薬師寺運動器クリニック院長のblog

栃木県下野市の日曜診療・祝日診療の整形外科・運動器リハビリ・スポーツクリニックである薬師寺運動器クリニックの院長がつづるブログです。 土曜日も月に2回程度の診療をして、週末に多く発生するスポーツやレジャーでの痛みに対してなるべくその日のうちに治療開始できるようにしています。 栃木県や茨城県西部の野球選手が数多く来院されます。 診療に関連して是非知っておいていただきたいことや、新たな情報を述べていきます。

2018年04月

    今年もゴールデンウィークが始まりました。行楽地へ向かう車で高速道路は渋滞し、駅や空港も混雑します。
   栃木県内も、JRの観光キャンペーンの対象になっていることから、世界遺産の日光や、陶器市が行われる益子、さらに新たな駅もできた足利フラワーパークなどが混雑するようです。
   スポーツも新人選手の加入から1か月が経過して活動が盛んになり、大会も行われる時期です。
   農村では田植えが始まる時期でもあり、日頃は会社や市役所に勤めている方が駆り出されるのもゴールデンウィークだったりします。
  整形外科の扱う運動器のトラブルは、休みの日の午後に多く発生するのではないかと考えていますが、ほとんどの医療機関は土曜日の午後から日曜は休みで、祝日も休診です。
  当院は、そういった流れと異なり、原則として日曜は午後1時から診療し、祝日は曜日に応じて診療を行っています。
 休診日は金曜と土曜ですので、祝日が月曜であれば診療、金曜や土曜であれば休診です。
 例外として、5/3-5は休診日と定めており、今年は5/3が木曜で4は金曜、5は土曜ですので、5/3の木曜のみ診療が減ることになります。
 ということで、5/3-5はほぼ全ての医療機関が外来診療をストップすると思われます。
 救急病院は診療科に関係なく初期対応を行うのみということもあるので、しかも生命に関わることのほとんどないひどい外傷でなければ、整形外科領域の疾患は痛み止めとして湿布かロキソニンなどの内服が数日分処方されておしまいということが多いです。骨折も緊急性のないものは、手術が必要であっても連休中には話が進まないと思われます。
  このように医療側の対応がゴールデンウィークは年末年始とならび機能低下しますので、防げるケガは防ぎたいものです。
 ときに当院は1年でいちばん混雑をするのがゴールデンウィーク中から明けの時期だったりします。
 どうぞ安全で楽しいゴールデンウィークをお過ごしください。IMG_9458

 痛みはないけど「貼ると気持ちいい・よく眠れるから湿布が欲しい」という方が少なくありません。
 湿布が「冷やす⇔温める」の物差しで捉えられていることも多いです。
 経費吸収型の消炎鎮痛剤であるということを伝えると驚かれるのですが、知らないで使っていることにこちらが驚きます。
 1か月あたりではなく、一回あたりの処方が制限されるようになっているものの、70枚という多い枚数であって、あまりにベタベタ貼っている方が多いということなのでしょう。
 最近の運動器エコーの進歩に関連して、生理食塩水を注射するハイドロリリース注射で劇的に痛みが取れるということからも、痛み止めをそれほど使わなくとも症状の軽減が図れることがわかってきています。
 湿布にはメントールが含まれていますので、それが気持ちいいと思わせてしまい、多くの方が清涼感を求めているのでしょう。湿布を医療用にも市販薬にも販売している会社は、しっかりと消炎鎮痛剤の入っているものからビタミンE主体のような湿布まで取り揃えているようでもあります。売らんかなの姿勢が垣間見えるような気もしますが。
 市販薬には第1類~第3類まで分類されていますが、多くの方はそこよりも値段を気にしているかもしれません。
 痛みの原因となっている部位を明らかにし、多少なりとも筋肉が関与していることが多いので、ハイドロリリース注射や触診での評価のうえで、運動器リハビリテーションを行うことがより本質的と思われるのですが、昭和の時代からの湿布信奉の方がまだまだ減らないようです。
 この背景には「湿布ぐらい処方してあげる」という内科の先生方の影響が大きいと考えています。こまめに70枚処方してしまう先生もおられるようなので、患者さんのためを思えば、きちんと整形外科に受診することを指導していただきたいところです。

 市や町といった自治体が健康増進などのセクションの主導で「いきいき」とか「すこやか」とかの名称を付けた高齢者向けの体操教室を行っていることが多いです。
 マシントレーニングや集団で体操を行うために、各自治体の施設も建てられました。
 介護予防や転倒予防が喫緊の課題になっているはずなのですが、まだまだ地域の意識は高まっているとは言い難く、痛くなければ大丈夫と思っている方も多いですし、地域性の問題としては、東京近郊・大阪近郊の方々と比べると日々の生活で歩く距離はとても少ないので、筋力低下や疲労しやすいということに気づいていない方がほとんどです。 
 旅行に行っただけで体が痛く感じてしまうのはいかがなものかと思われますが、実際には年に何人かは痛みを訴えて来院します。
 そのため何らかの運動を行うことは大切です。たとえ80歳以上の方であっても、外に出て体を動かすきっかけとして考えれば、自治体の行う体操教室もよいでしょう。集団で行う体操で注意すべき点は、体力や既往歴、現在の状態などの個人差があるわけですが、それを考慮した体操のメニューが組めるかどうかという点に集約されそうです。ひとりひとり能力が違うなかで同じ体操をすると、ある方には簡単すぎる、ある方には難しすぎるといった問題が起こりえます。
 そこで、個別に体操メニューが組めるような配慮も一部では必要ではないでしょうか。 
 集団の体操だけでなく、個別での体操の選択肢も提案できることが、介護予防で結果を出すうえでも大切になってきていると当院は考えています。体操を始める段階で指導する側が医療を必要とするかどうか判断を迫られることもあり得ます。そこを見極めずに体操を行い問題が生じると、思わぬケガや病気の原因にもなります。
 当院で中高年を対象にアスレチックトレーナーが実施する体操教室をはじめとする運動メニューは保険医療ではなく、運動器の機能低下予防メニューということになります。
 自治体の実施する体操教室と似ている部分もありますが、医療施設で行っているという点では、医療が必要な状況が考えられるときの初期対応がしやすいという意味で安全性が高いと思われます。そのため、万一の場合に備えて健康保険証はお持ちいただきますようお願いいたします。IMG_9414


 

 予防のために運動器[筋肉・腱・関節・骨・神経]のコンディション改善をはかるのは、治療とは異なるので、自由診療とさせていただいています。
 健康保険による診療ですと、初診料が発生し、画像診断も行い、運動器リハビリテーション料や計画書作成のための料金が発生します。その後も再診に伴い定期的にリハビリや診察に関連して料金が必要になります。時にはくすりの処方でも料金が必要になります。保険の自己負担額は10~30%です。
 一方、自覚症状のない段階でアスレチックトレーナーが対応する場合は、自由診療で行いますので、これらの料金は発生しませんし、当院での料金は1回あたりは集団で行う転倒予防教室は500円+税、個別に実施するコンディショニングでも30分2500円+税で実施します。診察料がないぶん、保険診療の自己負担と比べても少なくとも割高ではなく、もしかしたら安いのではないかと考えます。そして、医療費の削減につながる可能性もあります。
 リハビリテーションではありませんので、保険診療で必要な医師の定期的な診察であるとか、計画書の作成とサインも必要ありません。
 スポーツ復帰はしているものの、パフォーマンスがいまひとつというような場合は、保険医療の範疇を超えていることも多く、アスレチックトレーナーが対応することが望ましいです。特に当院では140㎡の広さの屋外リハビリスペースがありますので、野球やサッカーで必要な動きを実際に屋外で確認することもできます。
 アスレチックトレーナーの対応も予約制で、当院の代表電話である0285-44-6100で予約の対応もいたします。まだまだ予約には余裕があります。
 なお、アスレチックトレーナーメニューは曜日や時間帯によって内容が異なります。まずはお問い合わせください。
 院長の診察を初回に必要するわけではありませんが、初期評価の段階で、医療が必要とアスレチックトレーナーが判断をすれば、保険医療をうけるよう勧めることもありえますので、ご了承ください。。その場合は、保険証を持参いただいていれば、そのまま院長の診察に回っていただくことが可能です。IMG_9398

 多くの高齢者は内科に通院されており、内科の病気は痛みもないけれど真面目に熱心にくすりをのんで、くすりがなくなれば再び内科に出かけ、車いすの生活になっても通い続けるわけです。
 長年通院していると、いわゆるかかりつけとなり、いろいろと相談もしやすくなります。
 内科の先生の守備範囲外の皮膚・眼・鼻・足腰の問題についても相談をしてしまうので、まったくもって安易に軟膏や点眼・点鼻のくすりも処方されているのではないかと思いますし、お薬手帳を見ると内科から湿布が大量に処方されていることがよくあります。
 すべての病気に精通しているという医師はいないと思うのですが、「痛ければ湿布ぐらい処方してあげる」ということが親切なのかどうかということを考えてみたいと思います。
 果たして整形外科の扱う領域は「湿布ぐらい」と軽く扱っていいものなのかどうか、考えて処方されているのか?まず画像診断も理学所見も評価することなく、「痛い⇒痛み止め でも高齢者は内服は内科的によくないので湿布でも出しておけばいいか」という図式になっている可能性が高いのではないかと思います。
 整形外科に内科のくすりを一緒に処方してくれという方は極めて少ないわけで、胸の音も聴診せず、血圧も測定せず、血液検査もしないで内科の病気のくすりを処方するのは整形外科医にとっては危険なことと思いますので、風邪薬をくれといわれても高齢者は肺炎かもしれないし、聴診もしてないし、診断できる自信はない!と考えて、内科に受診することを強く勧めています。
 腰が痛い高齢者は、がんの骨転移かもしれないし、脊柱管狭窄症を併発していることはよくあるし、圧迫骨折を伴う骨粗鬆症はものすごく多いですが、内科で湿布を処方されておしまいとなっている患者さんは胸椎・腰椎のレントゲンは撮影されず、触診もするわけでなく、安易に湿布が処方されているように思われます。
 いよいよひどい痛みになってから、「専門の先生のところに行って」と言われて来院されても、なかなか治療が困難な状態だったりします。いきなり手術の話をするのも気が引けることがあります。
 痛くない病気は世の中にたくさん存在するのですが、整形外科の疾患は痛くないと「治った」と誤解されがちです。 
 喘息は咳が出てないときでも治療をしますし、狭心症も胸が痛くなくてもくすりをつづけていくわけですが、腰の痛みが取れてしまうと通院を放棄されることも多いです。1か月後に再診と伝えても、数か月後にひどくなって来院されることも多いです。何か月後かにひどくなって来院すると初診の扱いにもなることがあり、毎月受診した方が再診で安いということもあり得るのですが。
 少なくとも当院周辺は、離島でもへき地でもないわけで、医療従事者も多く患者として受診する地域でもあり、治療の内容は患者さん側に医療従事者の目でもみられることもあって、また、それぞれの専門性の高い施設が点在していることもあり、いろいろな意見もあるかもしれませんが「餅は餅屋」の方針で、基本的には当院は運動器疾患の治療に特化しています。インフルエンザ予防接種は便宜上おこなっていますが、一般的な健康診断は行っていません。
 湿布を貼れば根本的に治る・よくなるとは考えにくいため、なぜ痛むのかまで考えていただくとよいのですが、多くの場合は、はじめに筋肉の問題がありきと思われます。
 筋力の低下・柔軟性の低下・協調性の低下などがあれば、そちらにアプローチすべきで、痛みに対しても、ハイドロリリースと呼ばれる生理食塩水の注射で、痛みが著しく緩和することがわかってきており、薬物でなくても痛みがなくなることが期待されるようになりました。
 そのように考えていけば、痛みを生理食塩水で緩和し、理学療法士が運動器リハビリテーションを行い、アスレチックトレーナーが仕上げるという流れが本質的ではないでしょうか。
 筋肉は使わなければ機能を低下しやすく、東京や大阪などの大都市で歩き回っても疲れにくい状況にしておけば、栃木の車社会にも余裕で適応できることが期待されます。
 栃木の車社会に合わせてしまうと、都内に出かけて痛いとか、旅行に行って痛いとか、ディズニーランドに出かけて痛いということになってしまうのではないかと思われます。
 単にくすりを処方するだけなら、医師免許さえあれば誰でもできるのでしょうが、本来行うべき運動療法や生活指導が行われないという点で、内科の先生の「親切」は実は本質的な治療ではないということを理解いただければと思います。CIMG1833

 

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