1、強迫性障害



今まで自分の病気について書こうと思ったことは一度もなかったように思う。

過去にはあまりにも辛くて書くことなど考えられなかった。ようやく大分楽になってきた時には、そのことを考えるより他のことがしたかった。でも、この病気との日々も間違いなく私の一部である。自分自身の記録のためにもこれまでのことを振り返ってみようと思う。

ドラマや映画、或いは、小説などで自分が患っている病が扱われていれば、やはり気になる。
何気なくつけたテレビドラマの主人公が私と同じ精神疾患を患っていた。
ドラマは『名探偵モンク』というアメリカのテレビシリーズで2002年から2009年まで放送されていたものらしい。日本ではNHK-BS2での放送となっていたので、知っている人は少ないのかもしれない。

私がこの病、強迫性障害と付き合い始めてから随分の月日が経つ。
高校に入る前だったのだから、発病は15歳の時だったのだろう。

ふと、この疾病が今までどんな作品で扱われたことがあったのだろうと思い調べてみた。映画では2作品書かれていた。一つは、『恋愛小説家』で、もう一つは、『マッチスティック・メン』。残念ながらどちらも見てはいない。

解説に目を通してみると、どちらの作品でも強迫性障害の中の≪不潔強迫≫が扱われているようだった。一般的に一番知られており、理解しやすいからだろう。

 『名探偵モンク』の主人公の場合はもう少し症状が多岐に渡っていた。

そもそも強迫性障害というのはどんなものなのか。
簡単に言えば、他人にとってはどうでもいいようなことでも、気にせずにはいられない病だ。

例えば、清潔か否かが異常に気になる。また、外出時に戸締りや火の元を確認したかどうかが気になる。
誰でもある程度は気にかかることであり、何度も確認したという経験は誰しも一度や二度はあると思うが、その度合いが尋常でなくなった場合に問題となる。

病気のおもな症状は二つあり、「強迫観念」と「強迫行為」である。
どうでもいいような考えが心の中に繰り返し起こるのが「強迫観念」。
それを打ち消すために行われるさまざまな行為が「強迫行為」だ。

手にばい菌が付いていたらどうしようとか、ガスの元栓しめたかな? などという考えが始終つきまとってしまうのが「強迫観念」であって、その思いを断ち切 るために、1日数十回は手を洗ったり、何度も家に戻ってガスの元栓をチェックせずにはいられないといった行為が「強迫行為」となる。

こうした行為を繰り返すことは、多くの時間やエネルギーを費やすことになる。そうなると、日常生活を行うのにも支障が出てくる。

この病気で尤も厄介ともいえることの一つは、本人自身がおかしなことだと自覚しているということだろう。おかしいとわかっているのに強迫観念から逃れられず、強迫行為をやめることができない。
そして、どんなに強迫行為を繰り返しても、不安感や不快感を消滅させることが出来ない。ここにこの病気のつらさがある。

強迫性障害は、人種や国籍、性別に関係無く発症する傾向にあるらしく、調査によると全人口の2%前後が強迫性障害であると推測されているらしい。
強迫性障害が発症に至る完全な原因はわかっていない。

恐らくこれは、強迫性障害に限らず多くの精神疾患に当て嵌まることだろうと思う。
これまでにわかっていることは、脳の機能障害が関連しているということ。前頭前野や帯状回など、複数の要因が関連して起きるということだ。

患者の共通点として、元来几帳面であったり生真面目な性格傾向が挙げられる事も多いため、過去には、完全に心の働きのみが原因となって起きる(心因性という)神経症の一種に分類されてきた経緯があるが、実際のところ、性格と障害の因果関係はよくわかっていない。

近年になり、患者の脳を観察し、セロトニンなど脳内の神経伝達物質のバランスに異常が見られることがわかってきた。そのため、この障害は脳内部の化学的な 働きの不具合によるものと、心理的な要因および体質などが複雑に関係して発症するのではないかと考えられるに至っている。また双生児研究から、遺伝的な要因を指摘するものもあるらしい。

いずれにしても原因が解明されていない以上、絶対の治療法もないというのが現状だ。



心の病との日々 - 2、最初の異変
http://blog.livedoor.jp/ygjumi/archives/68603178.html

心の病との日々 - 3、初めてのカウンセリング
http://blog.livedoor.jp/ygjumi/archives/68604759.html

心の病との日々 - 4、強迫性障害の症状
http://blog.livedoor.jp/ygjumi/archives/68605476.html






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