交通事故でもネックカラーをつけている人を見かけなくなっていると思いませんか?年にひとり見かけるかどうかといったところではないでしょうか。交通事故が激減したということではないようですし、治療の考え方が安静より早期から動かすという考え方に変わっているためと思われます。
栃木県には理学療法士を養成する学校が2校しかなく、関東ではいちばん少ない状況ですし、栃木県南部と医療圏が重なる茨城県西部の筑西・結城・古河・桜川市にも理学療法士養成校がないようです。
そのためかどうかはわかりませんが、病院のリハビリは運動器であれば骨折や人工関節の手術後が大多数と思われ、腰痛や変形性膝関節症などの慢性疾患については運動器リハビリが十分に行われていないように思われます。
診療所においても、新しい情報を入手せず、エコーもリハビリも実施していない施設が少なくないので、痛みが強ければ安静・湿布・電気治療という古典的な治療をしているところも少なくありません。
運動器のエコー診療が全国的にすごい勢いで広がりを見せているなかで、エコーを見ながら痛みの原因と思われる部位へ生理食塩水を中心とした注射を行うことで、積極的に痛みを減らし早くから動かせるようにするという考えも広まっていて、当院はすでに取り入れています。
どこをターゲットに注射を打つかについては診察をしてよく考えないといけないですが、注射を打ってその場で楽になる人もすくなくありません。百発百中ではないが試してみる価値はあると思います。
一方で痛み止めの飲み薬や湿布だけ処方すると、痛みが和らぐまでの時間が何日かかかることが多く、生活動作に関連する痛みの場合は、使いながら治そうとなるために、余計に時間がかかる印象です。なので、その間は「おとなしくしていた方がよい」「無理をしないように」といった話になりがちでした。
その結果、痛いので動かしにくい、動かさないので硬くなったり出力が落ちたりして、痛みを繰り返しがちで、「腰痛持ち」という人になってしまうことがあります。
さっさと動かせるようにしてリハビリをどんどん行える方がいいと思いませんか?
注射を打ってでもリハビリを早く行えることが望ましいと当院は考えます。
リハビリには期限もありますし。
交通事故でも肩甲骨付近に注射を打って楽になっている人が当院では増えています。むしろ患者さんから打ちたいと言って来院します。
薬を使ってでも・注射を打ってでも早期にリハビリをすることが望ましいという流れをが来ているにもかかわらず、新しい情報を入手できない環境にいれば、早期のリハビリや頻回のリハビリを受け入れないという残念なことも起こるのでしょう。
運動器不安定症やロコモティブシンドロームという概念も提唱されて久しいですが、多くの方は、「自分は関係ない」と思われることが多いようです。自覚症状のないうちに啓発して、介護予防に役立てようということが目的になります。
気づいた時には変形が進んだ骨、動きの硬い関節、しびれがなかなかとれない下肢といった状態になるのですが、車社会では気づくのも遅れがちです。
気づくのが遅れるため、今まで通りの生活ができると思ってしまい、相対的なオーバーワークになっていることも多いです。
早く気づいて、早く痛みを抑えて、早くリハビリを開始し、短期集中で行うことで、悪化を防げる可能性があります。