では広告収入の減少が大きく入場料収入はさほど減っていない。相変わらずその他の収入が多いため詳しくはわからないが、大々的に進めたNIKE社との提携も数字を伸ばすようなものではなかったということだろうか。財政規模はこの3年間で鹿島・G大阪・東京Vに抜かれ5番目、名古屋にも肉薄されているなどビッグクラブを標榜したころがいささか懐かしい佇まいになってきた。
そして経費。わかりやすいくらい人件費を減らして謎の特損もなくなった。あと目立つのは管理費だが、ぎりぎりの決算を組んでいるあたり「かかったお金は親から補填」の決算が続いているのは変わらないといえそう。その他経費の中身がなんにせよ、たぶん今後も払い続ける予算など組めないだろう。しばらくはリストラモード継続ですかね。

○なぞの資産処分
なぜか総資産・総負債がともに前年から10億円減少している。おまけにその資産減が損益に影響を及ぼしていない感。素直に読めば10億円の資産を簿価で処分して負債を清算した」ということになるはずだが、継続的な事業を進めているならあまりお目にかからない処理。特に2点、資産処分価格が簿価でできるなど通常ありえない話に近く、かつ事業を行う上で必要な資産ならばこんなに多額の資産を処分した意味が不明。あるとすれば(以下妄想)

推測1)財政健全化への支援として第三者が資産を簿価で引き取ってくれた?
    この場合日産かナイキかどちらかが有力候補かな。
推測2)日産からの支援から離れる前に処理すべきものは処理してしまう必要があった。
    この決算でのその他収入は処理費用としてのもの。今年度から「その他収入」はもっと減る。

というような事情だろうか。前年度の決算で処理した資産処分の中身が気になるところです。


marinos200901


それでもコストカットの甲斐があり、以前に比べて収支のバランスは良くなった。個人的に使っている「人件費/入場料収入+分配金」の比率は大きく改善し浦和・札幌・新潟についで4番目に良い数字。マリノスの経営状態は良くなっているとこの数字の上では言ってよいのかもしれない。



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2009年09月22日

クラブの位置(20年度)

今年のグラフです。
club2008nendo


失礼な話だがJ1のグラフにも関わらず17クラブの名前しか載せていない。東京Vの数字がグラフ範囲を超えたため載せるのを断念した。
作ってみて感じたこと。
1つめ、右上のゾーンにあるクラブが増えたということ。
2つめ、左上のゾーンにあるクラブが減ったということ。
3つめ、全体的に分布が右側に寄ってきているということ。
*ゾーンについての考え方はこちらを参照。

意味はそれぞれあるのだろうし、捉え方もさまざまかもしれない。
ただ全体的に健全経営志向を目指す風潮が強く、上位クラブは軒並みその方向にあるということはいえそうだね。

ついでに過去のグラフも載せとく。こういうのは毎年続けて比較することに意味があるはず。

【19年度】
club2007nendo


【18年度】
club2006nendo



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2008年11月02日

クラブの位置(19年度)

94e2f13b.JPG

グラフだけ作成しました。右下が18年度で左上が19年度です。
ちょっと見難いかも。。

グラフについてはこちらを。


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2008年05月06日

J1リーグ第11節 対大宮アルディージャ戦

前節を終えた後、監督が「もう一度守備のバランスを調整したい」てなことを言っていたそうです。でも「バランス」、この試合でも微妙でした。

もともと個人能力の高いCBと相対的(以下かも)の守備力しかないWBの選手が交わるサイドの守備はちょっとやばい。
決め事はあるのだろうけど、いざという時に混乱してはボールに大勢が引っ張られる。整理できてない印象かなあ。マンマークで役割をはっきりさせてもいいんじゃないですかね。
というか、失点シーンはその前でラインを割ってたようにも見えたけど…

この試合、後半は面白い展開になった。山瀬が一列あがった影響なのか兵藤の運動量なのか、ロニーの激しいフォアチェックも素晴らしかった。
攻撃に迫力が増してそこから坂田・清水でしょ。勝ち越しも期待したんだけど(苦笑)
負けなくて良かったのか。


2008年05月04日

J1リーグ第10節 対東京ヴェルディ

b99d31cb.JPG三年振りの対戦ということで過剰なくらいの煽り付き。
外人トリオだのみとはいっても二点目の連携なんかヴェルディっぽかったなあ。

マリノスは看板の守備が混乱してしまった。ゾーンで守ってたと思うけど、振り回されちゃったようにみえたね。
相手が悪かったのかどうか、これからゆっくり検証してきますわ。

とりあえず遅蒔きながらの生観戦。それはそれで楽しかったのです!


2008年04月29日

J1リーグ第9節 対ジェフ千葉

今年初見のリーグ戦。
細かいことはわからなかったけれど勝ち試合を見れたので良かった。

大島・ロペスの前線のキープはすごいね。あれだけできれば両サイドの上がりは計算できるし、攻撃に厚みがでる。ただ前半はどうも攻めがまったりゆっくりに見えた。
しばらく観てないから勘違いかもしれないけど、大駒がどっしりしてても絡む駒がないって感じ?
ロペスにもう少し機動力があれば違うんだろうけどな。やっぱりあの位置は山瀬が良いと思いますわ。

それにしても首位まで3差の5位ってすごいね。新しい戦力もどんどん試合にでてきてるし、良い流れなんだよね。ワタシもここからついてかなくては。


2008年04月20日

伝統揺るがす資本の論理

世界的なお金持ちがオモチャ遊びに興じている。サッカークラブという名の玩具は、彼らの名誉欲や権力欲といったエゴを充足させ、なおかつ新たな資金を稼ぐ道具となってしまったようである。タクシン元タイ首相や米国人投資家たちによるプレミアリーグ(イングランド)のクラブ買収の攻勢が、そのことを証明している。

そんな彼らの前に立ちはだかるのが欧州サッカー連盟(UEFA)のミッシェル・プラティニ会長だ。会長はタクシン氏に問うている。「なぜマンチェスター・シティーを買う気になったのですか。若い選手ばかりのチームを強化したいとの情熱にかられて?それとも単にご自身の地位と名声を上昇させたいだけ?」。タクシン氏の仮面をはぎ、強欲を暴いてみせた鋭い問いかけではないか。

なぜ、タクシン氏はプレミアの繁栄に花を添えることばかりにご執心で、母国サッカーの発展のためには財布のヒモを緩めようとしないのか。米国人投資家たちが、米国のサッカー少年たちが上手にボールをけるようになることに、かくも無関心なのはどうしてか。彼らが心を砕けば、米国はサッカーの強豪国の仲間入りができるかもしれないのに。

だが彼らはリバプールやマンチェスター・ユナイテッドなど、それまでの人生でまったく無縁だったイングランドの人気クラブを買収し、富を再生産することを選んだ。エサ場からエサ場へと渡り歩き、畑を食い荒らしていくイナゴのように。

プラティニ会長はかねて欧州議会に求めている。「国家の財産(伝統クラブ)を買収攻勢から守れ」「アフリカや南米、アジアの才能ある少年たちの青田買いをストップしろ」と。けれどその声に、議員たちを振り向かせるほどの力があるかというと……。

市場化の流れには抗しがたく、イングランドは当分その中心であり続けることだろう。テレビマネーに潤い、クラブが投資先として選定され、保護主義的な“柵”にも守られていない、投資家たちの楽園。その周りに、ごひいきのチームが伝統を失っていく様子を寂しく眺める古くからのファンがいる。

畑が荒れる前に、何か手を打たないと。プラティニ会長の声は耳をろうする羽音にかき消される。


マーティン・ヘーゲレ氏のコラム「ワールドサッカー通信」より
4月7日日経夕刊に掲載


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2008年04月02日

クラブは誰のもの?

Jリーグはクラブ経営者の養成を目指し、5月から全15回のゼネラルマネージャー(GM)講座をスタートする。先だって先週行われたプレ講座では、リバプール大学のローガン・テイラー博士(サッカー産業グループ)が講師を務めた。

テイラー氏はプレミアリーグのリバプール・サポーターとして知られる。愛する名門は昨年、米国の二人の富豪の手に渡った。負債の引き受け、新スタジアム建築費を含めた買収額は4億7000千万ポンド(約930億円)。その後もドバイの投資ファンドから買収提案を受けている。マンチェスターユナイテッドやアストンビラなど海外資本による買収が続いているのは、クラブが金のなる木に映るからだろう。

こうした事態についてテイラー氏は語気を強める。「クラブが裕福になるのが悪いわけではない。選手獲得には大金がかかるわけだし。ただし、クラブは誰かが金を稼ぐためにあるわけではない。単にサッカーをつくり出すためにあるのだ」。

その哲学をもとに、1月、テイラー氏は壮大なプランをスタートした。「Share Liverpool FC」の名のもとに10万人から5000ポンドずつの出資を募り、総額5億ポンド(約990億円)でクラブを買い取る。モデルとしているのは15万人のソシオ(会員)が支えるバルセロナ。反響は大きく、すぐに1万2000人からの支援を受け、2万6000人の条件付き賛同者を得ている。

計画では、100人の会員が議会を構成し、経営陣を選任する。「こうすればクラブが買収されることはなく、民主的に運営される。我々が成功すればマンチェスターユナイテッドやアーセナルなども続くはず」とテイラー氏。サッカービジネスを専門とする博士が、クラブを原初的な姿に戻すために奔走する。そこに歴史の皮肉がある。


吉田誠一さんのコラム「フットボールの熱源」より。
4月2日付日経朝刊に掲載。


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